サッポロホールディングス株式会社

(レポート)サッポログループの物流改革 ~当社が考える“みらい物流”への取り組み~

サッポログループの事業概要

サッポロホールディングス株式会社
ロジスティクス部 グループリーダー
井上 剛(いのうえ たけし)氏

サッポログループは、酒類事業、食品飲料事業、不動産事業の3つの事業を核にしています。従業員数は海外を除いて約8,000人弱です。

2018年のグループ全体の売上高は約5,200億円で、内訳は、酒類が約3,200億円、食品飲料が約1,600億円、不動産が約250億円となっています。

サッポログループが考える“みらい物流”

私たちが自分たちの目指すべき物流を「みらい物流」と定義したのは2017年のことです。それまでのサッポログループの物流の取り組みは、目先のことだけを考えた近視眼的なものが多く、それでは昨今の大きな環境変化についていけないと考え、長期的な視点で物流を考え直すことに決めました。

物流にはリスクが多くあります。中長期のレンジで将来予想されるリスクとそれらに対する対応策について、物流部門だけではなく、グループ全体での協議を2017年から進めてきています。

サッポログループの「みらい物流」におけるコスト増加予測

私たちが自分たちの物流を「みらい物流」と定義して取り組み始める前は、経営層に十分な物流の中長期課題を伝えてられていない状況でした。まず始めたことが、中長期の物流課題を抽出して、バックキャストでリスク軽減・抑制、ロジスティクス安定化に向けてどのようなことをしていくことかの具体策を出しました。そして、経営層に物流の重要性をわかってもらうために行ったのが定量化です。環境悪化のトレンドを物流コストに置き換えて将来の物流コストを提示することです。市場環境、労働環境、社会的な要請、法的要件等を踏まえて、行政やシンクタンクの情報をかき集めました。直近のトレンドを加味し、配送費等を積み上げていった結果、将来想定されるリスクに対して何も手を打たなければ、2026年には物流コストが数十億円単位で増加するという予測を出しました。

また、コストが増大するだけではなく、物を運べなくなる、保管もできなくなるリスクとその理由等も経営層に提示し、会社全体として物流を考える必要性を訴えました。

ロジスティクス課題解決の3つのポイント~「標準化」「可視化」「シェアリング」

コスト増加、物が運べなくなる、保管できなくなるといった物流課題を解決するために取り組むべきことは3つあります。それは、「標準化」、「可視化」、「シェアリング」です。

まず初めにやるべきことは「標準化」です。事業や場所によって異なっていた業務フローを徹底的に標準化し、熟練者による属人的な対応をなくし、「誰もがわかる、できる状態」にしていきます。

標準化ができたところで、次にやるべきことはデータの「可視化」です。感覚でものを言うのではなく、事実を具体的な数字で捉えて的確な分析をするために、あらゆるデータを可視化していきます。

「標準化」と「可視化」ができて、初めて、他企業との「シェアリング」が可能になります。トラックや倉庫等のリソースが限られる中、シェアリングは必須となります。

「標準化」の取り組み事例~需給計画業務フローの見直し、グループ内統一~

まず、「標準化」の取り組み事例の1つとして、「ビール」「食品飲料」の需給計画業務フローの見直しを紹介します。見直し前は、作業のほとんどをエクセルやメールを用いて行っていました。そして、従来は、個々人が、部門ごとの販売予算をベースに、個人の感覚で統一的な在庫水準需給計画を立てていました。それぞれの事業をそれぞれのエリアで勝手に行うので、在庫の統一性もありませんでした。そこで、「需要予測」から「補充必要数計画」、「生産/発注必要数計画」、「基準生産計画」、「供給補充計画」まで一気通貫でつながるシステムを導入し、需給計画業務フローをグループ内で統一しました。

