CREフォーラム レポート
株式会社シップス

(レポート)シップス営業戦略 ~ SHIPS × RFID × 物流 × EC ~

会社概要

会社概要

株式会社シップス
営業推進本部 本部長
大塚 祐史(おおつか ゆうじ)氏

株式会社シップスは、1975年に設立された会社で、紳士服・婦人服及び雑貨等の企画・販売事業を行っています。平成31年2月現在、年商は265億円、従業員数は1,250名、店舗数は90店舗です。

●RFIDの導入(店舗編)

現在、シップスでは、店舗と物流でRFIDを導入しています。初めは、店舗への導入から行いました。

RFID導入の検討を開始したのは2011年3月からです。具体化したのは2013年10月から。「SHIPS Days」というシップスの新しいブランドでトライアルを決定し、約半年後の2014年3月にSHIPS DaysららぽーとTOKYO BAY店でトライアルを開始しました。

このように、シンプルな導入であれば短期導入が可能です。そして2015年1月にはトライアルにおける効果検証を終え、全店展開を決定し、2015年9月にすべてのタグ発行をRFIDタグへ切り換えて、2016年5月には各店舗へ読み取り機器を設置し、本格運用を開始しました。

自社の正しい現状分析

企業にとっての最重要課題である「売れる仕組みづくり」のために、最初に行うべきことは、自社の現状分析です。その分析をもとに、売れる仕組みを構築し、接客し、集客するという、このサイクルを回していくことが売上を上げるためには重要です。

現状分析で売上を見るにあたっては、既存顧客からの売上と新規顧客からの売上を分けることが肝要です。両者を分けて分析すると、売上が伸びない原因が、継続率の悪さにあるのか、年間購入金額の少なさにあるのか、新規顧客の少なさにあるのかというのがわかります。

●RFID店舗導入のコンセプト

RFIDを店舗に導入する際は、コンセプトを明確に打ち出していこうと決めました。

・基本バーコード業務のRFID化
1つ目のコンセプトは、「基本バーコード業務(棚卸し・入荷検品・店間移動業務・売上登録)のRFID化」です。まず、足元の業務をしっかりとRFID化し、効率化していくということです。

・働き方改革
2つ目のコンセプトは、「働き方改革」です。RFID化により業務を効率化することで、それが従業員の働き方改革につながると打ち出していきました。

●店舗へのRFID導入効果

・棚卸しにおける効果
RFIDの導入よりどのような効果があったかというと、例えば、在庫点数が約2万5,000点ある大型店舗・シップス渋谷店の場合、RFID導入前のバーコード時代は棚卸し作業に105人時(人時:1人で作業をした場合に要する時間)かかっていましたが、RFID化した結果、17人時で済むようになりました。これは80%以上の削減効果になります。

・売上登録における効果
次に、売上登録作業においては、例えば商品3点をレジ登録してからお包み完了までの時間を比較すると、バーコードでは75秒、RFIDでは30秒です。つまり、約60%の時間削減ができたということになります。

・入荷検品における効果
また、入荷検品作業においては、商品10点を読み取る作業にバーコードでは54秒かかっていたところを、RFIDでは8秒で完了し、約85%の時間削減が実現できました。

●RFIDの導入(物流編)

・省人化と効率化
次に、物流へのRFID導入について話していきますが、具体的な話に入る前に「省人化」と「効率化」の話をしたいと思います。

現在、物流における大きなテーマは、省人化・効率化です。業務の機械化・自動化による省人化のコスト削減効果は非常に大きいですが、多額の投資が必要になります。一方、業務の効率化は、自動化より2桁ぐらい少ない投資でできます。

シップスは、まずは少ない投資でできる業務の効率化を突き詰めるということで、物流へのRFID導入を始めました。

●シップスの物流倉庫概要

シップスの物流倉庫は江東区東雲にあり、自社運用をしています。建物は5階建てで、3,000坪。平均在庫数は42万点で、年間入荷数は300万点。年間出荷数は400万点です。

●物流へのRFID導入の経緯

前出の通り、シップスは、2015年9月にすべてのタグ発行をRFIDタグへ切り換えました。そしてそのときに、物流倉庫の商品のタグもRFIDタグになりました。

次に、2016年2月にPAS(自動ソーター)を導入し、仕入れ検品の効率化を図り、2017年5月にはRFIDゲートを導入しました。さらに2018年8月には、PASを24シュートから65シュートに拡張しました。

●物流業務でRFID化した作業

物流倉庫の業務には、大きく分けて「入荷品即出荷」と「在庫品出荷」の2つがあります。入荷品即出荷は、入荷検品→配分→出荷検品→棚入というプロセスが、在庫品出荷はピッキング→配分→出荷検品というプロセスがありますが、前者においては入荷検品、配分、出荷検品を、後者においては配分、出荷検品の作業をRFID化しています。

●RFID導入による作業時間の縮減

・入荷検品の速度比較
200点の商品の入荷検品の処理速度を比較すると、バーコードでは約10分かかっていたところ、RFIDゲートだと20秒で完了します。約30倍の速さで作業が終わることになります。

