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【持続可能な道へ】インドネシアの漁業の現状

【持続可能な道へ】インドネシアの漁業の現状

インドネシアには17,000を超える島々があり、領土は広く海に面しています。また、年間を通じて気候は温暖であり、中国に次ぐ世界第二位の漁獲生産高がある国です。

しかし近年漁獲生産高は減少傾向で、養殖業や加工業へシフトする動きが見られます。また依然として違法漁業が横行しており、海洋生態系への影響も懸念されています。

本記事では、インドネシアの漁業の概要やビジネスの現状をまとめました。今後インドネシアへビジネスでの参入をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

インドネシアの漁業とは

インドネシアでは労働人口全体の6.5%に相当する、約1,200万人の人々が漁業に従事しています。漁業は古くから農村部の主要な産業として、地域の生活を支えてきました。

近年魚加工市場は伸びています。2027年には、2018年の約2倍にあたる98億ドル(約1兆4,700億円)に到達すると予想されているように、成長市場としての期待が大きいです。

この見出しでは、インドネシアの漁業の概要をまとめました。

輸出水産物はカツオ、マグロ、エビ、タコ類が中心

インドネシアの輸出水産物としてはカツオ、マグロ、ナマズ、エビ、タコ類が中心です。インドネシア最大のジャカルタ漁港からは、日本へカツオやマグロ、エビを中心とした品目が輸出されています。

インドネシア国内の需要も年々増加傾向です。2021年の魚の消費量は年間55.37kg/人で、すでに日本を超える数字となっています。近年は子供を中心に肥満率が上昇しており、ヘルシーな魚料理への関心が高まっています。

漁獲生産量は世界第2位

インドネシアの2021年の漁獲生産量(漁獲量と養殖生産量の合計量)は2,181万トンで、中国の8,594万トンに次ぐ世界第2位の数字です。品目別で見ると、マグロ類の生産量は55万トンで世界No.1の数字であり、日本の約13万トンを大きく上回っています。

インドネシアの海産物は、日本にも多く輸出されています。2024年1月には、日本へ輸出されるマグロ缶とカツオ缶の関税撤廃の合意が行われました。早ければ2024年末には有効となる見込みであり、さらなる活性化が期待されています。

近年の漁獲生産量は減少傾向

インドネシアの漁獲生産量は、2016年の2,320万トンをピークに減少傾向です。近年は地球温暖化により海水温が上昇したことで魚が育たず、ここ数年で大幅に収入が減少している漁師も少なくありません。

漁獲生産量が減少する一方で、魚の加工市場は成長しています。自然環境が変わる中で、持続可能な業態への変化が求められています。

インドネシアの漁業に関連するビジネス

ここでは、養殖業、加工業、流通業といったインドネシアの漁業に関連するビジネスを紹介していきます。

2019年には過酷な環境のマグロ漁船で働かされて、10人もの人が亡くなる悲惨な事件も起こりました。また、低賃金で働く人も多く、労働環境と待遇面を含めた改善が求められています。

養殖業

インドネシアの養殖業の主力商品として「エビ」「魚」「真珠」の3つが挙げられます。中でもブラックタイガーやバナメイエビなどのエビ類は、日本にも多く輸出されています。

近年の世界的なSDGs推進の流れもあり、環境保護はインドネシアの養殖業の課題の一つです。テクノロジーを用いた取り組みも盛んに行われており、効率性と自然環境保護の両立を実現すべく、さまざまな事例が生まれています。

加工業

冒頭でも紹介したように、魚を加工して付加価値をつけて出荷する加工業は成長分野の一つです。インドネシアで水揚げされたマグロやカツオ、エビなどが現地で加工され、国内での消費や世界各地に輸出されます。

日系企業では水産大手の極洋やニチレイが、インドネシア産のサワラやエビの加工品を販売しています。

流通業

水産物の流通において、冷蔵・冷凍で輸送するコールドチェーンは重要ですが、インドネシアでは発達が遅れています。また、水産物を保管する冷蔵・冷凍倉庫も十分に整備されていません。

2023年10月には三井物産が、冷蔵・冷凍物流網を持つ現地企業のPangan Lestari社(パンガン・レスタリ)に出資参画することを発表しました。世界のコールドチェーンに知見を持つ三井物産の参画により、物流網の拡大が期待されています。

インドネシアの漁業の今後

インドネシアの漁業で、漁獲生産高の減少は大きな懸念点といえます。地球温暖化により漁獲高が減少するだけでなく、強風・豪雨などの異常気象により、漁に出られない日も増えているようです。地球温暖化は年々進行しており、今後さらに大きな影響が出てくる可能性があります。

インドネシア政府は「やみくもに取って売る従来の水産ビジネス」から「高品質で商品価値の高いものを売るビジネス」へのシフトを推奨しています。今後は、生態系に配慮した持続可能なビジネスの展開が求められるでしょう。

まとめ

インドネシアで獲れた海産物は、日本にも多く輸出されています。2023年10月にはマグロ缶・カツオ缶の関税が廃止されたことで、さらに活発に取引が行われる見込みです。

インドネシア国内で魚の消費量は増加傾向であり、今後も市場の成長が期待できます。日本で培った知見が、コールドチェーンや冷蔵倉庫などが不足する課題解決に貢献する可能性があります。

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