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資源国インドネシアの今後 〜加工貿易を推進する政府〜

資源国インドネシアの今後 〜加工貿易を推進する政府〜

インドネシアは、石油や天然ガスなどが取れる資源国として知られており、古くから海外へ輸出してきました。しかし、資源は枯渇しいずれは頭打ちになる可能性があることから、1970年代に依存度を下げる目標を掲げ、近年は加工貿易を推進しています。

従来インドネシアの輸出は中国や米国、日本が中心でしたが、最近は東南アジア、インド向けも増えています。

本記事では、現在のインドネシアの天然資源についてや産業の特徴、大手企業などをまとめました。

インドネシアの天然資源とは

出典:外務省|インドネシア基礎データ

インドネシアが輸出している天然資源には、主に以下のものがあります。

・石油
・石炭
・天然ガス
・錫

上記以外にも、金やボーキサイト、鉄鉱石など、さまざまな種類の天然資源が取れます。

しかし、表を見てもわかるように、全体に対して鉱業(石油、石炭、天然ガス)が占める割合は8.9%と高くありません。1970年代には、石油と天然ガスが輸出の5割以上を占めてきましたが、割合は大きく変わっています。

現在は車やバイクメーカーを中心とした製造業や、温暖な気候を活かした農林水産業が割合として高いです。

インドネシアの貿易額

2021年、インドネシアの貿易額は「輸出:2,315.4億ドル」「輸入:1,961.1億ドル」でした。全世界的に需要が戻ったことから、大きな貿易黒字を達成しています。

国ごとに見ると、最大貿易国は輸出輸入ともに中国であり、日本は輸出で「2位」輸入で「3位」です。2007年頃には日本が最大貿易国でしたが、最近は中国やタイ、シンガポールなどに対しての貿易額を増やしています。

インドネシアの産業の特徴

ここでは、インドネシアの産業の特徴を紹介していきます。

・加工貿易を促進
・輸入・輸出ともに年々増加

それぞれ詳しく見ていきましょう。

加工貿易を促進

2014年、インドネシアは国内の製錬を義務づけ、未加工鉱石の輸出を禁止する政令、大臣令を発効しました。しかし、国内採掘団体の強い反対により禁輸が実現せず、失敗に終わった経緯があります。

近年は加工貿易に注力しており、鉱業分野は減少傾向です。インドネシア政府は再び禁輸を進めており、2020年1月にニッケル鉱石、2023年6月にはボーキサイト鉱石も禁止する方針を示しています。

輸入・輸出ともに年々増加

新型コロナの影響により、2019年から2020年にかけては輸入・輸出共に減少しました。しかし、2021年には輸出額は40%以上上昇、2022年も大幅増を記録しています。

2022年は過去最高の貿易黒字となり、インドネシア経済の成長を支えました。特に石油や天然ガスが大幅な伸びを記録しましたが、中国、米国、日本の購買担当者景気指数(景況感を示す指標)が低下しており、2023年以降の需要を懸念しているようです。

インドネシアの資源分野の大手企業を紹介

ここでは、インドネシアの資源分野の大手企業を紹介していきます。

・プルウサハアン・ガス・ヌガラ
・アダロ・エナジー
・アネカ・タンバン

紹介する企業は、アジア報道に特化したメディア「Nikkei Asian Review」のASEAN100より選定しています。

プルウサハアン・ガス・ヌガラ

プルウサハアン・ガス・ヌガラはガスのプロバイダーから全国の顧客への輸送・供給を行う会社です。政府よりインフラを提供する権限を受けており、毎年堅実に収益をあげています。

1965年に設立された老舗の会社であり、最近は通信や建設事業も展開しています。今後インドネシアの人口の伸びと共に、成長が期待できる企業といえるでしょう。

アダロ・エナジー

アダロ・エナジーは、鉱業、採石業、貿易、輸送など幅広い事業を手掛ける国営企業です。特に石炭分野ではインドネシア最大級の規模を誇り「PT Adaro Indonesia」「Balangan Coal Companies」など、複数のグループ会社があります。

近年は順調に収益を増やしており、2022年は8,100万ドル(約10億5,000万円)を記録しました。顧客基盤が確立されており、2023年以降も安定した業績をあげていくことが期待されています。

アネカ・タンバン

アネカ・タンバンは、ニッケル、金、銀、ボーキサイトなどの採掘や生成を行う企業です。特に金、ボーキサイト分野では他社を圧倒する実績を誇ります。

高い生成技術を持ち、インドネシア政府による禁輸の影響を受ける中でも、売り上げを伸ばし続けています。

資源国インドネシアの今後

インドネシア政府は石油で9.5年間、ガスは19.9年間の備蓄があることを発表している一方で、資源枯渇の不安を抱えています。

近年は加工貿易にシフトを続けていますが、依然として天然資源がインドネシア経済に与える影響は少なくありません。今後は主力である製造業や、通信、金融、保険など、成長を期待できる産業の割合を増やしていくことが求められます。

まとめ

インドネシア政府は、近年未加工鉱石の輸出を禁止する意向を示していることから、今後産業の構造が大きく変わる可能性があります。

インドネシア経済は内需中心ともいわれており、輸出はさらなる伸び代を秘めているといえます。今後インドネシア政府がどのような施策を打ち出し、市場にどのような変化が見られるか注目していきましょう。

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