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(レポート)「製配販物」連携とテクノロジーで物流2024年問題をクリア! ~3つの喫緊課題と解決策……労務時短/人材定着/連携・協働~

(レポート)「製配販物」連携とテクノロジーで物流2024年問題をクリア! ~3つの喫緊課題と解決策……労務時短/人材定着/連携・協働~

物流産業・運輸業を巡る環境・市場の変化

物流2024年問題を語る前に、わが国の物流産業・運輸業を巡る環境・市場の変化を見てみましょう。

わが国の国内貨物総輸送量は、年間約47億トン、4040億トンキロになります。(※2019年度)

トラックの輸送分担率はトンベースで約9割、トンキロベースで約5割で、トンキロ総量は横ばい状態が続いていましたが、2020~2021年はコロナ禍で減少しました。これがアフターコロナになると反転増加することが予測されます。

トラック事業者数の推移を見てみると、1990年に貨物自動車運送事業法が施行されて以降、トラック運送事業の規制緩和によって新規参入事業者が急増し、2007年のピーク時には6万3千社を超えました。しかし現在は輸送需要が伸び悩んでおり、事業者間の競争が激化し、事業者数は横ばい状態にあります。

物流サービス価格は、2010年代後半に過去最高を迎えました。その要因はおもにEC物流需要の拡大で、特に宅配便の価格が高騰しました。その結果、現在は物流需要が供給を上回り、新たな物流危機が訪れています。ドライバー不足が深刻な問題になっているにも関わらず、彼らの年収は低いままです。

物流2024年問題……働き方改革で労働環境是正

労働基準法の改正に伴い、2023年4月1日からは、1カ月60時間を超える法定時間外労働に対して、企業は50%以上の率で計算した割増賃金を支払うことになります。また2024年4月1日からは、時間外労働の上限が年960時間に規制されます。

これにより労働可能時間は減少し、ドライバー不足に拍車がかかり、荷物を「運んでもらえなくなる」状況の発生が懸念されます。これが「物流2024年問題」です。ではどうするべきでしょうか。課題は3つあります。

①運送事業者の自助努力

IoT、AIなどの技術を活用した「労働生産性の向上」や、経営基盤を強化して運行管理を効率化する「運送事業者の経営改善」「適正取引の推進」「人材の確保・育成」などを行う必要があります。ただ、物流側だけでできることには限界があります。

②荷主・消費者の理解と行動

荷主企業は、現在の状況を「運賃高騰」と見るのではなく「正常化」と捉え、運賃適正化を受け入れることが重要です。前時代的な商慣習から卒業し、適正な物流コストを所与の要件として、ビジネスモデルを再構築することが求められます。

③荷主の自助努力+物流との協働

加工食品業界や日用雑貨業界はすでに危機感を持ち、「協調物流」や「共同物流」体制を構築するなど先行事例を構築しています。また「NEXT Logistics Japan」のような荷主と物流事業者の協働プラットフォームも生まれています。

解決策①「現場オペレーション改革」……生産性向上で労務時間短縮

ここからは、物流2024年問題をクリアする、3つの解決策を提案いたします。

まずは「現場のオペレーション改革」です。ドライバーの拘束時間を削減して生産性を向上するために、輸配送時間・距離を短縮する必要があります。具体的には海運・鉄道へのモーダルシフトや中継輸送を取り入れることです。

また、ドライバーの拘束時間の16%を占める付帯作業(荷待ち・荷役など)を削減しなければなりません。具体的にはパレット化やカゴ車、スワップボディ/ダブル連結トラックによる荷役時間の短縮や、バース予約システム導入による受発荷主拠点での待機時間の短縮、動態管理・運行管理システムによる効率・精度向上などがあります。

■バース予約システム

【Hacobu/MOVO Berth】
トラックバース予約受付サービス
https://movo.co.jp/

【TSUNAGUTE/telesa-reserve】
荷卸し時間の事前予約や受付簿のデジタル管理で入出荷の現場業務を効率化
https://www.tsunagute.co.jp/reserve/

■配車マッチング/ルート最適化

【ラクスル/ハコベルカーゴ、ハコベルコネクト】
求貨求車マッチングサービス/物流DXを支援するプラットフォーム
https://www.hacobell.com/solution

【CBCloud/PickGo、SmaRyu】
求貨求車マッチングサービス、物流業務支援システム
https://cb-cloud.com/

【オプティマインド/Loogia】
ラストワンマイルに特化、走行データのAI学習型ルート最適化システム
https://www.optimind.tech/

■動態管理・運行管理

【Hacobu/MOVO Fleet】
動態管理サービス、走行中の車両の庫内温度機能を追加
https://movo.co.jp/movement_manage

【モビリティ業務最適化クラウドCariot】
リアルタイムデータ取得で走行履歴、日報作成、配送計画/荷量管理も可能
https://www.cariot.jp/

【IoT/LPWAによる動態管理 ~ソニーELTRES+データ・テック】
ソニーの無線通信規格「ELTRES」を用いたIoTネットワークサービス。長距離安定通信、 高速移動体通信、低消費電力が特長。センサーで取得した情報を広範囲に効率よく収集可能
https://eltres-iot.jp/work/solutionset-017/

■検品作業効率化支援技術

【AI-OCR】
手書きを含めた文字データを収集し、AIがテキストデータとして認識。画像や背景色の調整も行う
https://www.automagi.jp/

解決策②「経営管理の改革」……労務施策/HR改善で人材確保と定着

次の解決策は「HR(Human Resources)観点による人材確保と定着」です。ドライバーを確保して定着率を向上させるために待遇・処遇を改善し、「やりがい」を実感できる仕事・仕組みを導入、ハラスメントを排除して、「一定収入」「安心」「誇りをもって働ける」仕事・職場を実現する必要があります。

