【2026年4月最新】インドネシアの石油・ガソリン事情
インドネシアは世界有数の産油国でありながら、石油・ガソリンを多く輸入している国です。近年は工業化が進み、乗用車・バイクの保有者が増加している中、石油・ガソリンへの依存度は上昇しています。
本記事では、インドネシアの石油・ガソリン事情について詳しく解説していきます。
インドネシアの石油・ガソリン事情とは
人口約2億8,000万人のインドネシアでは、1日あたりで「162万8千バレル」の石油が消費されています。これは世界第13位の数字です。一方でインドネシア国内の石油生産量は「84万8千バレル」であり、半数近くは中東のサウジアラビアやオマーンなどの国からの輸入に頼った構造になっています。
政府は国内の精製所への投資やグリーンエネルギーの推奨を行っています。しかし、それ以上に需要は増え続けており、今後しばらくは石油・ガソリンへの輸入依存度が高い状況が続く見込みです。
次からは、現在のインドネシアの石油・ガソリン事情について解説していきます。
インドネシアは東南アジア最大の産油国
インドネシアの原油生産量は世界で23位、東南アジアでは最大の産油国です。油田はスマトラ島の中部には東南アジア最大規模のミナス油田、ジャワ島西部の陸上油田であるジャティバラン油田が有名です。
また、インドネシアは世界有数の天然ガス生産国としても知られています。スマトラ島のアチェ地方にあるアルンガス田、アラフラ海にある東アバディガス田などがあり、日本へも輸出されています。
精製能力の不足により輸入に依存
前述の通り、インドネシアは1日あたりの消費量に対して、国内で生産できる量は大きく下回っています。これは国内に豊富な資源があるにもかかわらず、精製施設の数と規模が限られており、国内需要を満たせていないことを意味します。
インドネシアは高い原油採掘能力を持つ一方で、技術や人材、投資不足により国内の精製能力が追いついていません。また、政治的な停滞や既得権益による汚職が長期的な計画を阻んでおり、産油国でありながら精製された石油・ガソリンを輸入し続けなければならないという、構造的な課題を抱えています。
政府は給油制限や在宅勤務令を発表
インドネシア政府は燃料供給の不安を受け、給油を1日50リットルまでに制限、公務員に週1日の在宅勤務を義務付け、公用車の使用を半減などの抑制策を打ち出しました。これは中東情勢の悪化に伴う原油価格の高騰に対応するための緊急措置であり、国内経済の混乱を最小限に食い止める狙いがあります。
日本とインドネシア政府は、2026年3月の首脳会談において、エネルギー安全保障の確保に向けた緊密な連携を確認し、市場の安定化に協力して取り組む方針で一致しました。原油の9割以上を中東に頼る日本と、サウジアラビアやオマーンからの輸入割合が高いインドネシアにとって、中東情勢の安定は経済の命運を左右する重要な課題といえるでしょう。
インドネシアの石油・ガソリンの今後
インドネシアは産油国である一方で精製能力には課題があり、多くは輸入に頼っている現状があります。ここでは、インドネシアの石油・ガソリンの今後について解説していきます。
原油備蓄は20日程度
2026年4月13日時点で、インドネシアの原油備蓄は20日程度とされています。約8ヶ月分の石油備蓄がある日本とは大きな差があり、2月末にイランへの軍事攻撃が開始されて以降、供給不足に陥りやすい状況が続いています。
一方で、インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は、燃料供給・備蓄は安定していることを強調しています。2026年4月16日には、日本政府との連携により、INPEX(日本最大規模のエネルギー開発企業)のオーストラリア事業を通じて、インドネシアへのLPガス(液化石油ガス)供給拡大が進められる方針も示されています。また、同月にはロシアから原油とLPガスの調達経路を確保できたと発表し、今後は中東だけに頼らない供給先を確保していく方針です。
再生可能エネルギーを推進
インドネシアは世界第6位の温室効果ガス排出国で、約7割の発電を石炭火力で担っています。政府は2050年までのカーボンニュートラル達成を掲げており、石炭から再生可能エネルギーへの移行やバイオ燃料の活用など、化石燃料依存を低減するための政策を本格化させている最中です。
再生可能エネルギーの推進により電力のクリーン化が進み、EVの普及を通じて中長期的に石油・ガソリンの使用量減少が見込まれます。
具体的には、世界第2位のポテンシャルを誇る地熱発電や、東南アジア最大級の水上太陽光プロジェクトなど発電の多角化を急ピッチで進めています。2034年までに新設される発電設備のうち、全体の6割以上を再生エネルギーでまかなう計画を掲げており、外資企業の技術や資本を積極的に取り入れながら、持続可能なエネルギー供給体制の構築を行っています。
4月中はガソリンと軽油の価格は据え置き
国営の石油企業であるプルタミナは、原油価格が高騰する状況下でも、4月中はガソリン・軽油の価格を据え置くと発表しました。ガソリンと軽油は補助金対象外であり、本来は市場価格に合わせて値上がりするはずですが、政府がその損失を補填することで、国民の購買力と経済の安定を最優先させた形です。
しかし、直近ではルピア安が進行しており輸入コストは増大傾向です。こうした通貨安により他国からの石油・ガソリンの調達コストが増加し、財政赤字の拡大につながる可能性があります。
まとめ
インドネシアは東南アジア最大の産油国である一方で、国内需要の多くは輸入によってまかなわれています。これは国内の精製能力が不足しているためであり、今回の中東情勢の不安定化は国内の経済に大きな影響を与えています。
原油備蓄は20日程度と発表されていますが、インドネシア政府は十分な備蓄量があると強調しています。今後は供給源の多角化を進めて供給不安を回避しつつ、再生エネルギーへの転換をどこまで進められるかが焦点となるでしょう。