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ベトナムの輸出入制度とは

ベトナムの輸出入制度とは

近年の円安や日本市場の頭打ちを理由に、海外へ輸出して販路を広げたいと考えている人が増えています。現地法人が海外からベトナムに輸入する際は、所定の手続きを行った上で、関税を支払う必要があります。

本記事では、ベトナムの輸出入制度の概要や関税について紹介していきます。

ベトナムの輸入制度とは

経済成長を重ねるベトナムは、輸出入額が年々上昇しています。2023年は過去最高となる280億ドル(約4兆円)の貿易黒字を達成しました。ベトナムの主要な貿易相手国にはアメリカや中国、韓国や日本などが挙げられます。

ベトナムの現地法人が輸出入を行うために、特別なライセンスは必要ありません。現地法人設立時にIRC(投資登録証明書)とERC(企業登録証明書)を取得する際に、輸出入事業を行うことを明記して事業を始められます。

ただし品目によっては別途証明書や検査、ライセンスが必要、または輸入ができないこともあります。詳しくはjetroの資料や、商工省を始めとした各関係省庁に確認するようにしてください。

次からは、ベトナムの輸入手続きについて解説していきます。

到着前、到着日、到着後に手続きが必要

現地法人がベトナムに輸入する際は、船の到着前、到着日、到着後にそれぞれ手続きが必要です。

◆本船到着前
・シッピングアドバイスを受領
シッピングアドバイスは船会社から発行される貨物の到着予定情報で、輸入手続きの準備を開始するために必要

・乙仲業者に輸入手続き依頼

※乙仲業者は通関手続きの代行業者で、インボイスやパッキングリスト、売買契約書、B/L(船荷証券)などを基に輸入手続きを行い、税関に提出する輸入申告書を作成

・検査が必要な場合は、関係省庁の第三者機関に検査登録
特定の品目は追加の検査が必要

◆本船到着日
・D/O(デリバリーオーダー)を交換

※D/Oは貨物の引き取り権利を示す書類で、貨物の受け取りが可能に

・輸入通関申告
V-NACCSシステムで電子的に申告を行い、グリーン、イエロー、レッドのいずれかの区分に振り分けられる(イエローやレッドは別途審査や検査が必要)

※ V-NACCSシステム(Vietnam Automated Cargo Clearance System)は、ベトナムの税関が運用する電子通関システムのこと。このシステムを通じて、輸出入業者は通関手続きを電子的に行うことができ、手続きの迅速化と効率化が図られている

・納税
関税を納付

◆本船到着後
・申告は港か内陸の管轄税関の場合がある
・税関手続きが終了後にベトナム国内に配送

輸入時は、さまざまな書類が必要になります。手続きの多くは自社でも対応することができますが、専門知識やネットワークが求められるため、フォワーダーや通関業者への依頼が一般的です。

関税はHSコードによって決まる

関税は8桁で構成されるHSコードを基に決まります。HSコードとは、貿易品目の名称や分類を世界で統一する目的で定められた番号です。

HSコードを調べるためには、以下3つの方法があります。

・FedExが提供するデータベースWorld Tariffを利用する
・税関の公式ページを確認する
・実績のある業者やメーカーに確認する

関税の支払いと円滑な通関手続きの鍵となるため、正しいHSコードを把握しておくようにしましょう。

優遇関税制度が存在する

ベトナムでは、HSコードごとに以下3つの税率が決められています。

・標準関税率
・優遇関税率
・特別優遇関税率

優遇関税率とは特定の国や地域との貿易協定に基づき適用される税率、特別優遇関税率とは経済連携協定(EPA)や 自由貿易協定(FTA)に基づきさらに優遇される税率です。

自動車や電気機器の部品の輸入には、優遇関税率が適用されていることがあります。また、原産地証明書などの書類を提出すると、税率が大幅軽減、もしくは0%になることがあります。

ベトナムの輸出制度とは


続いて、ベトナムの輸出制度の概要を紹介していきます。

出荷日前、出荷日に手続きが必要

輸出時には、出荷前と出荷日に手続きが必要です。

◆出荷日前
・インボイス、パックリストを準備
輸出時と同様に書類を作成

・乙仲業者に輸出手続きを依頼
輸出申告書を作成後に、V-NACCSシステムを通じて輸出通関申告を行い、グリーン、イエロー、レッドのいずれかの区分に振り分けられる

◆出荷日:
・港と内陸の税関、いずれかが選べる
・免税が関係する場合は管轄税関で手続きを行う

◆船積み日:
貨物が船舶に積み込まれ、目的地に向けて出港
輸出は輸入と比較して手順が少なく、出港日前に手続きが集中する傾向にあります。

各国の規制への対応が求められる

輸出時は、輸出先の国の法律を確認する必要があります。以下は、日本で輸入が禁止されているものの一例です。

◆輸入が禁止されているもの
・特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権などを侵害する物品
・火薬類
・貨幣、紙幣、銀行券、印紙の偽造品

禁止されているものを輸入した場合、関税法等で処罰されることとなります。

(Incoterms)とは

インコタームズとは、輸出側と輸入側で責任範囲を決める国際的な枠組みです。輸出入時に責任範囲を明確に決めておくことで、誤解や金銭的なトラブルを防げます。

主には、以下の条件があります。

・EXW(工場渡し):売主の工場や倉庫で商品を受け渡す
・FOB(本船渡し):売主が指定された港で船に積み込むまでの責任を負う
・CIF(運賃保険料込み):売主が目的港までの運賃と保険料を負担する
・DDP(関税込み持ち込み渡し):売主が最終目的地までの費用とリスクを負担する

インコタームズは10年おきに見直されます。上記以外にも細かい条件があるので、会社間で取り決めをする際には、事前に確認しておくといいでしょう。

まとめ

輸出入の手続きの際は、さまざまな書類を必要とします。慣れないうちは準備や確認に時間をとられることがあるので、余裕を持って取り組むようにしましょう。

関税は、優遇関税率が適用されると大幅に軽減されることがあります。海外でのビジネスを検討している人は、この機会にぜひ輸出入と関税への理解を深めてみてください。

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