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(レポート)新型コロナウイルスがASEAN消費市場に与えた影響と今後の展望

(レポート)新型コロナウイルスがASEAN消費市場に与えた影響と今後の展望

ASEAN+主要国新型コロナウイルス感染状況

新型コロナウイルスの感染状況を見ると、2021年3月から8月の5カ月間で、米国はワクチン効果により、新規感染者・死者ともにかなり抑えることができています。

しかし一方で、日本とASEAN諸国は欧米に比べてワクチン普及が遅れ、感染が急拡大しています。アジアで感染を抑えられているのは、中国とワクチン接種率の高さが際立っているシンガポールくらいです。

ASEAN+主要国の経済概況

次にASEANと主要国の経済状況を見てみましょう。ASEANの人口は約6.61億人で、そのうちインドネシアが2.7億人と約40%を占めています。

ASEAN全体の名目GDPは約3兆ドルで、日本の約6割の水準に達しています。また一人当たり名目GDPを見ると、マレーシアは1万ドルを超え、ベトナムは3499ドルでフィリピンを超えました。

日本の名目GDPが-12.3%とありますが、これは2010年当時は円高で為替の影響を受けているためマイナスになっており、日本円で見ると約7%の成長となります。

GDPを見る時は、購買力平価GDPを見た方が実情に近いと思います。購買力平価GDPで見た場合、中国は米国を、ASEANは日本をすでに大きく上回っています。

一人当たり購買力平価GDPに至っては、シンガポール、ブルネイ、マレーシアに加え、タイ、インドネシア、ベトナムもすでに1万ドルを超えています。ASEANは現在、厚い中間層が形成されつつあり、購買力が大きく上がっています。アフターコロナの時代、ASEANは消費市場として大ブレークするでしょう。

各消費市場の動向

消費市場の動向についてご説明します。

小売市場

小売市場全体としては、2019-2020年はほぼ横這い。しかし、EC等の無店舗販売は中国が19%、日本が12%、米国が23%、ASEANは38%増加しています。無店舗販売は今後さらに伸びると予測されており、2020-2025年には中国が36%、米国が27%、ASEANに至っては62%増加すると試算されています。

ASEAN主要6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)を見てみると、2019-2020年はベトナムが僅かに伸びた以外、5~10%市場が縮小しました。しかし2020-2025年は各国とも年率二桁増の見込みで、特に無店舗販売の伸びが顕著です。

ここでASEANで活躍するECプラットフォーマーの例を見てみましょう。

・Lazada
2011年にドイツ系企業によりシンガポールに設立。2016年にAlibaba が経営権取得。ASEAN主要6か国全てで事業を展開。

・Shopee
2015年にSeaグループによりシンガポールに設立。ASEAN主要6か国他、台湾、ブラジル、メキシコ等でも事業を展開。Seaは銀行業にも進出。

・TIKI
2010年に本のネット通販でベトナムで創業。家電のTiki Pro, 生鮮食品のTiki Ngon、小売のTiki Trading等を展開。

・tokopedia
2009年にジャカルタで創業。Alibabaから11億ドルの出資を受けている。2021年5月に配車サービスのGojekとの経営統合を発表。統合後は「Go To Group」となる。

各社とも、電子決済サービスや小口融資、ネット銀行などECサービス以外の事業を展開し始めています。また近年ASEANでは、キャッシュレス決済やスマホ送金がコロナの影響で急速に普及しており、Wing、True Money、Gojek、Grabなどのサービスプロバイダーが林立。銀行、EC業者、配車サービス、フィンテック企業等が次々に参入しており、銀行口座を持たない人々にも浸透しています。アフターコロナの時代、ASEANは「現金が使える場所が限られる」という社会になるかもしれません。

各国政府もコロナ対策を兼ねて、QRコードの規格統一や「デジタル銀行」の認可に取り組んでおり、キャッシュレス化を推進しています。タイなどは財務省や中央銀行が開発した無料の銀行間送金システム「Prompt Pay」 が2017年よりサービスを開始し、すでに5000万人が登録し、日本でも利用可能な状況です。

