経済

ベトナムの2024年後半の景気動向

ベトナムの2024年後半の景気動向

ベトナムの経済は新型コロナ禍でも地道な成長を重ね、国境が正常化した2022年3月以降は一時大きな躍進を遂げました。しかし、2022年末に不動産会社の幹部が相次いで逮捕された事件や、海外からの投資額の減少により経済は停滞し、2024年5月現在もまだ完全には回復していません。

本記事では、2022年3月〜2024年前半と2024年後半の景気動向について、主な出来事を元に解説していきます。現在と今後のベトナム経済に興味のある人は、ぜひ記事を読み進めてみてください。

現在のベトナムの景気動向

ベトナムの株価は、2022年後半を底に緩やかに回復傾向にあります。しかし、2023年から世界的に株価が上昇している中で乗り遅れており、2021年1月に記録した高値をまだ超えられてはいません。

ベトナムの経済では直近2年で不動産会社幹部の逮捕や、外国からの投資額減少などさまざまな出来事があり、景気の停滞感が感じられます。しかし、2024年後半以降は、それらの懸念材料が解消する見込みのため、全体として強気の成長を予想している人は多いです。

次からは、ベトナムの2024年前半までの主な景気動向を紹介していきます。

ベトナムの2024年前半までの主な景気動向

ここではベトナムの国境が正常化した、2022年3月から2024年5月までの景気動向を解説していきます。

不動産会社幹部の相次ぐ逮捕

2022年10月、不動産大手VTPグループのチュオン・ミー・ラン会長の逮捕を機に、数々の不動産会社の不正が明るみになりました。これを発端に、地場不動産会社タンホアンミンの会長ドー・アイン・ズン氏や、フックソングループの収賄による入札違反で幹部複数名や、人民委員会の主席の逮捕者が出ています。

この事件は不動産バブルの崩壊の原因となり、主にホーチミン市やビンズオン市などベトナム南部のマンション価格が暴落しました。さらに、不動産に限らず建設やインフラなど他の業界へ波及し、ベトナム経済全体が停滞する大きな原因となっています。

輸出入が減少

2023年ベトナムの貿易額は輸出で▲4.6%、輸入で▲9.2%と14年ぶりの減少を記録しました。前年割れとなったのは2009年ぶりのことで、内訳を見ると、輸出額1位の米国で▲11.3%減、輸入額1位の中国で▲6.6%減、2位の韓国で▲15.6%、3位の日本で▲7.5%減と、主要な国の間で相次いで下落しています。

ベトナムの貿易額が前年割れとなったのは14年ぶりのことです。2024年第1四半期は、主要な貿易国の数値は回復傾向です。

製造業への懸念低迷

ベトナムでGDPの23.4%を占める重要な産業である製造業への先行きに対する懸念は残ります。

2024年第1四半期の製造業のGDPは6.98%増でした。数字としては良かったものの、英国の調査会社IHSマークイットによるベトナムの製造業購買担当者景気指数(PMI)は、3月に悪化の境目となる50を割る49.9まで低下しました。

ベトナムの統計総局による製造業向けの調査では、内需の低迷55.1%と外需の低迷34.2%を大きく上回っている数値が出ており、国内市場の停滞感を示しています。

ベトナムの2024年後半以降の景気動向

続いて、ベトナムの2024年後半以降の景気動向を解説していきます。

不動産会社幹部の裁判の判決が出る

2024年4月にVTPグループのチュオン・ミー・ラン会長に対して死刑が宣告され、裁判に大きな進展がありました。多くの不動産企業は幹部の逮捕後に営業を停止していましたが、今回の判決を機に再開される見込みです。

同会長は判決を不服として控訴する予定であり、まだ裁判の決着はついていません。しかし、業務再開は業界にとって大きなニュースです。取引が活発化し、全体として上向きとなることが期待されています。

経済促進計画の実施

ベトナム政府は景気の低迷を受けて、2023年から数々の経済促進や内需換気の計画を実施しています。具体的には以下の通りです。

・納税の猶予
・付加価値税2%の減税
・ガソリンや石油製品に対する環境保護税50%減税
・貸出金利の削減
・社債投資の一部条件の緩和

こうした計画の多くは2024年5月現在も継続して行われており、経済活性化を促進する一助となると考えられます。

海外直接投資(FDI)が増加

2024年1月〜2月のベトナムの海外直接投資(FDI)は、前年同期比で38.6%増となりました。

海外直接投資とは、海外で経営参加や技術提携を目的に行う投資のことです。2024年後半以降の設備投資や不動産取得、資本参加などが期待できます。

新工場設立が発表

海外直接投資の増加に伴い、2024年後半以降の外資企業の新工場や、法人の設立が相次いで発表されています。具体的には以下の通りです。

・OA機器メーカーの天馬株式会社がベトナムに第二工場建設
・ベアリングメーカーの日本トムソン株式会社がサブリース契約し新工場設立
・中国の最大手自動車メーカー斧上汽集団がベトナム現地法人を設立

人口が多く人件費が他国と比較して安いベトナムは、製造業の会社にとってまだ魅力的な市場と捉えられているようです。

2024年全体を通しての見通しは明るく、GDP成長率は6.0%と予想されています。これはフィリピンと並び、東南アジアではもっとも高い数字です。

まとめ

2024年後半には、ベトナムの経済活性化を阻害する原因となっていた不動産幹部の裁判と外資からの受注減が解消される見込みです。2023年には経済が停滞したものの、2024年後半以降に大きく巻き返すと予想されています。

懸念が解消され、多くのプラス材料があるベトナム経済に今後も注目していきましょう。

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