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インドネシアと米国・中国との関係

インドネシアと米国・中国との関係

多くの国にとって、世界最大の経済大国である米国と中国の関係は無視できません。米国、中国は経済、政治、軍事などさまざまな面で世界的な影響力を持っています。2045年に先進国入りを目指すインドネシアにとっても、両国は重要な位置付けにあります。

本記事では、インドネシアと米国・中国との関係と、近年起こった出来事をまとめました。

インドネシアと米国・中国の関係とは

インドネシアのジョコ大統領は「米国も中国も大事な友人」と述べているように、両国に対して良好な関係を築こうとしている様子がうかがえます。近年でも米国の支援を受け交通インフラの開発、中国の支援を受けて高速鉄道が開通するなど、動きが活発化している状況です。

2014年10月に就任したジョコ大統領の政権は現在第2期目を迎えており、人材育成とインフラ開発、経済規制緩和を優先事項として掲げています。現在は首都移転の最中で多額の費用がかかると想定されており、今後に向けてさらなる支援が必要となる可能性があります。

インドネシアと米国の関係

インドネシアと米国は、2023年に外交樹立75周年を迎えました。従来両国の関係は悪くありませんでしたが、過去に米国の国防長官が東南アジアを巡った際、インドネシアを訪問しなかったことで「米国はインドネシアに不信感を抱いている」という疑念が生まれたこともあります。ここでは、インドネシアと米国の関係を示す重要な出来事をいくつか解説します。

2020年の米中関係が緊張する中で接近

2019年末から2020年初頭にかけて、中国漁船がインドネシアの領海内に何度にもわたり侵入したことが原因で、両国の関係が緊張状態になりました。そうした状況の中、2020年10月に米国のポンペオ国務長官は「我々は中国共産党の不法な主張を受け入れない」ことを強調し、インドネシアを重視するとともに接近する姿勢を示しています。

その後は新型コロナの沈静化もあり、インドネシアと米国間での動きが活発化し始めます。2022年8月に米国企業団35社が訪れた際も、ジョコ大統領が直接投資の呼びかけを行っています。

米国はインドネシアとの関係を格上げ

2023年11月、ジョコ大統領はバイデン大統領と75周年の記念会談を行い、両国の関係を包括的戦略的パートナーシップへ格上げすることを宣言しました。

包括的戦略的パートナーシップとは、戦略的パートナーシップの上位版の位置付けで、政治や経済、インフラ整備などあらゆる面で、両者が共同で利益を得るために協力関係を持つことを示します。

ただ、曖昧な意味合いを持つ言葉であり、今後の中身が伴わない場合は名前倒れになる可能性もあるでしょう。

輸入額・輸出額ともに上昇傾向

輸入額・輸出額ともに上昇傾向

インドネシアの米国に対する輸出入額はいずれも上昇傾向です。特に輸出額の伸びはめざましく、2012年からの10年で約2倍に増加しています。

米国からの輸入品は燃料や油、機械やボイラー、果物や穀物が中心であるのに対し、輸出品は電子機器、アパレル用品や靴、ゴムなどが多いです。

インドネシアと中国の関係

中国は同じアジア地域内にある大国であり、インドネシア経済の中に深く入り込んでいます。中国との外交樹立は83年と米国より長く、時に緊張状態になりながらもおおよそ良好な関係を築いてきました。インドネシアと中国について、近年の重要な出来事について詳しく解説します。

2020年1月に中国漁船が領海へ侵入したことで緊張状態に

2020年1月に中国海警局の哨戒艇(しょうかいてい)を伴った船隻が、インドネシア北部のナトゥナ海で操漁業活動を行ったことで、一時過去類を見ない緊張状態になりました。哨戒艇とは武装した船であり、インドネシア領海の平和を侵害するとして、ジョコ大統領は「当国の主権に関しては交渉の余地はない」と述べています。

こうした出来事は2016年頃から続いており、緊張が緩和した後も2020年9月に再び侵入したことが報告されています。

2023年10月に中国製の高速鉄道が開通

日本との競争の末に中国が受注した高速鉄道が、2023年10月に開通しました。開通は予定より4年遅れ、当初予定していなかったインドネシア側への負担も発生したものの、ジョコ大統領は「経験は高くついたが貴重なことで、おそれる必要はない」と一定の評価を下しています。

高速鉄道を代表的な例として、中国はインドネシアの経済発展に貢献している一方で、年々債務も増え続けている状況です。将来的には返済や利払いによる財政逼迫が懸念されています。

輸入額・輸出額ともに上昇傾向

インドネシアの中国に対する輸出入額も上昇傾向です。地理的な利点があり、2015年からは輸入額は2倍、輸出額は4倍といずれも米国を上回る伸びを記録しています。

中国からの輸入品は機械や電子機器、プラスチックが中心で、輸出品は鉄鋼、燃料や油、ニッケルがメインです。

まとめ

インドネシアは、国で区別せず全方位的に良い外交関係を築こうとする動きが見られます。
米国と中国でお互いを意識した動きが見られる中で、今後インドネシアがどのような方針を打ち出して協力関係を築いていくか、注目していきましょう。

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