衣食住

インドネシアの米農家と輸出入

インドネシアの米農家と輸出入

インドネシアは世界有数の米消費国です。伝統的な米料理も多く、3食米を食べる人も少なくありません。

温暖な気候のインドネシアでは2〜3期作が可能であり、大半の需要は国内生産品によって賄われてきました。しかし、近年人口の増加や天災による生産高減少が重なり、2023年以降は輸入量が増えてきています。

本記事では、インドネシアの米農家や輸入・輸出について詳しく解説していきます。

インドネシアの米農家と輸出入とは

上記のグラフが示す通り、インドネシアの米の生産高は近年ほぼ横ばいを続けています。特に2023年は異常気象による干ばつの影響で過去10年間で最低の生産量となりました。生産量が減少したことによって、市場価格は15%程度上昇しています。

これに伴い、インドネシア政府は輸入量を一時的に拡大するとともに、中国からの栽培技術支援を要請しました。政府は国内の生産量を将来的に増加させて、国内需要を安定的に満たすことを目指しています。

次からはインドネシアの米についてより詳しく解説していきます。

インドネシアは世界第4位の米消費国

インドネシアの米消費量は年間約3,400万トンで、世界では中国、インド、バングラデシュに次ぐ第4番目です。日本の米の消費量は約720万トンであり、5倍近い量が消費されていることになります。

インドネシアには、ナシゴレンやナシチャンプル、ナシアヤムなど、米を用いた伝統的な料理が多くあります。米はインドネシアの人々にとって欠かせない食材であり、日々の食卓で主要なエネルギー源として親しまれています。

ベトナムやタイからの輸入量が増加

インドネシアは2023年夏に大規模な干ばつがありました。干ばつは米の生産量に大きな影響を与え、2023年は前年比の7倍となる306万トンの輸入量を記録しています。

インドネシアでは従来インドから多くのお米を輸入してきましたが、同国でも干ばつがあったため、ベトナムやタイからの輸入量が増加しています。2023年の干ばつは2024年にも影響を及ぼしており、輸入量は当初の予想360万トンを上回る、500万トン超を記録する見込みです。

低関税枠を設け日本との輸出入を強化


2023年12月、インドネシア政府は日本からの米の輸出に低関税枠(8,500トンを上限に1キログラム当たり450ルピア=4.37円※)を新たに設定する改正交渉に合意しました。この合意により、日本からの輸出入がさらに強化される見込みです。

インドネシアからの輸入では、マグロ缶やかつお節、果汁ジュース、マヨネーズなどが関税撤廃の対象に追加されています。

※2024年12月26日時点のレート

政府は米増産を政策目標として指定

インドネシア政府は、米の増産を重要な政策目標として定めています。2000年代から米の消費量が増える中で、助成金や品種改良のサポートを進めてきました。その結果2007年には自給を達成(国内生産量が国内需要を上回る)し、一定の成果を収めたといえるでしょう。

しかし、現在も人力に頼る伝統的な手法で稲作を行っていることも少なくありません。生産効率や技術力、物流や収益性には依然として課題が残ります。

地理的な条件で物流コストが高騰

インドネシアは1,766の有人島を有する島国であり、特にジャカルタのあるジャワ島から離れた地域の物流コストは高騰する傾向があります。比較的収入が低い地方の人々にとって、生活必需品や食品価格の上昇は家計への大きな負担となっています。

インドネシアの米農家と輸出入の今後

ここでは、インドネシアの米農家と輸出入の今後について解説していきます。

今後も消費量が伸びる予想

毎年200万人ペースで人口が増加しているインドネシアでは、今後も米の消費量は伸びる見込みです。人口は2045年頃まで増加すると予想されています。

さらに外食産業の需要も拡大しており、米を使った料理の消費がより一層加速すると考えられます。

農業分野のベンチャー企業が台頭

インドネシアでは、テクノロジーの力で農業を改革するベンチャー企業が台頭してきています。例えば、農産物を購入したい小売業者と農家を直接結びつけるプラットフォームを運営する「TaniHub(タニハブ)グループ」は、2021年9月に6,550万ドル(約70億円)を調達しました。

また、土地の監視や作物の生育を促進する有機肥料、仲介業者を省いて直販を実現するプラットフォーム「Elevarm(エレバーム)」は、2024年5月にシンガポールのベンチャーキャピタルから260万ドル(約4億円)を調達したことを発表しています。

ハイブリッド米の普及

ハイブリッド米とは、異なる性質を掛け合わせて作られ、生育スピードが早く、病害虫や乾燥、洪水に強い特徴を持つ米です。インドネシアのスタートアップ企業アグリスパルタ社では、ハイブリッド米を用いて生産効率を改善させる取り組みを行っています。

同社のガランCEOは「米農家の生産性を15〜20%向上させられれば、自給自足も達成できる」と述べ、輸入に頼らず国内の需要を賄える仕組みづくりを目指しています。

まとめ

インドネシアでは、2023年の干ばつの影響によって、ベトナムやタイからの米の輸入量が増えつつあります。2024年は過去最大の500万トン超を記録する見込みです。

米農家の課題としては、生産性の低さや物流コストの高騰、仲介業者が多いことなどが挙げられます。こうした課題に対して取り組むベンチャー企業が増えており、国内生産の拡大と輸入依存の軽減が期待されています。

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