CREフォーラム レポート
L-Tech Lab

(レポート)L-Tech Lab 2021年! With/Afterコロナの物流未来予測 ~物流DX/CX/SDGsに向けた革新ビジョン~

(レポート)L-Tech Lab 2021年! With/Afterコロナの物流未来予測 ~物流DX/CX/SDGsに向けた革新ビジョン~

コロナ渦中の物流需要変化と現場対応

EC物流需要の急拡大

2020年春に発令された緊急事態宣言の期間中、ECの宅配需要はおおむね2割拡大しました。そして「新しい日常」が定着し、日本の物販のEC化率は急拡大しており、行く行くは物販全体の10%を超えるのではないでしょうか。

物流業界はドライバー不足という問題を抱えていますが、コロナ禍における「在宅率の高さ」や「置き配」「店頭・宅配ロッカーでの受け取り」が拡大したことで、なんとか配送は破綻せずに済んでいます。

物流現場に求められる変化~衛生管理、3密回避

物流現場でもさまざまな変化が起きました。検温や消毒、フィジカルディスタンスの確保や、接近アラート機能で現場作業員の安全を確保するモバイル端末のアプリが使われるようになりました。ただ今後は、換気をする中での夏冬の空調設備や大型天井扇風機の導入など、物流施設の設計にも新たな工夫が必要だと思います。

また「非接触・非対面」の仕組みとしてペーパーレス化が進みました。請求書などの手書き文字を読み取ってデータ化するAI OCRや紙伝票の電子化が導入され、DXにつながる動きが、まずはデジタイゼーション(以下の図を参照)から広がりつつあります。

DX/物流DXってそもそもなに?

ここで「DX」(Digital Transformation)について、私なりの定義を改めて提案したいと思います。

まずDXとは、「ソフト・ハードにわたるデジタル技術を基盤として、業務、事業、組織、そして企業・ビジネスモデル全体を新次元に変革する」ことを指します。

またそのゴールは、「企業変革(CX)ないし、ビジネス変革(BX)により、顧客体験(UX)価値と従業員体験(EX)を変革すること」にあります。

企業変革=CX(Corporate Transformation)
ビジネス変革=BX(Business Transformation)
顧客体験=UX(User Experience)
従業員体験=EX(Employee Experience)

そして、この定義を物流分野に適用する取り組みを「物流DX」といいます。最新ソフトやロボットを導入して使うだけではない、会社の管理や体制、顧客体験価値、従業員体験まですべてを変える取り組みです。

ここで示した本質的な「物流DX」は、かなりハードルが高い取り組みです。だったらムリだと諦めることはありません。その達成に向けて、目前の課題(デジタイゼーション)から一歩ずつ歩みを進めていくことが重要です。

順番としては「デジタイゼーション」(アナログ・物理データのデジタル化)、「デジタライゼーション」(個別の業務・製造プロセスのデジタル化)を経て、DXへとつながります。

出典元:経済産業省「DXレポート2 中間とりまとめ(概要)」

出典元:経済産業省「DXレポート2 中間とりまとめ(概要)」

DX時代の物流テック先端事例(ロボティクス・ハード編)

それでは、DX時代の物流テック先端事例を紹介します。

PALTAC・埼玉RDC

化粧品・日用品・一般用医薬品を卸販売大手のPALTACが、総額230億円を投資して2019年に完成させた、先端物流自動化技術の結晶ともいえる物流センターです。

デバレタイズにKYOTO ROBOTICSのロボット(ロボットが自ら荷物のサイズや重量を自動計測してピッキングを行っている)、パレタイズにMUJINのロボット、ピースピッキングにRIGHTHAND ROBOTICSのロボットを採用しています。
これらの自動化を徹底したことで、PALTACは、コロナ禍での物量増大・人手不足に負けず供給の使命を貫徹しました。

ロボット自動倉庫とマイクロフルフィルメント

これまで郊外の大型物流センターで行っていた在庫・ピッキング・出荷などの作業を都市内のコンパクトな配送拠点や店舗内において、ロボット自動倉庫などを活用して行い、すぐにEC商品の受け渡しができる仕組みを「マイクロフルフィルメント」といいます。

コープさっぽろ・ロボット倉庫「オートストア」導入事例

長さ42m、幅18m、高さ5mの倉庫内に1万3594個のコンテナを配置し、その上部を70台のロボットが自走してコンテナを引き上げ・下ろします。
このオートストアを大型スーパーやショッピングセンターなど、店舗のバックヤードに導入し、在庫保管と入出庫作業を自動化するとともに、顧客は営業時間でも営業時間外でも、ECで注文した商品を受け取れる仕組みとする「マイクロフルフィルメント」が提案されており、今後が期待されます。

物流ロボットの新潮流

プラスオートメーション(+A)

三井物産と日本GLPが共同で設立し、豊田自動織機と資本業務提携を結んだプラスオートメーション(+A)社は、下記のt-Sortほかのロボットの導入から運営までを初期投資ゼロ、月額定額制のサブスクリプション型で提供しています。

