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インドネシアの製造業の現状と今後 〜新型コロナの影響でどう変わるのか〜

インドネシアのGDP成長率は毎年5%前後(新型コロナ流行前)です。人口は2億7千万人に上り、若年層が多い将来性の高い国として知られています。また、日本語学習者の数も中国に次いで世界第2位であり、アジア圏で人件費が低い水準であることから、日系企業も多く進出している国です。

今回の記事では、インドネシアの製造業の現状と今後について説明しつつ、新型コロナがどのような影響を与えたかをお伝えします。

インドネシアの製造業の現状と今後 〜新型コロナの影響でどう変わるのか〜

インドネシアの製造業とは

インドネシアでは2019年現在で合計1,489社の日系企業が進出しており、その半分を超える871社が製造業です。製造業の業種の内訳は下記の通りです。

出典:JETRO

もっとも多いのは自動車やバイクの部品で、次に電子機器や半導体、機械に使う金属部品などへと続いていきます。

日系企業の多くはジャカルタ市内や、ジャカルタから60kmほど離れたチカラン、カラワンなどに本拠地を構えています。

インドネシアで製造業を行う3つのメリット

ここからは、インドネシアに進出する3つのメリットを詳しく解説していきます。

1.経済成長率が高く成長が見込める

2021年、インドネシアでも新型コロナのデルタ株が猛威を振いましたが、GDP成長率3.7%を記録しました。

成長の背景には、インドネシア政府が示すwithコロナ方針があったとされています。最近ではワクチン接種が進み、新型コロナに対処できるようになったことで、2022年以降はさらなる成長が期待できそうです。

2.多くの企業が進出しており、取引先が豊富

インドネシアには、様々な業種・業態の日系企業が進出しています。日本で付き合いのある会社も現地に拠点を構えているケースも多く、仕入れ先、取引先に困ることはあまりありません。

また、現地の会社を使うことで調達にかかる人的、物流コストを削減することも可能です。

従業員が雇いやすい

インドネシアは若年層の割合が高く、日本語人材も豊富なことから、日系企業に必要な人材を雇いやすいです。現地の言葉を使えなくても、基本的な意思疎通は日本語ですることができます。

インドネシアで製造業を行う3つのデメリット

インドネシアで製造業を行うメリットを紹介してきましたが、一方でデメリットがあることも理解しておきましょう。

1.毎年の人件費高騰が顕著

インドネシアの人件費は毎年上昇しています。

まず、インドネシアの賃金を知る上で最低賃金上昇率を理解することが重要です。最低賃金上昇率は「前年9月から次の9月までの物価上昇率と、前年第3四半期から当該年の第2四半期までのGDP成長率の合算」で計算されます。2022年は2021年比で5.11%上昇させることが決まりました。

今後の経済成長率によっては、さらに上昇する可能性があります。まだ人件費は低い水準であるものの、5年、10年先には、メリットが薄くなっていくことが予想できます。

2.調達コストの上昇

人件費の高騰は、調達コストにも影響してきます。今後は、調達するものの原価だけでなく、加工、梱包、物流など多岐にわたるコストに人件費が上乗せされてくることでしょう。

デフレ傾向にある日本では、調達コストが上がるにもかかわらず、最終販売価格は上げられずに、利益幅を縮小する可能性があります。

3.為替が不安定

インドネシアの通貨ルピーは、アメリカドルと連動する「ドルペッグ制」を採用しており、比較的安定していますが、世界的な出来事が起こった時にはレートが大きく変動する可能性があります。

例えば、2020年3月上旬のコロナショック時には、ルピア/円の通貨で20%近く円高が進行しました。これは、単純計算で日本から輸入しているものの原価が20%高くなることを意味します。

インドネシアを含む海外で拠点を構える場合には、為替レートにも注意しなければなりません。

新型コロナがインドネシアの製造業に与えた影響とは

2020年から流行した新型コロナは、インドネシアの製造業にも大きな影響を与えました。
ここでは、どのような影響を与えたかを具体的にお伝えしていきます。

一部では生産維持体制が困難に

2022年3月11日現在、インドネシアでは累計586万人の感染者が出ました。感染者が増えたことにより十分な人数の従業員が出社できず、業務に大きな影響が出た会社も少なくありません。

ワクチンの普及によって、かつてほどの事態にはなっていないものの、いまだに1日1万人以上の新規感染者が出ており、予断を許さない状況が続いています。

原材料の不足

新型コロナによって他社からの供給が予定通り行われず、納期の大幅な見直しを迫られた会社もあります。

物流費の高騰

新型コロナの影響によって、近年物流費も高騰しています。

高騰の原因は、港の従業員が不足したことでコンテナが動かせず、船も荷下ろしができずに海に停滞、結果的に船が予約しづらくなったことが原因とされています。

今後のインドネシアの製造業はどうなる?

これからのインドネシアの製造業がどうなるか、人件費と新型コロナの点から解説していきます。

人件費は今後も高騰する見込み

この先も物価上昇率は上がっていく見込みです。まだ魅力的な水準にあるものの、今後は人件費のメリットは薄くなっていくことでしょう。

インドネシアへの進出は、この先人件費が上がることを見越して計画することが重要です。

新型コロナによる影響は減少傾向

インドネシアでは新型コロナの感染者は増えているものの、外国人入国時の隔離期間を短縮するなど、政府がwithコロナ方針を示しています。

ワクチンの接種により早期に復帰できるケースも増え、今後は従業員の出社や物流は安定してくると予想されます。

まとめ

インドネシアはアジア圏にあり、日本語人材も多く人件費も低い水準であることから、進出するメリットが十分にある国です。一方で人件費の高騰、為替の変動、新型コロナによるリスクなどの懸念点も残ります。

特に、新型コロナの動向は大きな影響を与えるので、今後も注意深くチェックするようにしてください。

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