(レポート)まだ間に合う 2024年問題に向けた採用・人事戦略
ロジHR株式会社 代表取締役社長 玉井 生 氏
ロジHRについて
ロジHRは、物流業界に特化した人材採用支援、人事・採用コンサルティング、プラットフォーム、HRテック、RPOなどを行っています。
採用環境の変化
物流業界は2024年問題を迎えようとしています。2019年に働き方関連法が施行され、このときは自動車の運転業務に関する各種制限は猶予されましたが、2024年4月になると物流業界に対してもほかの業界と同じように制限が適用されます。法律施行まで残り8ヶ月。物流業界は現時点でもドライバーやその他職種が不足しており、深刻な問題になっています。
有効求人倍率を見ると、コロナ禍を経て急速に復調し、さらに続伸するといったん思われましたが、横ばいに。求人数は2023年3月より減少に転じています。
加えて日本では構造変化が起きています。2016年から2022年の間に労働力人口は300万人減少しました。さらに、ひとりあたりの労働時間は103時間減りました。採用の難易度は高まり、多くの企業が6~8%幅の賃上げを積極的に行いはじめています。
改めて採用環境の変化と構造的課題を整理すると以下のとおりです。
・労働人口の減少・高齢化 ・労働時間の制約 ・採用難易度の向上 ・賃金上昇・物価上昇トレンド ・外国人労働者増加鈍化 |
2024年問題まで残り8ヶ月ですが、正社員の応募から採用、入社までには約40~50日かかり、そのリードタイムを勘案すると、残りは実質約半年。いち早い人事・採用戦略の抜本的見直しが必要といえます。
事例から考える人事・採用戦略
企業には経営戦略・事業戦略があり、それを実現するために人材マネジメントがあります。人事制度や組織デザインはここに紐づいています。
そして人事戦略における施策には「採用」「配置」「評価」「報酬」「育成」「退職」があります。その中でも採用戦略は比較的短期間で改善を行いやすいといえます。以下、弊社が関わった人事・採用戦略の事例を3つご紹介します。
事例①
課題:C社の物流倉庫は、作業スタッフは足りているのですが労務費が急騰しており、収益を圧迫し、経営層から収益改善を指示されていました。しかしどこから着手すればいいかわかりませんでした。
分析:弊社はC社の各種調査・分析を開始しました。その結果、時間当たり労務時間(総労務費÷総労働時間)が、社員とアルバイトは微増でしたが、派遣とスポットアルバイトにおいて大幅に上昇していることがわかりました。当初は波動対応のための派遣・スポットアルバイトでしたが、社員やアルバイトの離職を埋めるように追加利用するようになり、常態的に比率が向上していたのです。また一人あたり物量(物量÷人数)が大幅に低減していることもわかりました。これは派遣・スポットアルバイトの比率が多くなることで作業習熟度が低くなり、従来よりと同じ物量でも必要人数が増えていたのが原因です。
解決:そこで弊社は、派遣・スポットアルバイトの数を削減し、その原資をもって正社員やアルバイトの給与を上げる提案を行い、実施してもらいました。こうすることでアルバイトの直雇用採用を強化し、派遣・スポットアルバイトの数を最適化することができました。
事例②
課題:B社の物流倉庫は人手不足に悩んでいました。求人募集、派遣、スポットアルバイトなどあらゆる手段を用いましたが、人手不足は解消できず、何か良い手段はないかと探していました。
分析:B社の各種調査・分析を行ったところ、確かにさまざまな手段を講じていましたが、「募集ターゲットが不明確」「採用CVRが悪い」「経験者の活用ができていない」などの課題が見えてきました。この手の課題解決に向けては仕組みの構築が必要です。
解決:そこで弊社はまず、入職者・退職者データを分析し、「どのような人が長く働き続けてくれる」のかを洗い出しました。そして応募受付や面接設定においてチャットボットの導入やペーパーレスによる省力化などのDX化を進め、「応募者の手間をできるだけ省く」ようにしました。また面接未予約者や面接未来場者、内定辞退者を掘り起こし、短期退職者を採用面接なしに再雇用する仕組みをつくり、人材を有効活用できるようにしました。
事例③
課題:A社ではドライバーが慢性的に不足しており、このままでは仕事が受けられない可能性が出てきました。
分析:A社の各種調査・分析を開始したところ、求人媒体に頼り切った採用を実施していることが判明。また3ヶ月以内の離職(早期離職)が大量に発生していることがわかりました。
解決:そこで弊社は、A社の採用センターを立ち上げ、求人媒体や採用サイト、Web広告、SNSなど、どのチャネルを利活用するかを選定し、応募受付・面接予約までを行えるようにしました。またレポートデータを収得・分析し、次の採用に生かす仕組みをつくりました。
自社の人事・採用戦略を考える
人事・採用戦略を抜本的に見直す際は、具体的に何を行えばよいのでしょうか。
下図は私がコンサルティングに入ったときに、実際に使っている図です。
まずは「募集ターゲット」です。どこに自分だちの競合優位性があり、「どんな人なら来てくれそうか」をきちんと比較・検討することが重要です。
そしてそのターゲットに合わせた「採用手段」を探り、「採用プロセス」「採用体制」をつくり、課題を抽出して改善につなげる「モニタリング」を行います。下図でそれぞれの過程における具体的な行動内容を列挙したので参考にしてください。
戦略策定をするには、徹底したアセスメント(評価・分析)が必要になってきます。なかなか手間がかかりますが、必ず成果につながるので、ぜひ行うことをおすすめします。
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■講師
ロジHR株式会社 代表取締役社長 玉井 生 氏
募集要項
イベント名 | まだ間に合う 2024年問題に向けた採用・人事戦略 |
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日時 | 2023年7月25日(火) 16:00~17:00 |
会場 | オンライン受講(Zoom) |
参加対象者 | 荷主・物流企業 様 |
参加費/定員 | 参加費無料 / 定員100名 |
本件に関するお問合せ
- お問合せ先:
- 株式会社シーアールイー マーケティンググループ
- 担当:
- 瀧川(タキカワ)
- メール:
- leasing_mail@cre-jpn.com
- 電話:
- 03-5570-8048