CREフォーラム レポート
GINZAコンサルティング株式会社

(レポート)謎の国? 印度の文化・宗教・政治を知る会

GINZAコンサルティング株式会社の概要

GINZAコンサルティング株式会社の概要

私は大学卒業後、自動車会社に就職し、補修部品などのアフターセールスを担当していました。2007年から2011年の4年間、インドに駐在し、その後2012年に日本梱包運輸倉庫株式会社に転職しました。日本梱包運輸倉庫株式会社は、平成27年にホールディング化し、ニッコンホールディングス株式会社となります。現在、国内に38社、海外に28社のグループ企業があり、主軸は物流事業です。

そして2016年にニッコンホールディングスの子会社として、物流のコンサルタント事業を行うGINZAコンサルティング株式会社を設立しました。

GINZAコンサルティング株式会社には、「輸送安全ソリューション」「業務ソリューション」「人財・組織開発」という3つの大きな柱があり、私は人財・組織開発を担当しています。そこで管理職研修、PDCA研修や中期計画の創り込み、社是・ミッション策定のコンサルティング、コミュニケーション研修等をやっておりますが、それとともに、異文化研修というインドの文化等を紹介するセミナーも手がけています。

インドについて

インドは、世界で7番目に広い国土を有しており、29の州と6つの連邦直轄区があります。人口は約12億人で、世界で第2位です。

人種は、アーリア族、ドラビダ族、モンゴロイド族が中心で、宗教は、ヒンズー教が約80%、イスラム教が約14%、そのほかにキリスト教、シーク教、仏教、ジャイナ教、ゾロアスター教などがあります。

識字率は73%で、連邦公用語はヒンディー語と英語となっており、そのほかに22の言語と800以上の方言があります。

10のテーマから見えてくるインド

これから10の項目に分けてインドの特性を紹介していきますが、お話しすることはすべて、私の4年間の駐在経験と個人的に集めた情報をもとにしたものですので、あくまでも個人的な見解であるということをご承知おきください。

1.ベジタリアン事情

インド人の過半数は、肉や魚、卵などを口にすることのできないベジタリアンだと言われていますが、実際は、ベジタリアンは全人口の3割程度だという政府の統計データがあります。インドにベジタリアンが少ない理由は、ヒンズー教が肉を食べないのは「習慣」にすぎず、自分の意思で変更することができるからです。その点が教典で豚肉を食べることを禁じられているイスラム教と違うところです。

2.太っている人が多い理由

インド人は、若い人は男女ともやせている人が多いです。ところが、結婚をすると男性も女性も太っていきます。なぜなら、太っていることは良いことであり、金持ちの象徴だからです。結婚して、旦那さんがやせていると奥さんの料理が下手だと思われたり、奥さんがやせていると、同居しているお姑さんから意地悪をされているのではないかと思われてしまいます。だから、ある年齢以上のインド人は太っている人が多いのです。

3.インド人は踊りが好きか?

インドの映画を観ると、みんなで踊っているシーンがよくありますが、実際にインド人は映画みたいによく踊っているのでしょうか? 答えはイエスです。

例えば、取引先大会の表彰式や、会社の創立記念日、新商品発表会など、機会がある度に必ず踊っていました。たとえば取引先大会の表彰式の場合、日本なら、ビジネスミーティングがあり、その後に食事があって解散となりますが、インドの場合はビジネスミーティングと食事の後に必ず「エンターテインメント」という時間があります。インド版ハリウッドのボリウッドから呼んできたダンサーと歌手によるショーが行われた後、若手も年配者も加わって踊ります。このダンスが1時間ぐらい続いた後、やっと食事の時間になります。

日本人駐在員も必ず踊れと言われます。踊るのが苦手でも、日本人の下手な踊りをインド人はゲラゲラ笑って喜んでくれますので、もしインドに仕事で行って踊る場面に遭遇したら、ぜひ踊ってください。

4.「私は昨日婚約しました」

インドの結婚は、自由恋愛もありますが、いまだにほとんどがお見合いです。私はインドに駐在していたときにヨガを習っていたのですが、ヨガの先生である23歳の女性がある日、とてもうれしそうにしていました。「何があったんですか」と聞いたら、「私は昨日婚約しました」と彼女は言いました。