■サービス・プロフィット・チェーン(SPC)

企業が従業員を大切にすることで従業員の生産性と業務品質が向上し、その結果、顧客の満足度と企業収益の向上につながるという考え方です。

■非正規労働者に光を。

日本のアンダークラスは約1200万人いると言われています。SDGsのゴール8「働きがいも経済成長も」にもあるように、ディーセント・ワーク(働きがいのある・人間らしい・尊厳ある仕事)を推進して、彼らに働きがいのある仕事に就いてもらうことが重要です。

■必要な対応①「賃金格差の修復」

最低賃金を1500円に引き上げ、賃金格差を縮小。また累進課税・相続税・法人税などを強化し、所得を再分配する必要があります。

■必要な対応②「賃金だけでなく、働く人に尊厳/やりがいを」

UX(顧客体験)とEX(従業員体験)を直結して向上させることが必要。そのために、より良い顧客体験価値を生み出すサービスと実現に必要な現場プロセス・システムを設計します。

「早く届けてくれて助かった」「丁寧な梱包で、箱を開けて嬉しかった」など、サービスに満足した顧客の声を吸い上げ、非正規を含む全従業員に共有可能な仕組みを構築。それと同時に、時給アップなど「頑張った分を評価し、報いる仕組み」を仕込みます。

解決策③「戦略的改革」……【製・配・販+物】連携・協働、DXでビジネスモデル変革

最後の解決策は「戦略的改革」です。まずは物流、サプライチェーン・ロジスティクスの社会的全体最適を実現するために、輸配送を共同化して積載率向上・便数を削減、またDXやデジタル技術を導入して会社とビジネスモデルを根こそぎ大変革したり、企業連合やM&Aを行いネットワーク・IT投資力・交渉力の拡大を目指します。

そして究極的には物流のオープン共同プラットフォームである「フィジカルインターネット」を目指します。

■同業者の共同物流+海運モーダルシフト/ライオン・花王

販売では競合している両者が、物流で協働・モーダルシフトを行い、注目すべき成果を挙げています。

■ライオン+キユーピーの共同物流+海運モーダルシフト

ライオンはキユーピーとも協働・モーダルシフトを行っています。往復実車率は99.5%に達しています。

■NEXT Logistics Japanの幹線物流協働プラットフォーム

業種業態を超えた荷主の荷物を、さまざまな物流事業者のノウハウを活用して輸送。幹線⇄支線をトータルでコントロールし、省人化・効率化・CO2削減を目指しています。

■物流業のDX事例/日立物流

日立物流は、CPS(Cyber Physical System)の考え方で、仮想空間(サイバー)と現実空間(フィジカル)を連動することで現場オペレーションを見える化し、分析しています。

■企業連合、M&Aでネットワーク/IT投資力/交渉力拡大

物流業界のM&A件数が、2020年の91件から、2021年は129件へと大きく拡大。日本郵政による楽天グループ・JP楽天ロジスティクスの買収、SBSホールディングスによる古河物流の買収、セイノーホールディングスによる丸久運輸の買収、ニッコンホールディングスによる安川トランスポートの買収など、事業承継や選択集中が進んでいます。

■物流のオープン共同プラットフォーム「フィジカルインターネット」への挑戦

「フィジカルインターネット」とは、インターネット通信の考え方を、物流(フィジカル)に適用した新しい物流の仕組みです。

RFIDに代表されるIoTやAI技術を活用することで、物資や倉庫、車両の空き情報などを見える化し、規格化された容器に詰められた貨物を、複数企業の物流資産(倉庫、トラックなど)をシェアしたネットワークで共同輸送。2040年の実現を目指して進められています。

結論として、物流2024年問題を乗り越えるために、私たちは「現場オペレーション改革」「経営管理の改革」「戦略的改革」に挑み、2030年に向けて地球と産業社会が持続可能な倫理的サプライチェーンを共創しようではありませんか。
そして、DXを手段にSDGsを達成して、新たな物流危機を乗り越えていきましょう!

講師紹介

菊田 一郎 氏
L-Tech Lab(エルテックラボ)代表、物流ジャーナリスト
(㈱大田花き 社外取締役、㈱日本海事新聞社 顧問、
流通経済大学 非常勤講師、ハコベル㈱ 顧問)

菊田 一郎 氏
L-Tech Lab(エルテックラボ)代表、物流ジャーナリスト
(㈱大田花き 社外取締役、㈱日本海事新聞社 顧問、
流通経済大学 非常勤講師、ハコベル㈱ 顧問)

1982年、名古屋大学経済学部卒業。物流専門出版社に37年勤務し月刊誌編集長、代表取締役社長、関連団体理事等を兼務歴任。
2020年6月に独立し現職。物流、サプライチェーン・ロジスティクス分野のデジタル化・自動化、SDGs/ESG対応等のテーマにフォーカスした著述、取材、講演、アドバイザリー業務等を展開中。17年6月より㈱大田花き 社外取締役、20年6月より㈱日本海事新聞社 顧問、同年後期より流通経済大学非常勤講師。21年1月よりハコベル㈱顧問。

著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える」(白桃書房、共著)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。

募集要項

日時 2022年4月27日(水) 16:00~17:00
会場 オンライン受講(Zoom)
参加対象者 荷主・物流企業 様
参加費/定員 参加費無料 / 定員100名

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティングチーム
担当:
立原(タチハラ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5570-8048

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