2026年から始まるインドネシアの法規制のまとめ
毎年着実な経済成長を続けるインドネシアでは、市場拡大に合わせて法制度の整備も進められています。2026年には、ハラール認証表示の義務化や米の輸入禁止といった、国内の産業や貿易に影響を与える法規制が実施される予定です。
本記事では、2026年から始まるインドネシアの主な法規制について、その背景やポイントを分かりやすく解説していきます。
2026年に始まるインドネシアの法規制
2026年には、インドネシアで重要な法規制が施行されます。主な内容を順に見ていきましょう。
ハラール認証表示の義務化
インドネシアでは、2026年10月17日からすべての飲食店でハラール認証表示が義務化されます。関連記事にもある通り、当初は2024年10月17日から飲食店を含むすべての食品関連事業者に対して施行される予定でした。しかし施行直後に制度が見直され、当面は事業資本50億ルピア(約4,750万円)以上の中規模・大規模事業者のみが義務化の対象となりました。
ハラール認証とは、イスラム法に基づき「原材料や製造、流通過程がイスラム教の規定に適合していること」を証明する制度です。今後は事業資本50億ルピア未満の零細・小規模事業者についても、ハラール認証表示が義務化される見込みです。
資源輸出業者は輸出代金全額を国営銀行に預け入れることを義務化
2026年1月1日から、石炭・パーム油・ニッケルなどの資源を扱う輸出業者に対し、外貨建ての輸出代金を全額、少なくとも1年間国営銀行に預け入れが義務付けられます。従来は民間の国内銀行での外貨保有が認められていましたが、新制度では管理の主体が国営銀行に限定され、さらにルピアへの両替も最大50%までに制限されます。
この法規制は、輸出で得た外貨が海外へ流出するのを防ぎ、国内に滞留させることが狙いです。国内に滞留したドル資金が金融市場に供給されることで、輸入企業の外貨調達が安定し、ルピアの急激な下落を抑える効果を期待できます。また、政府が資金の流れを把握・管理しやすくする狙いもあります。
ディーゼル燃料の輸入停止
インドネシア政府は、2026年にディーゼル燃料の輸入を正式に停止する方針です。これは2025年11月に東カリマンタン州のバリクパパン製油所の拡張によって国内のディーゼル燃料の生産能力が強化され、輸入に依存せず需要を賄える体制が整ったことに由来します。
この法規制の狙いは、国内のエネルギー自給率を高め、輸入への依存から脱却を図る点にあります。また、燃料輸入の削減による経常収支の改善に加え、燃料産業の育成や雇用創出にもつながると期待されています。
米の輸入禁止
2026年、インドネシアは米の輸入を全面的に停止する方針です。インドネシアは世界有数の米消費国で国内でも十分な量が生産されており、政府は2025年から引き続き米の輸入を禁止することを発表しました。
インドネシアの農業部門は、好天候や政府による農家支援策の強化によって着実に成長している産業です。政府は国の象徴でもある米の自給率100%を重要な指標と位置付けており、今後も輸入に依存しない供給体制の確立を目指しています。
16歳未満のSNSアカウントを削除
インドネシアでは、2026年3月以降、16歳未満のユーザーによるSNSアカウントの削除・制限が本格的に実施される予定です。今後は年齢に応じて利用可能なプラットフォームが制限され、基準を満たさない場合はアカウント削除の対象となります。
近年、インドネシア国内ではSNS依存症や有害コンテンツ閲覧などの問題が深刻化しており、未成年を保護するための規制強化が進められています。また、この法規制によって、プラットフォーム側もより厳格な管理体制が求められることになると考えられます。
工業団地に新しく国家認証制度を導入
インドネシアでは、工業団地の質を評価・認証する国家制度の導入が進められています。この制度で認証を受けた工業団地は優良な事業拠点として認められ、認可手続きの円滑化や各種優遇を受けられる可能性があります。
製造業はインドネシアのGDPの18.7%を占める主要な産業です。政府が定める経済成長率8%実現のためには製造業の発展が不可欠と考えており、制度の導入によって国内外からの投資促進につなげる狙いがあります。
各地で最低賃金が5〜7%上昇
インドネシアでは、2026年の最低賃金が全国平均で約6%引き上げられ、多くの地域で5〜7%上昇しました。ジャカルタでは「月給:572万ルピア(約5万1,500円)」に設定されるなど上昇傾向が続いていますが、全体の8割の州が適正生活必要水準「428万1,200ルピア(約3万8,500円)」を下回っており、給与に対する生活コストの乖離が課題となっています。
今回の引き上げは、インフレ率と経済成長率を反映する算定方式によるものですが、水準を巡って労働者・企業双方から不満の声が上がっています。労働組合はさらなる引き上げを求めて抗議のデモ活動を行う一方、企業側もコスト増の懸念を示しており、賃上げと経済成長のバランスが今後の大きな焦点となると考えられます。
まとめ
インドネシア政府は、2026年に経済、産業、社会など幅広い法規制を進めています。日系企業に関連する法規制も多く、各社迅速な対応が求められることになるでしょう。
その一方で、2025年9月に国会議員の待遇への不満を発端にしたデモによって、2026年内は国民向けの増税が見送られました。2027年以降には、観光税の導入やバリ島での残高証明の提出検討など規制強化の動きも見られており、増税を含めた新たな制度運用が行われていくと考えられます。