CREフォーラム レポート
YKK AP株式会社/日本パレットレンタル株式会社

(レポート)YKK APのロジスティクス改革

YKK AP株式会社 生産本部 ロジスティクス推進部長 岩﨑稔 氏

YKK AP株式会社 生産本部 ロジスティクス推進部長 岩﨑稔 氏

YKKグループはファスナーなどの「ファスニング事業」、住宅・ビル向けの窓・サッシ・ドアなど「AP事業」を核に、グローバル経営体制で事業を展開。YKK APは窓やドア、ビルのファサードなど、建築用プロダクツを提供する事業会社となる。

本日の講演では(1)YKKグループ、(2)YKK APの会社概要、(3)YKK APのロジスティクス改革についてご紹介したい。

YKKは今年で創業80周年を迎える。東日本大震災を踏まえてBCP対策も考慮し、老朽化した東京本社の建て替えを行うとともに、今や北陸新幹線開通で注目を集める北陸地方の富山県黒部市に本社機能の一部移転を進めている。

YKKグループの従業員数はグループ全体で国内外合わせて約4万2千名、2014年度実績に基づく連結売上高は約7,210億円となる。YKK APはファスナー生産の技術を生かしたアルミサッシ製造の他、樹脂窓の生産販売を行う。

YKK APグループのものづくりは「メーカーに徹すること」。メーカーの本質である、ものづくりに徹底的にこだわる。また提供する商品の安心安全の確認のために、価値検証センターを設け、製造過程や使用中に想定されるさまざまなリスク評価も実施する。

YKK APのロジスティクス推進部では第3次中期経営計画と銘打ち2009年から2012年まで「新しいビジネスモデル構築の基盤となるロジスティクスの創造」を目指したが、現在の第4次同計画は2013年から開始、「変化するビジネスモデルに対応する磐石なロジスティクスの確立」を掲げ、YKK AP独自のサプライチェーン構築を推進中だ。

建材業界では即納を求める声が多い。生産ラインのオーダー以外に、新築、リフォームなどで工事中に不足状態となり、緊急発注をいただく事例も多い。そのために我々は十分な在庫を持たなくてはならないのだ。YKK APは消費財とは異なり、BtoBtoCが事業ドメインとなるので、即納に必要不可欠な商品と即納の必要のない商品を整理した。結果、出荷全体の72%は受注3日後でお届けしていることが一昨年の調査で判明した。

そこで重要なのが物流となる。我々が目指す理想像はユニットロードによるコスト抑制と高品質の物流、そして需要駆動型の物流だ。商品にタッチする回数低減もその一環で、商品ダメージも低減していかないとならない。

また鉄道輸送や内航船を利用したモーダルシフトを実施する。500km以上の鉄道モード割合は現在の24%となるが、今後は50%まで引き上げたい。商品の重量化にも徹底して対応を図り、配送作業の負荷低減や荷捌きなどの省力化も考慮していきたい。

コンテナ内でパレットに商品を積載した場合、約2割の容積は使用できないデッドスペースとなる。我々はその課題対策として、輸送用パレットの開発にも着手した。現在は試作品を作った段階で、今年中か来年にはパレット積み付けシミュレーションを実施、どのような配分が最適な積載なのかも検証する。

現在の保有パレット枚数は7万弱、その大多数にRFタグを装着した。RFIDの取組みは2011年より開始、作業効率化や物流コスト削減に貢献する。それら物流最適化が生産性合理化を生み、負荷価値の高い「窓」の適正価格での提供に結びつくと考えている。

日本パレットレンタル株式会社 取締役 営業部 事業開発部 経営企画部管掌 伊地知真弘 氏

弊社の創業は1971年、JIS規格で制定された11型パレットを普及させることが会社の理念となる。現在ではRFIDを用いてのパレット等の物流容器を管理するシステムも提供している。

物流を取り巻く環境は依然厳しい。ドライバーの労働時間は長く、給与総額が低いことが問題視されている。ドライバーの高齢化は労働力不足にもつながり、年々ドライバーの有効求人倍率が高くなる一方で、現在では約2倍となった。

人手不足に有効なのは(1)物流の効率化、(2)物流容器の活用と共有、(3)仕組み・システムの共有だ。そのポイントは「楽に管理」できることに他ならない。

そこで大きな効果を発揮するのが工場、物流センター、店舗までのサプライチェーンにおいて、同一パレットに荷物を積載したままで輸送・保管する「一貫パレチゼーション」となる。荷役作業における重労働からの解放にもつながる。