オルビス東日本流通センター

化粧品大手のオルビスと流通サービスは、EC商品の出荷工程に小型AGV「t-Sort +」を330台導入(このケースではレンタルやサブスクではなく買い取りです)。作業員を約3割減、1件あたりの出荷コストを約2割削減しています。

2021年 物流未来予測と展望

最後に、2021年以降の物流の未来を予測し、展望を述べます。

物流DXと物流SDGs

菅内閣が、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする脱炭素社会「カーボンニュートラル」の実現を目指す宣言を行い、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みがいよいよ動き出しました。

ただしDXの推進によりロボットやAIで自動化が進むと、社員・非正規従業員の人間性の疎外や格差の固定化を助長する危険性があると思います。そこで必要なのは、SDGsでもゴール8に設定されている、情熱ややりがい・使命感・誇りを尊重する「ディーセントワーク」の確立であり、そのためには「ヒューマンAI」ベースの「ヒューマン物流DX」が必要だと思います。

・物流SDGs

これまで日本国内ではSDGsといえば環境問題、脱炭素化ばかりが強調されてきました。それは当然として、私はここに上記の貧困の解消や人間らしい雇用(ディーセントワーク)の促進、不平等の是正といった「人」の観点を加えたいと思います。それは「ホワイト物流」の上位概念とも言えます。

・物流グリーントランスフォーメーション(GX)

2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、洋上風力産業や自動車・蓄電池産業、次世代型太陽光産業など多くの分野で成長が期待されており、その多くは物流産業とも関係しています。物流でもグリーントランスフォーメーション(GX)が必要です。

出典元:第4回 グリーンイノベーション戦略推進会議(経済産業省)「資料3 重要分野の検討状況について」

出典元:第4回 グリーンイノベーション戦略推進会議(経済産業省)「資料3 重要分野の検討状況について」

次期総合物流施策大綱

国土交通省が主となって行われた「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」において、「簡素で滑らかな物流」「担い手にやさしい物流」「強くてしなやかな物流」が今後の物流施策となりました。

・簡素で滑らかな物流=物流DXや物流標準化によるサプライチェーン全体の徹底した最適化

・担い手にやさしい物流=労働力不足対策と物流構造改革の推進

・強くてしなやかな物流=強靭で持続可能な物流ネットワークの構築

物流協働化・標準化の究極点「フィジカルインターネット」への挑戦

出典元:内閣府「SIPスマート物流サービス資料」

物流の共同化・協働化には「モノと情報と業務プロセスの共通化・標準化」が必要です。そしてその究極の形が「フィジカルインターネット」です。インターネットの世界のように、モノのデータとサイズを標準化して「パケット」に分け、ウェブ状に張り巡らされた物流ネットワーク上をバトンリレー方式で配送します。

近未来の物流システム

ソフトバンクが「トラックの自動運転や隊列走行」の実証実験に世界初成功、また宇宙航空研究開発機構(JAXA)とヤマトホールディングスが「空を飛ぶ宅急便」の実証実験を開始、またイーロンマスクが地下ハイパー・ループの研究を行っています。これらが近い将来、物流の高度化に貢献することが期待できます。

2021年に私たちがなすべきこと

結論として、2021年は「物流DXにチャレンジ」し、その先にある「CXで会社を根こそぎ変える」ことを目指すべきだと考えます。

また、そこを目指すための短期的なゴールは「UXとEXの変革」であり、長期的なゴールは「物流SDGsと物流GX」だと考えます。しかし1年かけて戦略・計画を作っている時間はありません。とにかく今、できることから「まずやってみる」、「ダメならやめて、再度チャレンジする」ことが大切だと思います。

講師紹介

菊田 一郎 氏
L-Tech Lab(エルテックラボ)代表、物流ジャーナリスト
(㈱大田花き 社外取締役、㈱日本海事新聞社 顧問、
流通経済大学 非常勤講師、ハコベル㈱ 顧問)

菊田 一郎 氏
L-Tech Lab(エルテックラボ)代表、物流ジャーナリスト
(㈱大田花き 社外取締役、㈱日本海事新聞社 顧問、
流通経済大学 非常勤講師、ハコベル㈱ 顧問)

1982年、名古屋大学経済学部卒業。物流専門出版社に37年勤務し月刊誌編集長、代表取締役社長、関連団体理事等を兼務歴任。
2020年6月に独立し現職。物流、サプライチェーン・ロジスティクス分野のデジタル化・自動化、SDGs/ESG対応等のテーマにフォーカスした著述、取材、講演、アドバイザリー業務等を展開中。17年6月より㈱大田花き 社外取締役、20年6月より㈱日本海事新聞社 顧問、同年後期より流通経済大学非常勤講師。21年1月よりハコベル㈱顧問。

著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える」(白桃書房、共著)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。

募集要項

日時 2021年1月28日(木) 16:00~17:00
会場 オンライン受講 (参加費無料)
参加対象者 荷主・物流企業 様
参加費/定員 100名

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティングチーム
担当:
瀧川(タキカワ) 佐藤(サトウ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5572-6604

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