【ロジスクエア レポート】一宮ロジスティクスセンターで実現する、中継輸送の拠点構築|トランコム株式会社

CREコラム

【ロジスクエア レポート】一宮ロジスティクスセンターで実現する、中継輸送の拠点構築|トランコム株式会社

国内で54箇所の物流拠点、48箇所の情報センターを展開するトランコム株式会社。1955年の創業以来、「創造」と「変革」の精神の下、多様な輸送モードを組み合わせた総合的な物流サービスを提供し続けている。
2023年10月に戦略拠点の一つとして愛知県一宮市にある大型物流施設「ロジスクエア一宮」に入居。本稿では、所長の犬飼氏と所長代理の野口氏に取材させていただき、9,519坪の一宮ロジスティクスセンターがもつ戦略拠点としての機能や使い勝手の良さなどについて、詳しく伺った。

インタビュイー   トランコム株式会社 一宮ロジスティクスセンター  所長 犬飼 純也 氏
                         所長代理 野口 陽平 氏
  トランコム株式会社

日用品分野の顧客を中核にし、多様な物流サービスを展開

トランコム株式会社は、総合物流サービスを提供する企業である。主要事業は3つあり、物流センター運営、輸送マッチング、生産請負・人材派遣の事業を展開。物流センター運営では、入荷・保管・流通加工・出荷までの業務を一元管理し、サプライチェーンの最適化を支援している。輸送マッチングでは、約13,000社のパートナー企業から成る全国の物流ネットワークを活用し、需要に応じた最適な輸送手段を提供する。また、生産請負・人材派遣事業では、製造現場の業務請負や人材提供を通じ、生産性向上に貢献。
これらの事業を支える強みとして、長年のノウハウに基づく高度なオペレーション管理、データ活用による精緻な物流設計、柔軟な対応力を有しており、企業の物流課題に対して最適なソリューションを提供している。

愛知県一宮市に9,519坪の戦略拠点を開設

同社は、東海エリアに分散していた拠点の集約のため、2023年10月に愛知県一宮市に拠点を開設。シーアールイーが開発したロジスクエア一宮の竣工に先立ち、賃貸借契約を結んだ。
本施設の所長である犬飼氏に一宮エリアを選んだ理由を聞くと、「愛知・岐阜・三重への配送に一宮は非常に良い立地だからだと思います。また、今後は北陸のネットワークも構築していかなくてはならないという点においても、非常に汎用性の高い立地です。」と述べた。

一宮ロジスティクスセンターは、東西の大動脈の一つである名神高速道路と、東海地方と北陸地方をつなぐ東海北陸自動車道の結節点である「一宮」ジャンクション、そして地方主要道路である西尾張中央道に隣接。東海北陸自動車道「一宮稲沢北」ICより約0.5kmの場所に位置し、大型消費地である名古屋市内への配送はもちろん、広域物流拠点立地として大いに優位性がある立地だ。

一宮ロジスティクスセンターで扱っている主な荷物は、日用品や食料品、寝具などの日雑品が主である。商品の特性上、一番の繁忙期は12月。次にGW、盆と続く。期末が近づく3月も出荷量が多くなるとのことだ。日当たりの出荷量は約160t、トラックの出入りは日当たり100台程になる。

左:所長代理 野口氏 右:所長 犬飼氏

「弊社は、静岡県掛川市に日用品を主に扱っている拠点があります。この一宮ロジスティクスセンターは、その掛川の拠点の”FDC”としても機能しています。」と話した。


”FDC”とは、物流センター(最終的に商品が仕分け・保管される拠点)の前段階に位置する中継拠点のことを指す。一宮ロジスティクスセンターは最終的な配送拠点(センター)へのスムーズな供給を実現し、物流の負担を軽減する役割を果たす一面も兼ね備えている。

C-AREAの一つとして、中継輸送と共同配送の拠点の機能を有す

C-AREAとは、同社が展開する多機能型大型物流拠点の名称のことを指している。2021年7月に埼玉県蓮田市で開設された「C-AREA蓮田」を皮切りに、全国でトランコムのサービスを結集できる体制の構築を目指し展開中だ。

