インドネシアとイスラム教 〜進出する上で絶対に避けるべきタブーとは〜

私たち日本企業が海外へ進出する際は、各国の宗教についての理解が求められます。日本は熱心に信仰している人の割合が少なく、宗教の決まりや戒律に面食らってしまうことも少なくありません。

インドネシアではイスラム教を信仰している人が多く、ラマダンを筆頭としたさまざまな慣習が存在します。これからインドネシアに進出を考えているのであれば、ぜひイスラム教への理解を深めておくべきといえるでしょう。

本記事では、インドネシアのイスラム教の概要や特徴、知っておくべきタブーを紹介していきます。

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インドネシアでは人口にして約2億4,000万人、全体の9割近くがイスラム教を信仰しています。信仰されている宗教の中で圧倒的に多い数字ですが、国として決められているわけではありません。どの宗教を信じるかは自由で、改宗することも可能です。

信仰の度合いは人によって異なり「目の前で豚肉を食べないでほしい」と主張する人もいれば、お酒を飲みラマダン中に断食をしない人もいます。相手のことを深く理解する必要があり、ビジネスの場では状況に合わせた手配や采配が求められます。

ここでは、インドネシアのイスラム教の特徴を5つ挙げていきます。

・他の宗教を認めているが争いの懸念は残る
・1日5回のお祈りを行う
・ラマダンの時は日中の時間帯は断食する
・ハラルフードが主食
・一部を除きお酒は販売されている

それぞれ詳しく見ていきましょう。

インドネシアでは、キリスト教徒やヒンドゥー教徒も一定数います。インドネシアは、250を超える言語で約300の民俗が暮らしており、憲法上でも多様性を認めている国です。

1998年〜2001年には「ポソ宗教紛争」が勃発しましたが、近年宗教間の関係は比較的安定しています。しかし、2013年に宗教少数派を狙った暴力や、2020年にキリスト教徒4人が殺害される事件も起こっています。

イスラム教では1日の「夜明け前」「昼12時ごろ」「午後3時ごろ」「夕方6時ごろ」「夜8時ごろ」の合計5回お祈りを行います。基本的にオフィスにはお祈りを行う部屋(ムショラ)が用意されていますが、外出時は周囲にないことがあるので注意が必要です。

また、金曜日にはジュマタンと呼ばれる男性専用のお祈りがあります。お祈りは昼1時近くまで行われるため、昼休憩を長くするなどの配慮が必要なことも覚えておきましょう。

ラマダンとは、1年に1回ある断食月のことです。日程は毎年異なり、2022年は4月1日〜5月1日の間行われ、2023年は3月22日〜4月20日の予定となっています。

ラマダンの期間は日の出から日の入りまで食事を取らない、怒りの感情を出さず節制を心がける、などの決まりがあります。

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ハラルフードとは、イスラムの戒律で許可された食べ物、調理法で作られた料理のことです。

イスラム教では「豚肉」と「アルコール」を全面的に禁止しています。特に豚肉については厳しく、豚を調理した料理を食べることや、豚由来の成分が入った医薬品も利用できません。

自分の料理を振る舞う際や、レストランを予約する際には、十分に配慮する必要があります。

イスラム教ではアルコールを禁止していますが、外国人が住むエリアでは購入できることがあります。

しかし、最近は店頭で手に入りづらくなってきており、居酒屋や異国料理を提供するレストランでお酒を飲むことが一般的です。

ここでは、インドネシアでビジネスを行う上で、気をつけるべきことを紹介していきます。

・左手は「不浄の手」であり基本的に使わない
・ラマダン中は公共の場で飲食は避ける
・外国人も露出の多い格好を避ける

イスラム教への理解が浅いと、日常生活やビジネスに影響が出てくることがあるので注意してください。

ヒンドゥー教にも見られる特徴ですが、イスラム教で左手は不浄の手であり、基本的に使いません。

握手や人に何かものを渡す時や食事の時には使わないようにし、どうしても必要な場合は、必ず相手に許可を求めるようにしましょう。

ラマダンは謙虚さや節制を重んじる期間でもあります。

インドネシアではイスラム教徒でない日本人が決まりに従う必要はありませんが、期間中は公共の場での飲食はなるべく控えた方がいいでしょう。

お祈りや食べ物など、日常生活でイスラム教の慣習に配慮しなければならない機会は多いです。特に、ご年配で信仰の深い方を相手にする際は、イスラム教への理解が薄いとビジネスに影響が出てくることがあります。

インドネシアのイスラム教は厳格なものではありませんが、基本的なことは知っておくべきといえます。本記事を通じてインドネシアのイスラム教を理解し、業務へと役立てていきましょう。