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サンスターグループ・SCMソリューションデザイン

(レポート)【日用雑貨×加工食品 物流キーマン特別対談】共同物流から協調物流へ「日雑物流の未来」

(レポート)【日用雑貨×加工食品 物流キーマン特別対談】共同物流から協調物流へ「日雑物流の未来」

第一部:サンスターグループ荒木様ご講演

共同物流の必要性

「共同物流」は、物流クライシスを解決する手段になり得ます。

本日は、日用雑貨業界における共同物流会社設立の経緯とその成果、解散に至った経緯とその後の動き・展望についてお話しします。

日用雑貨業界の共同物流の歴史

代表的な日用雑貨メーカーは、花王様とライオン様です。

似たような商品を展開している2社ですが、商流体系的には大きな違いがあります。花王様の場合、中間流通はグループ会社が担っています。全国に54カ所ある花王グループカスタマーマーケティング社と花王ロジスティクス社が、販売店舗(小売店)へと商品を運んでいます。

一方、ライオン様をはじめ我々の場合は、それぞれの工場から全国に500カ所以上ある卸店様のDCへと商品を届け、そこで販売を終了。さらに卸店のDCから小売店への販売があり、消費者の方々にお届けする形になります。

発注情報は、共同出資して設立した「プラネット」というVAN会社で統括され、商流を回しています。

共同物流が可能か否かの基準とは

我々は各メーカーで製造した商品をメーカーの物流センターへと持って行き、卸店に販売を行います。そして卸店が販売店に販売し、消費者の方々に買いに来ていただきます。これが物の流れになります。

共通認識として抑えておきたいのが、「物流サービスが最終消費者の購買に影響するか」という点です。これが、共同ができるか否かの大きな基準となります。
結論から言うと、我々メーカーが卸店に対しての物流サービスを向上させたとしても、実際の販売の営業促進にはつながりません。

そうであれば、「物流は競争領域にしても意味がないので、協調領域にしましょう。競争は、本当の勝負の場である店頭でしましょう」というのが、我々メーカー共同物流の基準の原理です。これは「共同」から「協調」物流に変わっても同じことです。

保管ありきの共同配送

約30年前、我々は「プラネットVAN」、「プラネット物流」という共同物流会社を作りました。「プラネットVAN」が先にできたのですが、「情報を共同化できたのであれば、次は物流を共同化しよう」となり、「プラネット物流」を設立し、共同保管をして共同配送をする……という流れを作りました。「共同保管ありきでの共同物流」が基本です。

弊社の場合、当時は全国8カ所に拠点を持っていました。ただ、北海道や東北は広い割に出荷量のウェイトが低めでした。そこでまずは北海道、東北、中部、九州のような、少量の届け先が広域に点在する地方エリアに共同拠点を作り、物流を共同化することから始めました。

共同物流で得た成果

26年間の成果で最も大きかったのは、「標準化」の実現です。外装表示やダンボールのサイズ、パレットの標準化をすることで、パレット積載効率が良くなり、きっちりと物を運べる仕組みができあがりました。発注情報も標準化することで、VANで管理できるようになったので、標準化もかなり早い段階から進めることができました。

なぜ解散したのか

約30年前は、約1,200カ所の卸店の倉庫に納品していましたが、卸店の統廃合が進み、現在では530カ所にまで削減されました。販売店自体が配送センターを作るようにもなり、現在は販売店の配送センターへの一括納品が増え、物流形態が劇的に変化しました。

また、物流会社(特に路線会社)の物流品質やリードタイムのレベルが上がり、本州四国は関東と関西にさえ拠点があれば、商品を翌日には届けられるようになりました。この結果、共同倉庫を各地地方に設置するより、本州は関東と関西に集約し、在庫を削減した方が有効であり、物流コストも削減できると判断されるようになりました。そして関東・関西の拠点は規模が大きく共同化をする必要が少ないため、共同物流会社としての役割を終え、プラネット物流は2016年に解散しました。現在多くのメーカーは、北海道・関東・関西・九州の全国4拠点が主力となっています。

現在、出荷数の多い本州では、それぞれのメーカーが4社ほどでユニットを形成し、関東や関西に共同拠点を持ち、九州・北海道は従来の倉庫にそのまま入っているという構造に切り替わっています。共同物流会社は解散しましたが、共同物流としての機能は以前と変わらず続いているのが現状です。

メーカー物流が直面している課題と対策

1. 出荷波動

連休前後には出荷数が跳ね上がります。これを自社だけで吸収するのは困難です。1週間の出荷構成率を見ても、土日が休みになるので、金曜日に出荷が跳ね上がります。1年、1週間の出荷量と物流についても平準化する必要があります。

対策としては、納品先の手前に中継センターを臨時設置。そこへ早めに商品を収めて、連休に入る前に平準化した数を収めていければと考えています。

2. 中ロットの届け先への積載率のムダ

中ロット(200ケース以上:2トン以上6トン未満)は意外と多く、しかし運搬トラックは4トンと10トン車の2種類しかないため、4トン以上の荷は10トン車で運ぶことになります。そうなると中ロットの場合、積載率が50%を下回ることが多くなり、積載効率が悪化します。近年、積載効率の悪いトラックの到着台数が増加しています。

対策としては、発注コントロールによる輸送改善を試みています。発注者である卸店様が、合計すると10㌧になるようなメーカーを複数選び、同時日に発注をして、共同配送による積載率を向上させています。

3. 荷卸しに時間がかかる

アイテム数が多く、荷降し時ドライバーに細かい仕分け作業が発生しています。パレタイズを行なっても仕分け作業はどうしても発生します。積載率が100%に近い場合、10トントラックの荷物を卸すのに2時間近くもかかります。