物流業務の「可視化」の取り組み

「標準化」の次に取り組むべき「可視化」については、「場内待機時間」や「積込作業時間」や「パレット回収率」等の物流業務を見える化しました。そして、その情報を一元管理し、ロジスティクス業務の全体を俯瞰的に見て、データを分析し、傾向値を把握し、必要な改善策を打てる体制を作りました。

「シェアリング」の取り組み

「シェアリング」については、現時点では共同配送をメインとして取り組んでいます。また、運べなくなるリスクを最大限想定し、鉄道・海上輸送へのモーダルシフトも併せて取り組んでいるところです。

ビール4社の協働の取り組み事例①~関西・岡山~九州方面の共同輸送スキーム

「シェアリング」の取り組み事例として、ビール4社(アサヒ、キリン、サントリー、サッポロ)の協働の取り組み事例がいくつかあります。その中の1つが、鉄道コンテナの共同利用です。4社が協働し、2018年4月から関西・岡山から九州に向けて専用列車を運行しています。4社の物量を合わせることで、専用列車を走らせることが可能になったという事例です。

ビール4社の協働の取り組み事例②~得意先トラック待機時間削減

次に、ビール4社の協働の取り組みとしてもう一つ、得意先トラック待機時間削減の事例を紹介します。

これは大手卸様のセンターにおけるトラック待機時間を削減したという事例です。ここのセンターでは、ビールメーカー4社はもちろん、そのほかの食品メーカーのトラックも待機時間が長く、問題になっていました。

そこで、配送センターの5つあるバースのうちの1つをビール専用バースしてもらい、その専用バースにビール4社が計画的に納品するというやり方に変えました。そうすると、以前は平均で62分だった待機時間が平均13分になり、従来比80%の時間を短縮することができました。これは、発荷側、着荷側、物流会社の三方よしの改善が図れたという事例になります。

人財育成を見直す~改革の担い手を育てる

最後に、「みらい物流」を担う人財育成の話をします。環境の変化に伴い、物流のあり方も変化を求められています。将来の物流を担っていくのは、IT技術や、企画力・推進力を持つ人間ですが、そのような人財がほとんどいないのが現状です。

そこで、私たちは2019年2月に「サッポロ・ロジスティクス☆人づくり大学」を開校し、自ら物流人財を育成することに取り組んでいます。今までOJTを中心に個々ばらばらに行っていた教育を、ここでは同じカリキュラムで同時に体系的に行います。そのことにより、グループ各社相互でノウハウを共有することが可能になります。

今後の取り組み~「強い物流」の実現

今後、人口減少、働き手不足が避けられない中で、私たちは、目先のことにとらわれることなく、中長期的な将来のリスクに備えて、今やらなければならないことを実行していく必要があります。

物流の圧倒的な生産性向上により、グループ内各事業に対して、効率化の推進による利益貢献と、事業価値向上に欠かせないロジスティクス価値創造を担う「強い物流」を実現していきたいと考えています。

講師紹介

サッポロホールディングス株式会社
ロジスティクス部 グループリーダー
井上 剛(いのうえ たけし)氏

1997年4月サッポロビール株式会社入社
名古屋、関西のロジスティクスセンターに勤務したのち、2003年に本社サプライチェーンマネジメント部に異動。サッポログループ物流本社ロジスティクスソリューション部ソリューショングループ部長、サッポログループマネジメント グループロジスティクス部グループリーダーを経て現職

企業 サッポロホールディングス株式会社

募集要項

イベント名 第9回CREフォーラムin大阪|『サッポログループの物流改革 ~当社が考える“みらい物流”への取り組み~』
日時 2019年 9月6日(金) 15:00開場 15:30開始 17:10終了
会場 イオンコンパスENDO堺筋会議室
大阪府大阪市中央区備後町1-7-3 ENDO堺筋ビル2階 google map
参加対象者 荷主・物流企業 様
参加費/定員 無料/60名限定 (定員数を超えた場合、申し込み期限前でも終了する場合があります)

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティングチーム
担当:
石原圭子(イシハラ) 近藤玲奈(コンドウ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5572-6604

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