【世界有数のコメ生産・消費国】インドネシアの農業の今と今後
インドネシアは年中温暖で、作物の栽培に向いている国として知られています。コメの生産量は世界で3番目に多い国であり、日本へも多く輸出されています。
農業は古くからインドネシア経済を支えてきました。しかし、近年産業の構造に変化が見られ、GDPに占める割合が減りつつあります。また、さまざまな課題を抱えており、首都移転を迎えることで、今後新たな変化が起こるかもしれません。
本記事では、インドネシアの農業の特徴や輸出入、課題などをまとめていきます。
インドネシアの農業の特徴

インドネシアの農業の特徴は以下の通りです。
・熱帯の国で農業に適している
・コメ、トウモロコシ、サトウキビなどの生産が盛ん
・GDPに占める割合は減少傾向
それぞれ、詳しく解説していきます。
熱帯の国で農業に適している
インドネシアは赤道直下にある熱帯性気候の国で、1年間を通じてほぼ気温の変化はありません。どの時期の気温も「24℃〜33℃」の間に収まることが多いです。季節は5月〜10月は乾季、11月〜4月は雨季と大きく分けられます。
年間を通じて温暖な気候であるため、二毛作または三毛作で栽培することが可能です。恵まれた環境で豊富な生産量を誇る国ですが、一方で品種改良が進まない、サプライチェーンの発達が遅れている、などの課題も抱えています。
コメ、トウモロコシ、サトウキビなどの生産が盛ん
インドネシアは温暖な気候を活かし、コメ、トウモロコシ、サトウキビ、キャッサバ、ピーナッツなどの生産が盛んに行われている国です。
世界第3位の生産量を誇るコメは、インドネシア国内でも主食になっています。米国、中国に大量に輸出されていますが、国内の供給が行き届いていない地域では、コメ不足が発生しています。
2019年には、東カリマンタンに住む3割以上の人がコメ不足に悩まされました。東カリマンタンは新首都ヌサンタラのあるエリアでもあり、本格移転が始まる2024年からは、さらに加速する可能性があります。
GDPに占める割合は減少傾向
インドネシアで、農林水産業が全体のGDPに占める割合は13.2%です。卸売や小売業よりも割合が多く、全体としても少なくない数字ですが、近年は減少傾向です。
1960年代は第一次産業の割合は50%を超えていましたが、2000年代には15%程度まで下落し、2020年に至るまでほぼ横ばいを続けています。最近では製造業や情報・通信業が大きな伸びを記録しています。
インドネシアの農作物の輸出と輸入

ここでは、インドネシアの輸出と輸入について解説していきます。
輸出
インドネシアの、主な農作物の輸出品は以下の通りです。
・コメ
・コーヒー豆
・キャッサバ
・パーム油
・ゴム
・ココア
生産量は、コメで世界第3位、コーヒー豆で世界第4位、キャッサバ(タピオカ粉)で世界第6位です。以前まではアジア向けが中心でしたが、最近ではアメリカやヨーロッパにも販路が拡大しています。
輸入
インドネシアは、米国や中国、ブラジル、インドから、大豆や小麦、飼料、牛肉などを中心に輸入しています。
日本からは加工原料用のマグロやサバなどの輸入が中心です。インドネシアでは、近年日本食への関心が高まっており品目は拡大傾向ですが、宗教上の理由で食べられないものも多いため、その広がりは限定的です。
インドネシアの農業の課題

最後に、インドネシアの農業の課題を挙げていきます。
・教育レベルが低い
・平均収入が低い
・サプライチェーンが不十分
それぞれ、詳しく解説していきます。
教育レベルが低い
インドネシアは日本と同様に小学校6年間、中学校3年間が義務教育期間です。しかし、農業従事者の8割以上が小学校を卒業した後に働いている、というデータがあります。
そのため、教育レベルが上がらず、技術が発展しないという課題を抱えています。
平均収入が低い
インドネシアの労働者全体の平均月収は「約3万円」ですが、農家では「2万円以下」で働いている人もいます。そのため、若者が農家を継がずに、サービス業や工場のワーカーなど、他の道を選ぶことも少なくありません。
インドネシアは平均年齢29歳と若く、毎年人口が増え続けている国です。しかし、今後は日本のように農家の成り手が減少し、後継者問題が浮上してくる可能性も十分に考えられます。
サプライチェーンが不十分
インドネシアの労働者全体の平均月収は「約3万円」ですが、農家では「2万円以下」で働いている人もいます。そのため、若者が農家を継がずに、サービス業や工場のワーカーなど、他の道を選ぶことも少なくありません。
インドネシアは平均年齢29歳と若く、毎年人口が増え続けている国です。しかし、今後は日本のように農家の成り手が減少し、後継者問題が浮上してくる可能性も十分に考えられます。
まとめ
インドネシアは毎年経済成長をしている国です。新型コロナから経済が回復しつつある中、農家の収入の低さやサプライチェーンの問題は残されたままとなっています。
国としては助成金を出し、農機の購入支援などをしていますが、まだ抜本的な解決には至っていません。2024年以降はジャカルタからの首都移転が始まり、さらなる課題が発生する可能性があります。