CREフォーラム レポート
株式会社 きくや美粧堂

(レポート)きくや美粧堂 の 物流戦略  ~ 大企業じゃなくても 物流をあきらめない ~

会社概要

会社概要

株式会社 きくや美粧堂
サプライチェーン部物流担当マネージャー
松丸 忠弘(まつまる ただひろ)氏

 きくや美粧堂は、美容商材(シャンプー・トリートメント等の毛髪化粧品、美容機器等)の販売からコンサルティング、さらには商品流通に至るまで、美容業に携わる方々のトータルサポートを行う美容ディーラーです。

 「きくや美粧堂」という名前の由来は、「声を聞く、気持ちを聞く、心をきく」から来ており、「人々が美への追求を失わない限り、われわれは進化を続け、地域の美容に貢献する」ことを企業理念としております。

 創業は1948年で、現在、従業員数は500名。営業所を34拠点、物流センターを2拠点持っており、取引先は約1万7,000件になります。

きくや美粧堂の物流センター拠点

きくや美粧堂の物流センター拠点は、東京都大田区(Logistics East)と岡山県岡山市(Logistics West)の2カ所です。Logistics Eastは、面積が1,720坪で、従業員数が100名、1日の最大出荷能力が約6,000件、15万ピースです。Logistics Westは、面積が537坪で、従業員数20名、1日の最大出荷能力が約1,200件、4万ピースです。

物流センターのコンセプト

同業他社は物流を「コスト」と考えて物流をアウトソーシングしていますが、私たちは物流を「価値・事業の競争力」と考え、物流を「コストセンター」から「プロフィットセンター」へ変革することをコンセプトとし、自社で物流センターを運営しています。

プロフィットセンターの要件

物流部門をプロフィットセンターにするためには4つの要件を満たす必要があると考えています。

1つ目は、人材確保です。人手不足が深刻な今、人材を確保するために、物流センターは、労働力の確保に優れた場所に設置し、また、人々が働きやすい環境にする必要があります。

2つ目は、リードタイムです。納品のリードタイムを短縮させるために、物流センターは消費地の近くに設置しなければなりません。

3つ目は、キャリアリンクです。陸海空の輸送連携や、他社との協働(共同)に有利な場所に物流センターを設置する必要があります。

4つ目は、リスクアセスメントです。さまざまなリスクを軽減・排除するために、周辺に物流網が発展しているところを物流センターの立地場所として選択しなければなりません。

プロフィットセンターとしての施策

物流をプロフィットセンターとするための具体的な施策としては、自前でクローズドECを構築したり、ECに必要な撮影・採寸・原稿(さ・さ・げ)機能を持つ設備を作るなどしています。

また、消費者の多い場所の近くに立地する「消費立地型」物流センターとして、ラストワンマイルの自社配送、異業種共同物流、専属便による固定費配送等を行っています。

そして、人材の安定的な確保や生産性の向上と平準化のために、固定しない柔軟なシステムを採用し、柔軟性のある安定的なオペレーションを心がけています。

「ES(従業員満足度)」に対する取り組み

私たちは、物流センターのES(従業員満足度)を上げるためにさまざまな取り組みをしています。

従来の物流センターは、照明が薄暗く、働く気力がなくなってしまうところが多かったのですが、私たちは、LED照明を導入したり、BGMを全館に流すなどして、明るい雰囲気の物流センターにする努力をしています。

休憩室は、50人ぐらいが一度に休める広いスペースにして、充電ポートを置いたり、Wi-Fiも会社のネットワークが使えるようにして、従業員の方が快適に過ごせる空間にしています。

また、従業員同士が仲良くなって仕事に来るのが楽しくなるように、有給で参加できるバーベキュー等の交流イベントを催したり、また、働くモチベーションを上げるための表彰制度等も行っています。