その鍵を握るのが、パレットの共同利用と共同回収で、同一パレットを各プレイヤーが共用、空きパレットをまとめて回収する仕組み。その際にパレットの管理は欠かせない。出した側、受けた側とも照合を行うことが原則となるからだ。弊社ではパレットをレンタルする一方で、一貫パレチゼーションでのパレットを管理するシステムも提供している。

当初は手書き伝票、FAX、Excelなどで管理をしていたが、共同利用、共同回収に伴う複数社による管理は極めて難しい。その対策で、Web上で物流容器の数量管理を行うシステム「epal(イーパル)」の提供を開始した。一方、経済産業省での物流効率化実証実験などを経て、レンタルパレットへのRFID装着は2006年から試作を重ね、本年度末には弊社が保有するプラスチック製レンタルパレット約560万枚への装着が完了する。

RFタグの装着技術を蓄積することに並行して、RFタグ等で収集する個体情報を管理するシステムの開発にも着手し、2013年にはクラウド型物流容器管理ソリューション「Llink(エルリンク)」を市場投入した。

現在ではアサヒビール様が生ビール用炭酸ガスボンベにRFタグを装着、イオングローバルSCM様ではカートラック(6輪台車)、折りたたみコンテナにRFタグを装着し、「Llink」で物流容器の「個体管理」を実施いただいている。

Llinkは自動認識技術を活用したことで、物流容器の個体管理が可能となった。手作業での管理についてまわる手間と時間がかかる、回収がうまくいかない、コストを削減したいという課題解決に最適だ。

また、ダッシュボード機能を装備しており、「どこで何が起きているのか」、「長期滞留」、「物流容器のエリア内の偏在」、「滞留期間」などの可視化が可能。現在庫をリアルタイムで把握できるほか、属性やエリアごとに検索、例えば「今すぐ使える在庫はどこに何個あるのか」などの検索も可能だ。

Llink により様々な課題を見える化し、蓄積したビッグデータを分析・活用することで、物流容器のスムーズな管理、紛失防止や新規調達の抑制によるコスト削減などの課題解決に向けた施策が立てられる。

また弊社では、物流容器と商品との紐付け管理を可能にするLlinkのバージョンアップを進めている。物流容器と商品をセットで管理出来れば、商品の入出荷検品は物流容器のタグを読むだけで完了し、物流容器単位で商品のトレースも可能になる。

このように、物流の分野では、共用化とシステム化をすることで効率化を図れる余地が大きいと言える。弊社は、長年蓄積したノウハウと管理ツールを活用し、これからも「もっと楽に管理できる」物流を提案していく。

講師紹介

YKK AP株式会社 生産本部 ロジスティクス推進部長 岩﨑稔 氏

YKK AP株式会社 生産本部 ロジスティクス推進部長 岩﨑稔 氏

1984年 北海道YKK工業株式会社入社
1997年 YKK株式会社 建材製造事業本部 総務業務センター
1999年 YKK AP株式会社 北海道工場 業務管理課長
2004年 供給統括部 供給企画室長
2006年 住宅建材事業部 営業業務部 業務管理室長
2009年 ロジスティクス統括部 企画部長
2013年 生産本部 ロジスティクス推進部長(現任)

日本パレットレンタル株式会社 取締役 営業部 事業開発部 経営企画部管掌 伊地知真弘 氏

日本パレットレンタル株式会社 取締役 営業部 事業開発部 経営企画部管掌 伊地知真弘 氏

1986年 日本パレットレンタル株式会社入社
2001年 営業本部 海外事業室 課長
2006年 開発部 部長
2008年 営業本部 本部長
2009年 執行役員 営業本部 本部長
2012年 取締役 経営企画室 室長 兼 イノベーション推進室 室長
2015年 取締役 営業部 事業開発部 経営企画部管掌(現任)

募集要項

イベント名 第18回CREフォーラム|「YKK APのロジスティクス改革」
日時 2015年 9月25日(金) 14:30開場 15:00開始 17:30終了
会場 虎ノ門ツインビルディング西棟地下1階
東京都港区虎ノ門2-10-1
参加対象者 荷主企業 様、物流会社 様
参加費/定員 無料/70名限定 (定員数を超えた場合、申し込み期限前でも終了する場合があります)

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティング部
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5572-6604

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