加工食品市場

加工食品市場は、コロナ禍の巣ごもり需要が追い風になっています。先進国では2021年に若干反動減が見られるものの、全体としては堅調です。

ASEAN主要国では、2020年は前年比5%以上の伸びを示し、その後も年平均で5-10%の伸びが予想されています。特にベトナムの伸びが著しく、2022年にはタイを抜いてASEAN2番目の市場となると思われます。フィリピン、マレーシア、シンガポールも堅調で、特にフィリピンは人口増も見込め、今後の市場の伸びが期待されます。

外食市場

コロナでもっとも打撃を受けている産業のひとつであり、各市場とも2020年は20-30%ほど落ち込みました。しかしその後の回復力には差があり、米中は2022年に、ASEANは2023年に、日本は2025年に回復すると予測されています。

ASEANの2020年の落ち込みは30-40%程度で、まだ回復への見通しが厳しい状況です。

ASEANコールドチェーントピックス

ASEANのコールドチェーンのトピックスについてお話しします。

「ASEANのコールドチェーンのインフラはまだまだだろう」とお思いの方も多いかもしれませんが、現在、状況は大きく変化しています。各国の規制緩和が進み、日系物流事業者の進出も盛んで、急速冷凍などの技術力も急速に上がっています。

日系物流事業者のASEANコールドチェーン物流への参入状況

もともとはタイが圧倒的に多かったのですが、最近は、ベトナムやインドネシアへの参入が増えています。ASEAN主要6カ国の都市部において冷凍冷蔵品を運ぶインフラはほぼ問題ないと見ていいでしょう。

ASEAN+主要国 冷凍冷蔵品 一人当たり消費額

一人当たりの冷凍冷蔵品消費額の世界一は、間違いなく日本です。一方でアジアの国々はまだまだ冷凍冷蔵品の消費額が少なく、シンガポール以外は日本の1/10以下です。中国も含めて、アジアにおける冷凍冷蔵品のポテンシャルは非常に高いといえるでしょう。

ASEANコールドチェーン物流 品質向上への取り組み

日本の国土交通省とASEAN各国の運輸当局が協力し、コールドチェーンの物流品質向上に向けたガイドラインを制定しました。2020年6月にはコールドチェーン物流サービスに関する規格(JSA-S1004)も日本の水準に合わせて策定され、ASEANにおけるコールドチェーンの水準が高まりつつあります。

ASEAN物流インフラトピックス

最後にASEANの物流インフラのトピックスをご紹介します。

着々と進むラオス-中国間の交通インフラ整備

ラオスのビエンチャンからパンビエンを結ぶ高速道路が2020年12月20日に開通。最終的には中国国境のボーテンまで延伸する予定です。同区間で高速鉄道も建設中で、2021年12月よりビエンチャン-中国昆明間の商業運転が開始予定です。

インドネシア ジャカルタエリアで急ピッチで進む交通インフラの整備

ジャカルタ市内から東部工業団地に向かって、LRT(次世代高速鉄道)と高速道路の工事が同時進行。高速道路は既に完成し、渋滞がかなり緩和されました。インドネシアでは建設中のパティンバン新港の一部が運営を開始し、2027年までにフル稼働し750万TEUを扱う予定。実現するとジャカルタの渋滞やタンジュンプリオク港の混雑解消につながり、大きな期待を持たれています。

講師紹介

SCMソリューションデザイン
代表 魚住 和宏 氏

SCMソリューションデザイン
代表 魚住 和宏 氏

1981年味の素株式会社入社。米国駐在、インドネシア駐在を経て、グループ調達センター グローバル戦略グループ長、物流企画部専任部長、味の素物流(株)理事等を歴任。
2017年3月末に味の素(株)・味の素物流(株)を退職、SCMソリューションデザインを設立、SCMのコンサルタントとして活動中。
現在は神奈川大学他3大学の講師と(株)シーアールイー他3社の顧問・アドバイザーを務めている。

募集要項

イベント名 新型コロナウイルスがASEAN消費市場に与えた影響と今後の展望
日時 2021年8月25日(水) 16:00~17:00
会場 オンライン受講(参加費無料) 
参加対象者 荷主・物流企業 様
参加費/定員 100名

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティングチーム
担当:
立原(タチハラ) 佐藤(サトウ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5570-8048

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