これは速さだけが利点ではありません。バーコードで読み取っていたときは、人によって作業のばらつきがありましたが、それも解消され、業務精度が上がりました。

・出荷検品の速度比較
商品50点入りと20点入りの合計2ケースのタグを読み取る速さを比べると、バーコードでは約8分かかっていたところ、ゲートでは31秒で作業が完了し、16倍ほど作業時間が速くなりました。また、こちらも作業のばらつきが解消され、業務精度が向上しました。

・配分の速度比較
1SKU(SKU:最小管理単位)77点の配分時の処理速度を比較すると、バーコードで読み取り配分するやり方だと6分かかっていたところ、PASを使うと2分で作業が完了します。PASのほうがバーコードより約3倍速いということになります。またこちらも、作業のばらつき解消による標準化が実現できています。

●物流へのRFID導入効果

・配分業務における効果
年間点数が200万点だとすると、バーコードによる配分方式では合計2万2,070時間で、約3,000万円ほどのコストがかかっていました。これをPASで行うと、1,866時間、250万円で済みます。

・入荷検品における効果
年間点数が410万点の場合、バーコード方式だと、合計1万8,716時間、2,500万円のコストがかかっていたところ、RFIDゲート方式だと、2,781時間、370万円で済みます。

●RFIDの課題

ここまではRFID導入によるメリットを中心に話してきましたが、RFIDに課題がないわけではありません。ここで代表的な課題をいくつか紹介します。

・タグコスト
1つ目の課題は「タグコスト」です。タグコストは、初期投資だけでなく、継続してかかるコストです。現在、RFIDタグのコストは従来の紙のタグの10倍です。これをいかに抑えるかが今後の課題になります。

・共通コード化
2つ目の課題は「共通コード化」です。現在、私たちのようなアパレル業界ではRFID化が進んでいますが、各々の会社が自社の中だけの管理コードでタグの商品管理をしています。つまり、コードが絶対ユニーク化できていないので、他社のRFIDを読んでしまう可能性が出てきます。それを防ぐ意味でも、将来的には共通コード化していく必要が出てきています。

・効果の最大化
3つ目の課題は「効果の最大化」です。タグコストが非常に高いという問題がある中では、先ほど述べてきた効果だけではまだ十分ではありません。RFIDの効果をもっと拡大していく必要があります。そこで、例えば店舗防犯等、RFIDを他用途へ転用できないかと考えています。2014年に店舗防犯への転用をチャレンジしたことがありましたが、そのときはうまくいきませんでした。しかし、現在はRFIDの読取の精度が向上しているので、店舗防犯への転用を再検討して、効果の最大化を図りたいと考えています。

●自社EC強化と物流の考え方

次に、シップスのECへの取り組みと、自社EC強化に必要な物流の考え方についてお話ししたいと思います。

現在、シップスのEC内売上構成費は、モールサイトが85%、自社ECサイトが15%ですが、今後は自社ECをより強化していき、3年後には30%まで持っていきたいと考えています。

●リアル店舗と自社ECの関係

リアル店舗と自社ECには、それぞれ利点と欠点があります。リアル店舗の利点は、接客ができること、試着ができること、商品をその場で持ち帰れる点等があります。一方、欠点は、営業時間が限られていること、欲しい商品の在庫がない場合があること等です。

自社ECの利点は、お客様の好きな時間に買い物ができること、商品の予約により欲しいものを確実に手に入れられること、かさばる商品の配送が可能なこと等です。一方、欠点は、商品にさわれないこと、試着ができないこと等です。

これらの利点、欠点を踏まえると、自社ECの役割は、リアル店舗だけでは実現不可能な便利な買物体験を提供することにあると考えます。

便利な買物体験の1つとして、例えば、店舗にある在庫の試着を自社ECサイトで予約できる機能等を今期は実現していきたいと考えています。

●物流機能の向上

自社ECが拡大していけば商品出荷数が増加するので、物流インフラを再整備し、物流を効率化していく必要があります。自社ECサイトの売上高に占める物流費の割合は、直近1年間で7%ですが、将来的にはこれを5%にしたいと考えています。

それには内製化と機械化が必須です。自社ECサイトの個配に関しては、仕分け・パッキング作業を外部にアウトソーシングしていたので、これを内製化したいと思っています。ここは、自社ECの成長率とコストを見きわめた上で、人海戦術ではなく機械化を行い、物流費を最適化していきたいと考えています。

講師紹介

株式会社シップス
営業推進本部  本部長
大塚 祐史(おおつか ゆうじ)氏

株式会社シップス
営業推進本部 本部長
大塚 祐史(おおつか ゆうじ)氏

1996年アルバイトで株式会社シップスに入社し、物流部門に従事。
2000年から情報システム部
情報システム部では、「基幹MDシステム導入」「CRMシステム導入」「RFID導入」等、さまざまなシステム導入の責任者として従事。
2017年3月からは、新たに創設された営業推進本部 本部長として、情報システム部、デジタルマーケティング部、CS部を担う。

企業 株式会社シップス

募集要項

イベント名 第53回CREフォーラム|シップス営業戦略 ; ~ SHIPS × RFID × 物流 × EC ~
日時 2019年 4月 19日(金) 14:30開場 15:00開始 16:40終了
会場 虎ノ門ツインビルディング西棟地下1階
東京都港区虎ノ門2-10-1
参加対象者 荷主・物流企業 様
参加費/定員 無料/70名限定 (定員数を超えた場合、申し込み期限前でも終了する場合があります)

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