対策としては、卸し先での積み替え作業を失くすために、なるべくユニットごとにアイテムを積み分けるようにしました。かつ、ユニットごとにRFIDをつけて、ノー検品・伝票レスにするテストを行っています。

ロジスティクスEDIの可能性

現在、卸店はプラネットを通して発注を行いますが、発注いただいた商品すべてがそのまま入荷されるかは不明です。品薄であれば割当されたり、欠品の場合もあったりします。また複数の倉庫から出荷することもあり、卸店は何がいつ、どこから、どの運送会社でくるのか把握できません。

そういった状況を改善するため、出荷情報の発信、着時間の確定などのASN(事前出荷情報)を出す必要があります。そこで「ロジスティクスEDI」という、ASNをお知らせできるものを商流のシステムと連携させる試みを、2021年から徐々に始めています。

未来への対応

ASNをお知らせすることで、「どこに・何を・いつ、どれだけ運んでいるか」という実態が、ロジスティクスEDIを見るだけでわかるようになります。その情報をもとに卸店をマッチングして、発注コントールをより確実に実現できるようにしていきたいと考えています。

日用雑貨業界は、ロジスティクスEDIを核としてKPI、KGIを確立していく必要があると考えています。

第二部:荒木氏 × 魚住氏 特別対談

魚住:
2014年以降、日本の物流ドライバー不足がクローズアップされています。一方で、日本の物流は大きく変化しています。最も大きな変化は「宅配便の増加」です。2019年から毎年10%近い勢いで増えており、物流にかなり負荷がかかっています。とはいえ、日本の貨物用自動車の実車率はわずか40%。ここを改善すれば物流クライシスは回避できます。

そのため、あらゆる業界で実車率を上げる取り組みが必要です。その点、日用雑貨業界が試みている「商流情報と物流情報をメーカーと卸しで共有する」というロジスティックEDIは、大変興味深い取り組みです。

1つ目の質問は、卸店側からの発注コントールについてです。発注するにあたって、卸店による安全在庫の設定、補充計算などは、ロジスティクスEDIのシステムの中に組み込まれているのですか? また、積載率の調整も卸店にお願いしているのでしょうか。

荒木:
現在テストを行なっている卸店には、2社でフルトラックになるようなシステムを自社開発していただいています。その結果、中ロットの積載率は52%だったのが72%まで向上しました。100%に近づけることも可能かもしれませんが、10㌧を過ぎてしまうと積載率は大きくダウンするので、安全を見て80%以下に設定しているのです。

魚住:
ASNの運用はいかがですか? 加工食品業界では、発地でメーカーや卸店の発注通りに商品を積んでいただいても、中継点でそれが崩れてしまって指示通りに届けてもらえないことがあり、ASNの運用があまり進んでいないのが現状です。

荒木:
アイテムを積み替えるのはNGなので、「パレット単位のASNは難しい」という話になっています。荷物の積み替えを行わない方法として、台車などを活用しています。また「ボックスパレット」で積込み速度とストレッチフィルム削減などのも方法も試そうとしています。

魚住:
台車やボックスパレットの活用は、他業界でも参考になります。受注の締め切りは何時に設定していますか?

荒木:
基本は午前中で、リードタイムは48時間。翌々日の午前中着が増えてきました。ただ「リードタイムを36時間にして夕方の6時まで受注を受ける」など柔軟な対応も試みたいと思っています。物流の場合、「道路が空いている時間にどう入れられるか」なども考慮し、時間はフレキシブルに融通を効かせた方が課題解決につながると思います。

魚住:
長期連休前後の、出荷数の波動の問題についてお聞かせください。メーカーから卸店への物流は、長期休暇の前後は止まります。したがって連休前後の波動対応に非常に苦労します。私は以前から、メーカーも365日配送すべきと考えています。そうすれば倉庫繰り、車繰りも楽になります。

荒木:
同意見です。結局、波動はメーカー自身が作っているんです。

物流業者のトラックが足りなくて困るのは、1年のうちせいぜい10回(日)ほどだと思います。その10日間を平たく伸ばしてしまえばいいんです。「積載効率を上げる」「回転効率を上げる」、そして「波動を平準化する」ことで、1年中トラック不足がない、無駄のない構造ができるはずです。物流会社の稼働日は増えるように見えますが、平準化することでドライバーは交代で計画的な休日が出来るようになります。例えば工場の稼働は24時間3交代で土日も含んでフル回転している例は良くあります。それでも社員はきちっと交代で休めています。トラックの稼働率から考えてみると、まだまだ改善の余地が有ります。ただし改善するには、発着の荷主が連携して発注の平準化、リーダタイムの改善を実行することが必須です。

魚住:
メーカーが休日配送出来ないのは、物流以外の部門は休んでいるのに物流部門だけ働かせるわけにはいかないという理由です。私は、そうであれば、物流部門は、アウトソーシングすればいいと考えています。物流会社のクオリティは上がり、どんどんレベルの高い業務ができるようになっています。アウトソーシングすれば、メーカーの365日配送を実現できます。

荒木:
「休みなしで働きっぱなし」と誤解されないように申し上げますが、繰り返しになりますが出荷量を平準化して365日配送を実現すれば、ドライバーは計画休日が取れるようになります。

募集要項

日時 2021年11月30日(火) 16:00~17:30
会場 オンライン受講(Zoom) 
参加対象者 荷主・物流企業 様
参加費/定員 参加費無料 / 定員100名

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティングチーム
担当:
立原(タチハラ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5570-8048

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