私は、彼女から彼氏がいるという話を聞いたことがなかったので、突然の婚約話に驚いて、その経緯を詳しく聞いてみました。そうすると、ある日突然、両親から「お客さんが来るからサリーを着て待っていなさい」と言われたそうです。しばらくすると、家に10人ぐらいのお客さんが来て、その中にいた若い男性が、親が決めた結婚相手だったのです。そして、その場で婚約し、結婚式等の詳細を決めたのだそうです。

インドの場合、彼女のように、親が決めた結婚相手を断ることはほとんどないそうです。

5.結婚式事情

インドの結婚式は、現在、都会では2〜3日、地方では数日間行いますが、15年前は1週間ぐらい続いたそうです。

新郎が白い馬に乗って新婦を迎えにいくのが通例で、町では白い馬をよく見かけます。白い馬に乗って新郎が結婚式場の入り口まで来ると、周りに人が集まってきて、踊りが始まり、その踊りが30分以上続きます。参加者は、会場に新郎新婦がいてもいなくても踊り続けています。

インドの結婚式は、夜8時スタートとなっていても、実際に新郎新婦が結婚式場にそろうのは夜の10時ぐらいなので、もしインドで結婚式に呼ばれたら、スタート時間の2時間後ぐらいに行くとちょうどいいかもしれません。

6.「彼は私を犯しました」

私がインドに駐在していたときに、会社である事件が起こりました。会社が持っている倉庫に若い女性が来て、「彼は私を犯しました。彼を警察に逮捕してもらってください」と言ってきたのです。

話を聞くと、自由恋愛をして結婚の約束もしたので、彼女は彼に体を許したのですが、18カ月経っても結婚式の具体的な日程が決まってないと。彼女に言わせれば、「私は結婚をダシに犯された」のだそうです。

彼女のその訴えを聞いて、インド人の総務課長はどういう対応をしたかというと、同日に問題の彼を解雇しました。解雇理由は「18カ月もの長い間、自由恋愛するような非常識な人間とは一緒に仕事できないから」ということでした。

後で聞くと、インド人の考える自由恋愛の期間のマックスは6カ月だそうです。今の日本人が聞くと信じられませんが、これがインド人の倫理観です。

7.会社の昇格・昇給について

私がインドの会社にいて一番困ったのが、昇給・昇格です。インドでは一般的に3年に1度昇格するシステムになっています。こまめに昇格しないとインド人のモチベーションは下がっていきます。インド人にとっては昇給、給与アップよりも、昇格、会社におけるタイトル(職位)が上がることが大事です。なぜなら、3年に一遍職位が上がらないと家族や親戚から責められてしまうからです。

インド人は、どんな仕事をしているかという仕事の内容よりも、会社におけるタイトル(職位)を重要視するので、インドで働かれる際は、特に昇格については注意してください。

8.カーストについて

1950年に施行されたインド憲法において、カーストは禁止されています。しかし、それは建前の話で、現在もインドの実社会においてカーストは生き続けています。汚れ仕事は下のカーストが担当するのが当たり前、下のカーストの賃金が安いのは当たり前、無理難題を言われても上のカーストに従うのは当たり前な社会なのです。

インドでは、「バラモン(司祭)」、「クシャトリア(王族・武士)」、「ヴァイシャ(平民)」、「シュードラ(奴隷民)」という4つのヴァルナ(種姓)と3,000以上のジャーティ(職業集団などの共同体)を併せてカーストと呼んでいます。誰もが1つのジャーティに属し、同時にどれかのヴァルナに帰属しています。これは「生まれ」によって決まっていて、一生変更できません。

これは、最近流行りのIT産業についても言えます。「昔は、ITなどという職業集団が存在してかったのだから、カーストの影響は受けない」と思われるかもしれません。しかし、インドの若者がアメリカでIT技術を学んで、インドに帰ってきて就職しようとすると、カーストの壁が立ちはだかります。なぜなら、会社の人事を担当する総務系の人たちはカーストの一番上のバラモン出身の人が多いからです。下層カーストの出身者には重要なポストは与えられません。

新しい職業で、カーストの影響を受けないはずのIT関連事業においても、カーストの壁が存在するのがインド社会の実状です。

9.インドの神様

インド人にとって、神様はとても身近な存在です。その1つの例として、会社のパソコンのスクリーンセーバーがあります。インド人のパソコンのスクリーンセーバーの99%には自分が好きな神様が入っています。インド人は、その神様に10秒ぐらいお祈りしてから仕事を始めるのです。