では、一宮ロジスティクスセンターはC-AREAとしてどのような機能を持つのか。犬飼氏に尋ねたところ、「機能面で言いますと、本施設は共同配送と中継輸送の拠点という側面を持ち合わせています。やはり、共同配送事業は世の中にメリットがある配送であると考えているので、カテゴリーはどうであれ、愛知、岐阜、三重の東海エリアにばらまけるだけの配送のネットワークをもつ、それが一宮に関しては食品や衛生資材で構成されているというわけです。」と語った。

中継輸送に関しては、所長代理の野口氏が次のように続けて語る。「以前だと走れていた距離が、2024年問題の関係上走れなくなってしまいました。そのため、本施設でいったん中継をしてから配送という形を取るお客様も増えましたね。台数としては、日当たり4、6台ほどですね。長距離の中継として貨物の積み替えの対応を行ったりしています。」

同社は今後、全国をカバーする配送ネットワークを構築すべく、各拠点を中心とした約200kmの輪で全国をつないでいく。「1日12時間運行を行うには、大体往復で400km~500kmが限度です。全国の配送網をカバーするため、愛知の次は大阪、大阪の次は中国エリア。そしてやっと九州エリアに届く配送網が完成します。一宮ロジスティクスセンターは、中核である愛知エリアを担うセンターとして、今後更に重要な拠点になると思っています」(犬飼氏)

オペレーション面では、物流2024年問題の影響により地場運行に切り替え

2024年4月に施行された働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されることで発生する「物流の2024年問題」。この物流課題に対して、一宮ロジスティクスセンターではどのような対応を行ったのかを伺った。

「今までの、長距離で連泊しながら行うような運行から、地場運行に切り替えを始めたのが大きな点です。200km圏内のエリアで回っていく運行を行うように配送を行っています」と犬飼氏は答えた。

「また、シフト面で言うと、1週間でコンプライアンスが守れるようなシフトを組むように変えています。例えば、香川・福島の運行をずっと行うのではなく、1回福島に行ったら埼玉に行ってなど、1日の運行を細分化することで、1週間トータルで残業時間をしっかり遵守することを心掛けています。」と続けて語る。

お客様にご迷惑をおかけしないことを第一とし、2024年問題に対応したシフトに切り替えを行った同社。2024年問題の影響によって、工場まで輸送を行う幹線輸送が少なくなってしまうことはお客様にとって非常にデメリットになり得る。これは、一宮ロジスティクスセンター内のシフトの部分で変えられるものもあれば、全国的に拠点を展開していかなければ解決できない部分もあるので、先述したC-AREAの展開が鍵となるそう。

犬飼氏は、「現状、北は福島、南は香川までつながっています。ただ、今後C-AREAの展開で、中国や九州、そして北は仙台まで。各拠点を中心とした、200kmの輪を全国に展開していかなければならないと考えています。そういった思いがある中で、特に西を狙っていきたいお客様にとっては、東西の大動脈の一つである名神高速道路沿いに位置するこの一宮ロジスティクスセンターは、非常に良い立地なのです。」と一宮の優位性についても語った。

所長・所長代理が感じる、ロジスクエア一宮の使い勝手の良さ

ロジスクエア一宮の使い勝手の良さを尋ねると、第一声に「従業員の方々が利用する休憩施設に、使い勝手の良さを感じています」と野口氏は語った。ロジスクエア一宮には、1階と4階に約170席の休憩スペースがあり、実際にセンターで働く従業員からもスペースが広く休憩時に利用しやすいという声が届いているそうだ。

また、庫内の設備面での使い勝手の良さとしては、縦持ちの搬送機器が多い点を挙げる。「特に、ロジスクエア一宮のような大型マルチテナントの物流センターでは、縦持ちの垂直搬送機が弱いセンターが多いイメージがあります。その点ですと、エレベーターと垂直搬送機が一つの蔵と言いますか、共同で使えるということが動線としての使いやすさを感じています。」と犬飼氏は話す。

