CREフォーラム レポート
幸楽輸送株式会社

(レポート)北海道発! 物流改善事例と地域の発展に貢献する物流の仕組み

(レポート)北海道発! 物流改善事例と地域の発展に貢献する物流の仕組み

幸楽輸送株式会社について

幸楽輸送株式会社は1969年に創業した通運事業者で、北海道コカ・コーラボトリング株式会社のグループ会社です。

従業員数は162名、トラック・トレーラーを179台保有しています。また、200万ケースを保管できる自動倉庫の運用も行っています。

日本のコカ・コーラシステム

日本のコカ・コーラシステムは、原液の供給や製品の企画開発、マーケティング活動を行う日本コカ・コーラ株式会社と、製品の製造・販売などを担う5つのボトラー社・関連会社で構成されています。

ボトラー社のひとつである北海道コカ・コーラボトリングは、年間3000万ケース、1日換算で10万ケース(270万本)を販売。毎日60~100台の20トン・トレーラーが輸送を行っています。

全国の物流・流通(SCM)の規模

国内の物流産業の規模を見てみると、2015年時の貨物量は年間47億トンで、売上高は24兆5945億円です。

物流産業で働いている人口は216万人で、31人に1人が物流業で働いていることになります。

全国のトラック台数は600万台で、北海道は39万台です。

北海道の状況

北海道は、「遠隔多方向性で道内都市距離・時間が長い」「片荷が多い」「季節波動がある」「恒常的なドライバー不足」などの課題を抱えています。

北海道は農水物産が有名ですが、たとえば馬鈴薯や玉ねぎは夏の間は収穫しておらず、輸送も行われないなど、実はハンディを抱えており、ブランド力を維持するため荷主との連携が必要な状況です。

また何よりも積雪が多いのが特徴です。そして実は、除雪は物流の仕事です。ただ近年は降雪が少なく、仕事がない状況も生まれています。

物流とは

ここで改めて「物流」についておさらいしてみましょう。

物流とはインフラであり、「雪が降ったから除雪する」「販売が増えたから輸送を増やす」など、「結果を実行する」業務です。結果によって行動が左右されるので、本質的には「従属業務」であるといえます。

物流には、「トラックが走行した距離のうち、実際に貨物を積載して走行した距離の比率」を表す「実車率」という言葉がありますが、日本国内では70%で、北海道は60%ほどです。

また「トラックの最大積載重量に対して、実際に積載した貨物の重量の比率」を表す「積載率」という言葉もありますが、こちらも日本国内は70%で、北海道は60%ほどです。

このふたつを掛け合わせると、実際の積載率を見ることができます。日本国内は49%、北海道は36%で、輸送効率がいいと言えないのが現状です。

実車率・積載率が上がらない原因は以下が考えられます。

1. 物流サービスレベル(時間指定など)の向上による仕事量の増加
2. コロナ禍でのネット通販の普及による小口・輸送回数の増加
3. 物流に関する荷主間の連携不足
4. 実車率・積載率向上のための行政による施策不足

つまり「多頻度少量輸送」 が多くなったことが大きな原因であり、物流は今後、多頻度・少量の場合であっても実車率・積載率を高めていく必要があります。

荷主側にできること

この状況を改善するために、荷主側にできることは以下が挙げられます。
※北海道トラック協会 『道内経済における物流コストの影響検討会』より

■理解協力
 ・ドライバー不足、燃料費の変動
 ・改善基準告示の様々な影響

■具体的な取り組み
 ・時期などの偏りがなく、余裕をもった計画的出荷
 ・集荷時間回数の緩和
 ・待機時間の短縮
 ・パレットの使用、規格化
 ・集荷作業・集荷経路の効率化
 ・余裕のある指示タイミング
 ・余裕のある配送時間の設定
 ・他社貨物を含めた混載化への協力
 ・帰り荷の斡旋

