インドネシアの中古販売市場
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インドネシアの人々の生活は年々豊かになり、車やスマートフォンが広く普及してきています。しかし、インドネシアの平均月収はまだ約3万円ほどであり、最新の高額商品を手にするには厳しいと感じる人も少なくありません。
そうした状況の中で、新品より安く買える中古品の人気が高まりつつあります。
本記事では、インドネシアの中古市場の概要や流通チャネルを解説していきます。
インドネシアの中古市場
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インドネシアでは国内産業の保護を理由に、例外を除いて海外から中古品の輸入を原則禁止しています。例外とは、輸出の振興や国際的な競争力強化、事業効率化に用いられて国内での調達が困難なもので、製造機械や船舶やヨット、航空機などが挙げられます。
日常生活で使うような一般的なものの中古品は、基本的に国内の流通に限られます。
しかし、監視の目から逃れて違法なルートから輸入されていることもあります。中古衣料品の輸入量は2015年から2022年にかけて7倍以上に増え、オンラインショップでも多数販売されています。
インドネシアには、オンラインショップでの中古衣料品の販売を禁止する規制はあるものの、流通に罰則がありません。こうした状況がある中で、政府は中古衣料品の玄関口となるジャワ島、スマトラ島やスラウェシ島での監視を強化しています。
次からは、中古品の品目を5つピックアップして、詳しく解説していきます。
機械
インドネシアでは、中古機械の輸入についての細かく法律が定められています。具体的には以下に分類される機械の輸入が可能です。
分類A:原子炉やボイラー、電子機器、録音機など品目によって製造から5年〜20年
分類B:航空機の品目によって20年、25年、または無制限
分類C:船舶の品目によって15年〜25年
輸入可能な場合でも、商業省から輸入承認を取得、制限の間は売買したりスクラップにしない旨の誓約書、事業許認可など、状況に応じてさまざまな種類の書類と手続きを必要とします。
車
インドネシアでは日本を含む海外からの中古車の輸入は禁じられているため、国内での売買が中心です。中古車は、主に国内企業が運営する中古店やアプリを通じて売買されています。
日本メーカーの車は国内で人気があり、2023年はトヨタが42.2%、ダイハツが13.4%、三菱が11.1%の新車のシェアを獲得しています。こうしたメーカーの中古車は、新品とほぼ変わらない価格で取引されていることもあります。
バイク
インドネシアでは、国内でのバイクの製造が盛んで国外から輸入するケースは多くありません。世帯の85%以上がバイクを持っているとされており、ホンダ(PT Astra Honda Motor)、ヤマハ(PT Yamaha Indonesia Motor Manufacturing)、スズキ(PT. SUZUKI INDOMOBIL MOTOR)が国内で製造を行っています。
近年は電動バイクが普及し始めているものの、まだガソリンバイクの需要は高く、3年使用された中古車でも新車の8〜9割程度の価格で販売されていることもあります。
PC
インドネシアでは中古PCの輸入は禁止されており、国内での流通が中心です。
中古PCは一定の需要があり、個人間やアプリ、店舗で購入できますが、品質や保証が不明確な場合が多く注意が必要です。大手中古店では一定期間の保証を提供する店舗もあり、安くPCを購入したい人から人気を集めています。
スマートフォン
インドネシアでは2021年時点のスマートフォン保有率は65.9%で、国内でも盛んに取引されています。PC同様に、個人間やアプリ、店舗で購入が可能です。
SamsungやOppo、Xiaomi、Appleの順に高いシェアを獲得しています。他国と比較して、価格が安いAndroid OSのメーカーが選ばれる傾向にあります。
インドネシアの中古品の流通チャネル
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ここでは、インドネシアの中古品がどのような場所で売られているかを紹介していきます。
アプリ
インドネシアでは、中古品はスマートフォンのアプリを通じて売買されることが多いです。具体的には以下のアプリが挙げられます。
Carousell:豊富な種類の中古品を取り扱うフリマアプリ
shopee:インドネシア最大級のECプラットフォームで中古品も対応
MOBIL123:インドネシア全土から中古車5万台以上購入可能
インドネシアでは、ECは大きな成長を遂げている業態の一つです。こうした背景からもアプリを通じた中古品の売買は今後活性化し、日常生活にさらに浸透すると予想されます。
リサイクルショップ
インドネシア国内には、リサイクルショップが多くあります。国内企業のリサイクルショップを始め、日系企業も進出しています。
日系企業でブランド買取を行う「なんぼや」は2020年8月にジャカルタへ事業を開始し、2022年8月に10店舗目をオープンしました。年々経済成長を遂げるインドネシアでは、ブランド品のバッグやアクセサリーの買取需要が高まっているようです。
まとめ
インドネシアでは、年々中古品の需要が高まっています。中古車市場は2024年から2029年にかけて8%以上の成長が見込まれており、今後も有望な市場となることでしょう。
一方で、インドネシア政府による法規制も整備されてきています。中古品事業を展開する場合は最新の情報をキャッチし、法律・コンプライアンスに則った運用が求められます。