経済

インドネシアとアフリカ諸国の関係

インドネシアとアフリカ諸国の関係

インドネシアはアフリカ諸国との関係を強化しており、特に貿易と経済協力を中心に関わりを深めています。2018年と2024年にはインドネシア・アフリカフォーラムが開催、2023年にはジョコ大統領がアフリカ諸国を訪問し、さらなる発展が期待されています。

本記事では、インドネシアとアフリカ諸国との協力関係や、貿易について解説していきます。

インドネシアとアフリカ諸国の関係とは


インドネシアとアフリカ諸国の関係の始まりは、1955年にインドネシアのバンドンで開催された第1回アジア・アフリカ会議までさかのぼります。

第1回アジア・アフリカ会議には、インドネシアのスカルノ大統領やエジプトのナセル大統領など合計29ヶ国が参加し、「世界平和と協力の推進に関する宣言」として平和10原則(バンドン10原則)が採択されました。この原則の一つである「相互の利益と協力を促進する」という考えは、南半球の開発途上・新興国間の協力を意味する「南南協力」の言葉の起源です。

その後、アフリカ諸国の経済悪化や紛争、インドネシアでの民族紛争激化があり一時停滞しましたが、2000年台に入ってからの民主化と経済成長により徐々に関係が回復しました。近年はエネルギー、インフラなどさまざまな分野での経済協力が活発化し、両者の関係が再び強化されています。

次からは、インドネシアとアフリカ諸国の関係についてより詳しく解説していきます。

2024年9月にバリ島で「インドネシア・アフリカフォーラム」 を開催

2024年9月、バリ島で「インドネシア・アフリカフォーラム」 が開催されました。2018年以来6年ぶり2回目の開催で、ルワンダやガーナの首脳や代表者など合計29カ国が参加しました。

会議に出席したインドネシアのジョコ大統領は「SDGs(持続可能な開発目標)達成に向け、インドネシアはグローバルサウス(アジアやアフリカ、中南米などの新興国や途上国の総称)の利益を守り、世界的な解決策を生み出すため尽力する」と述べ、インドネシアとアフリカ諸国の関係性強化を改めて強調しています。

この会議では、計35億ドル(約5,100億円)の貿易協定の合意が行われました。資金はインドネシアやアフリカ諸国の発展のために用いられます。

食料や医療品、エネルギー分野で協力

インドネシア・アフリカフォーラムで合意された貿易協定35億ドルは、主に食料や医療品、エネルギー分野で利用される予定です。

食料品はウガンダ政府から乳製品や肉製品やコーヒー、インスタントコーヒー分野への投資を呼びかけが行われました。また、医療品はアフリカ諸国へのワクチンや医療品の輸出強化、エネルギーはアフリカ諸国への電力供給やクリーンエネルギーの開発支援のために用いられます。

原油はアフリカから全体2割を輸入

かつてインドネシアは石油輸出大国でしたが、油田の老朽化や投資不足によって国内生産量は1990年代のピーク時と比べると6割以上減少しています。一方で、インドネシアにおいては燃料需要が増えていることもあり、原油は2番目に多く輸入された製品となっています。全体の割合ではナイジェリアが36.4%と高く、次いでアンゴラ7.94%、ガボン3.81%と続きます。ナイジェリアにおいては、2021年から2022年にかけて輸入量が倍増しました。

インドネシアとアフリカ諸国の一部は、同じ南半球に位置していて地理的な利点があります。今回の合意を受けて、さらなる輸入量の増加が期待されています。

グローバル外交を始動

2023年8月、インドネシアのジョコ大統領はケニア、タンザニア、モザンビーク、南アフリカを訪問しました。

この際に「1955年のアジア・アフリカ会議でのバンドン精神を持って、グローバル・サウス諸国間の連帯と協力の強化を推進する」と歴史的つながりを強調し、インドネシアとアフリカ諸国との関係を深める意向を示しています。

アフリカ諸国への教育プログラムや物資の支援を実施

インドネシアは過去10年間で、アフリカ諸国から500人が参加する約60の教育プログラムを実施しています。教育プログラムの分野は、農業、健康、エネルギー、インフラ、貿易など幅広いです。

また、アフリカ諸国はインフラが脆弱であり、洪水や干ばつなどの天災が頻繁に発生しています。インドネシアは、ケニア、エチオピア、マダガスカルの干ばつ被害地域への食糧援助や、モザンビークとジンバブエへの医療支援を行なっています。

インドネシアとアフリカ諸国の貿易


ここでは、インドネシアとアフリカ諸国の輸入と輸出について解説していきます。

輸入は原油、鉄、大豆が中心

インドネシアはアフリカ諸国から主に原油、鉄、大豆を輸入しています。国内の原油生産は毎年減少傾向で、増え続けるエネルギー需要を満たすためには輸入が不可欠です。

鉄や大豆も国内の需要を補うために輸入しています。これらは製造業や食料供給において重要な役割を果たしています。

輸出はパーム油、紙、乾麺が中心

インドネシアはアフリカ諸国にパーム油、紙、乾麺を輸出しています。アフリカ諸国では食用油の精製や製紙技術が十分に発展していないため、インドネシアを含む諸外国からの輸入に依存しています。

また、インドネシアはインスタント麺の消費量が世界で2番目に多い国です。Indomieに代表されるインスタント麺ブランドの認知度も高く、現地で広く受け入れられています。さらに、インドネシアのインスタント麺は低価格であり、スパイシーで濃厚な味がアフリカの人々の好みにも合うようです。

まとめ

2024年9月のインドネシア・アフリカフォーラムでの合意によって、今後輸出入量の増加や教育や技術移転を通じた人的交流の活発化が見込まれています。

インドネシアは、2024年11月に新政権が誕生する予定です。次期大統領プラボウォ氏と副大統領ギブラン氏が主導する政権が、アフリカ諸国とどのような関係を築いていくか注目されています。

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