ロジスクエア一宮では、昇降設備は荷物用エレベーター(積載荷重4.1t)8基、垂直搬送機3基を実装。また、将来対応として、荷物用エレベーターや垂直搬送機の増設、事務室の増設、庫内空調設備設置の際の配管ルートや室外機置場の確保も可能。
同社では、垂直搬送機の増設を2機行っており、計4機で稼働中である。入居テナントの将来ニーズにも一定の対応ができる仕様があることも、ロジスクエア一宮の使い勝手の良さの一つと言えるだろう。

積み替え以上の価値を提供する、一宮ロジスティクスセンターが描く次なるビジョンとは

庫内のレイアウト面に関して重要視している部分を伺ったところ、犬飼氏は「やはり、一回のピッキングで、最短ルートかつ一筆書きで帰ってこられるように設計するといった基本的な部分を重要視しています。」と答えた。

続けて、「今後の展望としては、庫内にシステム的な要素を取り入れることができればと考えています。例えば、自動配車システムや在庫管理システムなどです。ただ、一宮ロジスティクスセンターでは共同配送を行っている関係上、メーカーさんが複数いらっしゃいます。各それぞれ、メーカーさん単位でシステムが違うので、レイアウトの設計をすることが難しい実態があります。お客さん単位でアイルを組まなければならないことは、レイアウトを作る上では大変デメリットではありますが、今後は一つのシステムで複数荷主さんを管理することができる仕組みも検討していければと考えています。」とマテハンに関しても語った。

だが優先順位としては、車両の容積をいかに上げていくかを検討することを優先する必要があるそうだ。「現状システマチックにしていないことには理由があります。それは、そこまで庫内の作業に人を使っておらず、省人化を進めてもメリットがあまり出ないのではといった考えからです。どちらかというと、車両の容積をいかに上げていくかということを優先してやっていく必要性もあると考えています。」(犬飼氏)

最後に、一宮ロジスティクスセンターの今後の展望を伺うと、野口氏は、「このセンターは約10,000坪と大きく、従業員の方も数多くいらっしゃいます。教育という面はもちろんですが、従業員の方が働きやすいような環境を作り続けていきたいです。」と語る。

また、犬飼氏は「共同配送のネットワークをしっかり作って、一宮ロジスティクスセンターを強くしていきたいです。ネットワークを張ることで、いろいろな企業の力になれるといった認識をしていますので、ネットワークをいかに太くしていくかは、今後も継続して考えていきたいです。」と、一宮ロジスティクスセンターの今後の展望を力強く語った。

単純な荷物の積み替えだけではない、中継輸送や共同配送の拠点といった付加価値を有する一宮ロジスティクスセンター。2024年問題を乗り越え、最適なロジスティクスソリューションを提供し続ける同社に、今後ますます注目したい。

同社が入居したロジスクエア(LogiSquare)とは

ロジスクエアとは、株式会社シーアールイーが開発・運営する物流施設ブランドである。ブランドコンセプトである”Good Idea, Your Square”は、多様化・高度化する物流ニーズに応える当社のIDEAを示している。利用者目線に立ったIDEAは、1,600棟、200万坪を超える物流施設のマスターリースからプロパティマネジメント、 リーシング、物流不動産の開発、アセットマネジメントまで、様々なソリューションを 長年提供してきたことで蓄積されたノウハウに支えられている。

EC市場の拡大や2024年問題に伴うドライバー不足など、物流業界の課題に対応するため、ロジスクエアは今後も倉庫テナントの真の物流ニーズに応えていく。

トランコム株式会社の会社概要

本社所在地 愛知県名古屋市東区葵一丁目19番30号
代表者 代表取締役 社長執行役員 神野 裕弘
創業年月日 1955年3月10日
事業内容 物流センター構築運営サービス
輸送マッチング・配送 サービス
生産請負・人材派遣サービス 
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