インドネシアの天災がビジネスに与える影響 〜洪水、地震、津波、噴火〜
インドネシアは日本と同様に、天災(自然災害)が多い国として知られています。インドネシアはインフラ整備が遅れていることから、天災により物流や交通が麻痺し、経済に深刻な影響を与えることがあります。
2022年1月には、インドネシア政府はジャカルタから2,000km離れたヌサンタラへ首都を移転することを発表しました。この背景には洪水や地震などのリスクを避ける意図があるようです。こうしたことからも、インドネシアは天災によって大きな損害を被っていることがわかります。
今回の記事では、インドネシアの天災の種類と、今までに起こった大規模災害をまとめました。今後インドネシアへの渡航やビジネスを行う予定がある方は、参考にしてください。
インドネシアの天災

インドネシアで発生する主な天災は、以下の通りです。
・洪水
・地震
・津波
・噴火
インフラが整備されていないインドネシアでは、想定以上の被害となることがあります。「日本だとこの程度は問題ない」と軽視していると、後に大変な事態へとつながる可能性があるので注意してください。
洪水
インドネシアでは、毎年のように洪水被害が発生しています。
インドネシアは年中温暖な熱帯気候であり、1時間で50mm以上の雨が降ることも少なくありません。特にジャカルタ市やジャカルタ近郊の街は洪水被害がひどく、大雨の際に住民は高台への避難を余儀なくされます。
洪水が起こる原因は、排水の設備が整っていないことや、地面がアスファルト化して雨水が浸透しづらくなったことが挙げられます。年々改善が進んでいるものの、まだ手が届いていない部分も多く、根本的な解決には至っていません。
地震
インドネシアは日本と同様に地震が多い国です。
直近では2023年1月10日にM7.6、1月16日にM6.2の地震が発生しました。いずれも市街地から離れたところが震源であり、大きな影響はなかったようですが、今後市街地に近いところで地震が発生する可能性はあります。
後に詳しく紹介しますが、2004年12月に発生した「スマトラ島沖大規模地震」では、多くの負傷者、死者が出ました。インドネシアの建物は日本のように地震に耐えうる強度を持っていないことがあります。
人が集中する市街地で地震に遭った際には、倒壊や落下物に注意してください。
津波
インドネシアは津波被害も多いです。ジャカルタを始め、インドネシアは海に面した都市が複数あり、津波が人々の生活に影響を与えることがあります。
日本の東日本大震災では、地震よりも津波の被害の方が大きかったと言われています。海沿いの地域に滞在する際は、万が一の際に自分がどこに避難すべきかを確認するようにしましょう。
噴火
インドネシアには、合計130を超える活火山があります。
ジャワ島にあるスメル山、ムラピ山は頻繁に噴火しており、放出された火山灰によって飛行機の遅延や欠航が生じることも少なくありません。
また、噴火によって津波が発生することもあります。インドネシアではありませんが、2022年1月にトンガで噴火が発生した際、遠く離れた日本まで津波が到達したことがありました。
噴火をするような山は都市から離れた場所にあり、直接的な被害を受けることは少ないものの、さまざまな併害が起こる可能性はあります。
インドネシアで起きた大規模な天災

続いて、インドネシアで起きた大規模な天災を紹介していきます。
・2004年12月:スマトラ島沖大規模地震
・2007年2月:ジャカルタ大洪水
・2022年12月:ジャワ島スメル山噴火
どのような天災であったか、詳しく見ていきましょう。
2004年12月:スマトラ島沖大規模地震
スマトラ島沖大規模地震は、多くの犠牲者を出したとして日本でも連日報道されました。確認できているだけでも22万人以上の死者、その中で40人の日本人が犠牲となっています。
この地震はインドネシアだけでなく、インドやタイ、スリランカ、マレーシアなど、周辺各国にも被害を及ぼしました。犠牲になった日本人の多くは、タイのプーケットやスリランカに滞在していたようです。
被害総額は78億ドルを超え、復旧作業は数年間にわたって行われました。
2007年1月:ジャカルタ大洪水
2007年1月末〜2月にかけて、ジャカルタに集中豪雨が襲いました。この洪水によりジャカルタ市内の60%が浸水被害に遭い、中には5m以上の水位に達したところもあったようです。
実は1月〜2月はもっとも雨が多い期間といっても過言ではなく、過去に4回(1996年、2003年、2007年、2013年)も大洪水が発生しています。
洪水は大小問わず頻繁に発生します。この期間にインドネシアに滞在する方は、特に注意してください。
2022年12月:ジャワ島スメル山噴火
2022年12月に、インドネシアの人口第2位都市のスラバヤから約100kmほどの場所にあるスメル山が噴火しました。もともと噴火することが多い活発な山であるものの、最近は頻度が高くなっており、周辺住民からは不安の声が上がっています。
さらに、2023年に入ってからも離島にあるクラカタウ山や、西スマトラ州のマラピ山とクリンチ山でも噴火が報告されています。
噴火と合わせてM6前後の地震も各地で報告されており、何か大きな天災が起こる予兆ではないかと考える人も多いようです。
天災がビジネスに与える影響
過去の洪水や地震の際には、交通インフラが麻痺し、電気や水道などのライフラインも停止したことがありました。
天災がビジネスに与える影響は計り知れません。
突発的な天災はやむを得ないですが、雨季の前には遅延を見越して在庫を用意する、交通インフラが動いているうちに発注を済ませておくなど、先行して手を打つことが求められます。
まとめ
本記事でも紹介してきたように、今までインドネシアでは数々の大災害が発生しましたが、その度に復活を果たし、GDPは毎年5%前後上昇しています。
この先30年間は毎年2〜300万人前後増えると予想されており、世界各国からの投資を集めることになるでしょう。
インドネシアでは、常に天災によるリスクがあります。有事の際には早め早めの対応を行い、被害を最小限に抑えられるようにしましょう。