インドにはいろいろな神様がいますが、代表的なのは、ヒンズー教の3大神、ブラフマー(創造神)、シヴァ(破壊神)、ヴィシュヌ(保持神)の3人です。

10.インドの政治(ガンディー、ネルー)

・インド独立とガンディー

インドの独立の父であるガンディーは、「マトハマ・ガンディー」とよく言われます。「マハートマー」とは、偉大なる魂という意味です。

ガンディーは若いときに弁護士になりましたが、その後南アフリカに行きました。そこで鉄道の一等車に乗ろうとしたところ、白人でないということで乗車を拒否されました。この差別体験をきっかけに、ガンディーはまずは南アフリカで人種差別に反対する活動を始めました。

その後、ガンディーはインドへ戻り、独立運動をするインド国民会議派に加わりました。そして1947年に、ガンディーらの独立運動が実り、イギリス領インドはインドとパキスタンに分離独立しました。

・ガンディー家とネルー家の関係

私はインド駐在直後、インドはガンディー家、つまりガンディーさんの親戚が政治を仕切っていたと思っていたのですが、実は勘違いでした。仕切っていたのはネルー家でした。インドの初代首相のネルーの娘がインディラ・ガンディーです。インディラは、ゾロアスター教の男性と結婚したかったのですが、ネルーはヒンズー教徒以外との結婚は許しませんでした。そこでインディラは当時交流のあったガンディーに相談しました。ガンディーはインディラが結婚したかった相手であるフェローズを養子にし、フェローズはフェローズ・ガンディーとなり、ヒンズー教徒に改宗しました。それで無事にインディラはフェローズと結婚することができ、インディラもインディラ・ネルーからインディラ・ガンディーになったのです。

彼女の息子たちも、ラジヴ・ガンディー、サンジャイ・ガンディーと、みんな「ガンディー」が付くので、国民会議派の人たちはガンディー家の人たちなのかなと思ってしまうのですが、ガンディー家とは血縁関係はなく、血筋はネルー家なのです。

独立後のインドは国民会議派のネルー家が仕切ってきたのですが、2014年の選挙で国民会議派はインド人民党に負けてしまいました。国民会議派を引っ張っていかなければならないインディラの孫であるラーフル・ガンディーは、「演説が面白くない」などの理由であまり人気がなく、インドでリーダーシップをとれないというのが今のインドの政治状況です。

以上、10の項目を中心にインドの文化・宗教・政治について紹介してきました。今後、皆様の会社がインドへ進出、あるいはインドと取引を始める際に、今日の話を参考にしていただければ幸いです。

講師紹介

ニッコンホールディングス株式会社 執行役員
兼 GINZAコンサルティング株式会社 代表取締役
谷口 彰 氏

ニッコンホールディングス株式会社 執行役員
兼 GINZAコンサルティング株式会社 代表取締役
谷口 彰 氏

大学卒業後、自動車会社にて29年間補修部品部門一筋で従事。米国オハイオ州、カリフォルニア州、泰国バンコック、印度デリーにて合計13年間海外勤務を経験。
発注・在庫管理、それに関わるグローバルシステム開発等を担当し、その後、調達保障、物流業務を経験。
2012年より、日本梱包運輸倉庫(株)、2015年ニッコンホールディングス(株)の執行役員となり、通関事業部担当。2016年6年GINZAコンサルティング(株)を立ち上げる。現在人財開発・組織開発・異文化交流を担当。

募集要項

イベント名 第29回CREフォーラム|「謎の国? 印度の文化・宗教・政治を知る会」
日時 2016年10月28日(金) 14:30開場 15:00開始 16:40終了
会場 虎ノ門ツインビルディング西棟地下1階
東京都港区虎ノ門2-10-1
参加対象者 荷主企業 様、物流会社 様
参加費/定員 無料/70名限定 (定員数を超えた場合、申し込み期限前でも終了する場合があります)

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティング部
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5572-6604

物流・貸し倉庫に関する お役立ち情報

CRE倉庫検索で物件をお探しの方へ

CRE倉庫検索を運営するシーアールイーでは、業界トップクラスのネットワークを活用し、
経験豊かなプロフェッショナルが、お客様のご要望に合わせた物件情報のご提案、物件探しをご支援します。

電話でのお問合せはこちらから

TEL : 0120-007-521

(携帯電話・PHSからもご利用いただけます)
営業時間 : 午前9時30分から午後6時まで (平日のみ)

ページの先頭へ