幸楽輸送の取り組み

幸楽輸送は、荷主である北海道コカ・コーラボトリングと連携し、北海道の物流に貢献すべく6つの取り組みを行っています。

①混載スキーム(積載率100%への取り組み)

環境に配慮し、多頻度・少量輸送に対応した輸送方法です。

清涼飲料に加えて一般貨物も輸送することで、積み合わせ輸送によるお客様のコストを削減。清涼飲料輸送の安定的な数量を有効利用することで、常に最大積載が可能となり、 低コストで輸送できます。

②北海道デポ構想

現状は、本州の在庫拠点から北海道の納品先企業まで都度、配送を行っています。

これを将来的に、札幌に在庫拠点を起いてデポとして調達資材を一括管理。倉庫の保管料を減らし、まとめ配送によるコストダウンを図ります。

③道内リレー輸送

北海道内の道路輸送は長時間になることが多く、ドライバーの労働時間の長さも問題になっています。

そこで私たちは、旭川・十勝の両事業所を、北海道におけるリレー輸送の中継地点として活用しています。

④互産互生(静岡県との取り組み)

「地産地消」という言葉がありますが、私たちは「互いに生産し、互いに生かし合う」ことを意味する「互産互生」に取り組んでいます。

いわば「ローカルとローカルをつなぐ取り組み」で、具体的には、静岡県の惣菜メーカーに向けて、北海道産の男爵いもや玉ねぎ、人参などを運んでいます。

トレーラーの満載発注を実現しており、従属性の高い物流業務から一歩、効率化に向けて進んだ例だと思います。

やさいバス

バスのように決まったルートを通り、決まった時刻に荷物(野菜)を届けることで、コストダウンを図る取り組みです。

生産者がバス停まで野菜を運び、「やさいバス」がバス停間を輸送し、お客様がバス停まで取りに行きます。

「やさいバス北海道」として、2022年5月に運用開始予定で準備を進めています。

⑥トレーラー(シャーシ)管理の仕組み(実証実験協力)

輸送の効率化には「トレーラーの動態管理」が必要です。

そこで幸楽輸送の約70台のトレーラーにビーコンを貼り付け、トレーラーの駐車位置や動態/走行距離・整備情報をクラウドで共有。トレーラーの整備効率化の有効性に関する実証実験に協力しています。

効率化から最適化へ

物流は今後、効率化から最適化へと進んでいく必要があります。

「A」という活動をコスト削減して部分最適化した結果、「B」の活動コストを増加させてしまってはいけません。関係するすべての活動のコスト(トータルコスト)を最小化していくことが重要です。

ワーキングシェアや、ギグワーカー、AI、コンピューターシステムによる最適化を用いて、物流を最適化していく必要があります。

また、これからの物流は「活力」や「希望」「貢献」「感謝」などの言葉で語られ、物だけでなく想いも届けていくべきだと思います。

講師紹介

幸楽輸送株式会社(北海道コカ・コーラグループ)
代表取締役社長 不動 直樹(ふどう なおき)氏

幸楽輸送株式会社(北海道コカ・コーラグループ)
代表取締役社長 不動 直樹(ふどう なおき)氏

1960年(昭和35年)6月4日生、北海道苫小牧市出身
1983年北海道大学工学部卒業後、北海道コカ・コーラボトリング株式会社入社、コンピューターシステム・生産ライン導入を含む技術系全般を担当。
当社の需要予測・生産計画・在庫計画などの計画系と、物流運用全般を網羅する実行系を合わせたSCMを実現。現在も稼働中。
札幌大学では非常勤講師として、『ビジネスロジスティクス』『流通販売総論』を担当

募集要項

イベント名 北海道発! 物流改善事例と地域の発展に貢献する物流の仕組み
日時 2022年2月22日(火) 16:00~17:00
会場 オンライン受講(Zoom)
参加対象者 荷主・物流企業 様
参加費/定員 参加費無料 / 定員100名

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティングチーム
担当:
立原(タチハラ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5570-8048

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