【2026年4月最新】ベトナムの石油・ガソリン事情
2026年2月28日にイランへの軍事攻撃が開始されて以降、世界的な石油の供給難が続いています。ベトナムも例外なく影響を受けており、各地でガソリン価格の高騰や航空機の運行取りやめなどが発生しています。
本記事では、ベトナムの石油・ガソリン事情について詳しく解説していきます。
ベトナムの石油・ガソリン事情とは
2024年時点で、ベトナム国内で1日あたりに生産される石油量は「19万7千バレル」です。対して消費される石油量は「55万5千バレル」であり、多くを輸入して需要をまかなっている状況です。
ベトナム政府は、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目標に、再生エネルギーやEV車の推進に取り組んでいます。一方で、工業化やインフラ開発の拡大により、近年の需要と輸入量は増加傾向です。
ここでは、ベトナムの石油・ガソリン事情を紹介していきます。
ベトナムは産油国の一つ
あまり知られていませんが、ベトナムは産油国の一つです。南シナ海にはバクホー油田やランドン油田、フンドン油田など複数の油田があり、約44億バレルの埋蔵量があるとされています。
2024年から2026年にかけては、ペトロベトナムや米国のマーフィー・オイル社が新しい油田を発見しています。こうした油田の発見により、ベトナムのエネルギー供給力は今後さらに強化される可能性があります。
原油自給率は30~35%程度
ベトナムは産油国ですが、原油の自給率は30%〜35%とされています。国内では需要を満たすことができず、半分以上は輸入に頼っています。
製油は国内で利用される大半を北部のギソン製油所と南中部のズンクアット製油所が担っています。両製油所は、国家のエネルギー需要において主要な位置付けにあり、今も設備投資が行われています。
原油はクウェート、ガソリンはシンガポールやマレーシアから輸入
ベトナムは原油をクウェートやナイジェリア、ガソリンや石油製品をシンガポール、マレーシア、韓国などから輸入しています。特に中東のクウェートからは全体の8割近い原油を仕入れており、国内の原油供給の生命線になっています。
今回のイランに対する軍事計画においては、特に中東のクウェートから輸入している分の影響が大きいです。これに対し政府は、供給源の分散や備蓄の放出、関税の改正など、エネルギー安全保障の確保に向けた対策を講じています。
日本に対して原油確保の支援を要請
2026年3月17日、ベトナムのファム・ミン・チン首相は伊藤直樹駐ベトナム大使と会談し、日本に対して原油確保の支援を要請しました。ベトナム側は日本で備蓄されている石油の一部の提供を求める書簡を送ったとされています。
これに対し、日本の木原稔官房長官は「国内のエネルギー安定供給を十分に確保し、緊密に意思疎通を図る」と発言し、受け渡しに対する明言を避けました。今後は日本の国内需給への影響を精査した上で判断が行われる見込みです。
ガソリン価格が上昇し、一部の航空便が運航取りやめ
2026年3月以降、ベトナムでは航空便の運行中止が発表されたり、ガソリン価格が大きく変動しています。国営のベトナム航空は、4月以降に2割程度国内線を減便することを発表しました。
また、ガソリン価格は3月10日に約22%高騰し、今後の供給不安からガソリンスタンドで長蛇の列ができました。その後ベトナム政府が介入し、税率の優遇措置と大幅な価格引き下げをしたことで、現在は安定を取り戻しています。
ベトナムの石油・ガソリンの今後
ベトナム政府の介入により、現在は石油・ガソリンの状況は安定を取り戻しています。ここでは、ベトナムの石油・ガソリンの今後について解説していきます。
首相は石油貯蔵施設の早期建設を指示
今回の石油・ガソリンの供給不安を受け、ベトナムのチン首相は石油貯蔵施設を早期に建設するように求めました。施設はギソン製油所のあるタインホア省での建設が行われており、将来的に製油と貯蔵の両方を担う重要な拠点になる見込みです。
首相は「石油の供給不足があってはならない」と強調し、国家としてエネルギー自給率の上昇を目指しています。この建設を主導するのはペトロベトナム社であり、タインホア省と連携して早期の承認と展開が行われる予定です。
ギソン製油所が5月末までの操業に必要な原油を確保と発表
2026年3月25日、ベトナム政府は「適切な代替供給源を迅速に確保した」と発表し、5月末までの原油の調達に目処がついたことを発表しました。詳細は明らかにされていませんが、代理の調達先を見つけたと考えられます。
そのため、当面の供給は確保されたものの、情勢の不安定さから先行きは依然として不透明です。6月以降も原油の安定調達や輸送リスクへの対応が課題として残っており、情勢の動向には引き続き注意が必要といえるでしょう。
政府による複数の対策が実施される予定
今回の石油・ガソリンの供給不安に伴い、省エネルギー化や不当な販売の停止など、さまざまな対策が行われる予定です。具体的には以下の通りです。
・原油の新規調達先の確保
・国内製油所のフル稼働(稼働率の最大化)
・ガソリン、ディーゼルの使用削減の呼びかけ
・EV、公共交通の利用促進
・買い占め、販売停止、価格操作の取り締まり強化
上記の通り、短期的な供給不安への対応にとどまらず、中長期的なエネルギー安全保障の強化も視野に入れた動きといえるでしょう。
まとめ
ベトナムではEV化や再生エネルギーの導入が進められているものの、現時点では石油・ガソリンへの依存度が高い状況にあります。現在は政府が直接介入し、市場の安定を維持している状況が続いています。
停戦協定の動きは断続的に見られるものの、依然として先行きは不透明です。こうした中で、ベトナムのエネルギー供給は外部環境の影響を受けやすく、今後も不安定な状況が続く可能性が高いといえるでしょう。