CREフォーラム レポート
株式会社日本アクセス

(レポート)トラックドライバーの現状と今後 ~2024年問題からロボット点呼の活用事例まで~

(レポート)トラックドライバーの現状と今後 ~2024年問題からロボット点呼の活用事例まで~

日本アクセスについて

株式会社日本アクセスは総合食品卸売業を営んでいます。売上高は2兆1,203億円、物流売上高は2,000億円、500を超えるセンターと車両約8,300台を保持しています。

私自身は2022年3月までの4年間、株式会社日本アクセスの子会社の株式会社SHINKOロジに出向し経営をしていました。売上高113億円、センター17営業所、センター車両約300台の総合物流企業です。

トラックドライバーの実態

「2027年にはトラックドライバーが24万人不足する」
「2030年には物流需要の36%が運べなくなる」
と言われています。なぜこのような状況に至るのでしょうか。

荷主企業と物流運搬企業に携わってきた私の実感としては、物流の危機的状況はコロナ禍で若干緩和されましたが、基本的には変わっていません。実態としてドライバーの「低賃金」「長時間労働」問題があります。

ドライバーの賃金

・全産業平均より17%低い
・55~59歳に至っては平均298万円で、全産業平均の394万円より25%も低い

ドライバーの労働時間

・全産業平均より25%長い
・ドライバーの労働時間と「拘束時間」は同じではない。感覚的には40%程度長い

労働基準法と改善基準告知

「改善基準告知」とは、自動車運転者の労働時間等の労働条件の改善をするために労働大臣が1989年2月に告示したものの略称で、これまでに2回改正されています。

一般の労働者は「労働基準法」が適用され、残業は月45時間、年360時間までとされています。しかしドライバーは改善基準告知により、日16時間、月320時間、年3,516時間まで拘束してよいとされています。一般労働者の年間労働時間2,440時間に対してはるかに長いといえます。

またドライバーには「休息時間」という概念が適用されます。休息時間とは「勤務と次の勤務の間の時間」で、勤務終了後、連続8時間以上取る必要があります。しかし必ず家に帰らなければいけない訳ではなく、ドライバーはトラックやスーパー銭湯で寝るケースが多くなります。

また「連続8時間以上の休息が困難な場合は、1日において1回当たり継続4時間以上、合計10時間以上の休息期間を拘束時間の途中および経過直後に分割して与えることができる」とされており、これも「ドライバーは家に帰って休まなくてもよい」というお墨付きを与えています。

この「休息時間」は労働基準法には規定されていません。労働基準法に「休息」の概念はないのです。最近「ワークライフバランス」など言われていますが、ドライバーには関係ありません。

430問題

「連続運転時間は4時間を超えてはならない」とされています。4時間を超えそうな時は、30分以上運転を中断しなければなりません。

「運転の中断」には、純粋な休憩以外に荷積みや荷下ろしなど運転に従事しない時間も含まれており、近年は改善基準告知の見直しで「運転の中断」を純粋な休憩にするという動きもあります。しかし、そうなると「給料の出ない休憩」になるので、ドライバーとしては痛し痒しな部分があります。

ドライバー点呼とは

「ドライバー点呼」とは、安全運行のために運行管理者が対面でドライバーのチェックを実施することを指し、乗務前と乗務後に実施しなければなりません。その手順は以下のとおりです。

乗務前点呼は時間が決まっていますが、乗務後点呼は事故や渋滞、納品待ち、トラブルなどにより早着・遅着が起きる場合があります。そうなると運行管理者の時間外勤務につながってしまいます。またバラバラと帰着するので、指示伝達事項にミスが発生しやすいのも問題です。

ロボット点呼導入によるメリット

これらドライバー点呼の問題を解決するために、最近は「ロボット点呼」が導入されはじめています。導入によるメリットは以下のとおりです。

 1. ペーパーレス化……点呼記録簿の自動作成・PC保管
 2. 点呼の標準化
 3. 人的ミスの減少による点呼の確実性の向上
 4. 運行管理者・ドライバーの長時間労働の是正
 5. リモート管理
 6. 新型コロナの感染予防

またロボットを使うことで、人間が行うよりも以下の点でより正確に点呼できるようになりました。

トラックドライバーを確保するために

私は総合物流企業にいた時、ドライバーを含む職員1,700人全員の残業を5分間減らしました。そのことで年間8,520万円の人件費を削減し、その分、ドライバーの給料を1億円上げました。ドライバー1人あたり月2~3万円の昇給に相当します。結果、離職率が大幅に下がり、新規採用費なども抑えることができました。

ポイントは、「削減した人件費を会社の利益にするのではなく、すべてドライバーに還元した」ことにあったと思います。トラックドライバーが不足している中、これからの物流会社には、このような考え方が求められるのではないでしょうか。

講師紹介

株式会社日本アクセス
社長付 ロジスティクス特命担当
中井 忍 (なかい しのぶ) 様

株式会社日本アクセス
社長付 ロジスティクス特命担当
中井 忍 (なかい しのぶ) 様

株式会社日本アクセスの前身企業に入社し情報システムを担当する。
物流部新設の際に初代の物流企画課長になり、その後、ロジスティクス畑を歩く。
日本アクセスの取締役専務執行役員ロジスティクス管掌を務め、広域部門長として営業・ロジスティクスを統括後、事業会社の株式会社SHINKOロジ代表取締役社長として4年間物流会社の経営に従事する。
2022年4月に日本アクセスに戻り、現職。

募集要項

日時 2022年9月28日(水) 16:00~17:00
会場 オンライン受講(Zoom)
参加対象者 荷主・物流企業 様
参加費/定員 参加費無料 / 定員100名

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティングチーム
担当:
立原(タチハラ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5570-8048

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