あとは、週1日2時間からの勤務が可能な柔軟な勤務体系をとっています。短時間勤務を増やすとシフトの管理は大変になりますが、短時間のほうが生産性が高くなるので、そのような勤務体系を採用しています。

また、多能工化してお互いの仕事のフォローアップができるように、クロスジョブトレーニングも行っています。クロスジョブをすることで、いろんな人とコミュニケーションをとり、仲間をつくってもらい、従業員の定着率を上げたいと考えています。

さらに、段ボールを作る半自動製函機等、省力化のための機械を導入し、作業者の負担を軽減する努力も行っています。

あとは、生産性向上のために、倉庫内の9割ぐらいに音声システムを導入し、ハンズフリー、アイズフリーで作業ができるようにしています。

また、無軌道型の自動搬送ロボットを実験導入したりしていますが、完全省人化を目指しているわけではなく、人とロボットが一緒にうまく働けるスタイルを模索しています。

ラストワンマイル問題(ドライバー不足問題)に対する取り組み

物流業界で今問題になっているラストワンマイル問題を解決する1つの手立てとして、私たちは「e-Cube」と「Smart Qbing」を導入しました。

e-Cubeというのは、段ボールの中の商品の高さをセンサーで読み取り、最小サイズに段ボールを折り畳んでくれる自動梱包機です。e-Cubeの導入によって、トラックの積載率を20~25%上げることができました。

Smart Qbingというのは、コンベヤー上で荷物の重量とサイズを基礎できる機械です。今まではドライバーが計測と端末入力をしてから荷物を積んでいたのですが、Smart Qbingにより荷物の計測とデータ化を私たちが行うことで、ドライバーの作業時間を半分に減らすことができました。

荷主側としてラストワンマイル問題(ドライバー不足問題)に貢献できることはないかということで、私たちはこのような取り組みをしています。

きくや美粧堂の配送網

私たちは商品の出荷先により、運送会社を使い分けています。全国に出荷するときは大手宅配会社、近県に出荷するときは中堅運送会社、都内への出荷は自社配送、各県への出荷は地場運送会社をそれぞれ使っています。

このような使い分けをして、なるべくリードタイムを短縮し、安価なコストでお客様のところに荷物を運べるように努力しています。

今後の施策

私たちの倉庫ではまだ作業者が歩いてピッキングを行っているので、将来的には、作業者が歩かずに定点ピッキングができるようにしたいと考えています。その第一歩として、今年中には垂直式回転棚「バーチカルカルーセル」を数台導入する予定です。

さらに数年後には、自動倉庫型ピッキングシステム「AutoStore」を導入し、倉庫内の作業をより効率化したいと考えています。

ただ、これらの機械を入れても、人がやる作業は残ります。私たちは人も大事だと考えていますので、今後も、人と機械のバランスをとりながら、倉庫作業の効率化を進めていきたいと考えています。

講師紹介

株式会社 きくや美粧堂
サプライチェーン部物流担当マネージャー
松丸 忠弘(まつまる ただひろ)氏

株式会社 きくや美粧堂
サプライチェーン部物流担当マネージャー
松丸 忠弘(まつまる ただひろ)氏

3PLを経てきくや美粧堂へ入社。
現場管理を経て、倉庫の統廃合、物流センターの拡張、
移転、新設に携わる。
現在、東西の物流センターの管理と改善を行う。

企業 株式会社きくや美粧堂

募集要項

イベント名 第55回CREフォーラム|『きくや美粧堂の物流戦略 ~大企業じゃなくても物流をあきらめない~』
日時 2019年 6月14日(金) 14:30開場 15:00開始 16:40終了
会場 虎ノ門ツインビルディング西棟地下1階
東京都港区虎ノ門2-10-1
参加対象者 荷主・物流企業 様
参加費/定員 無料/70名限定 (定員数を超えた場合、申し込み期限前でも終了する場合があります)

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティングチーム
担当:
石原圭子(イシハラ) 近藤玲奈(コンドウ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5572-6604

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