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(レポート)2024年の物流を持続可能に ~あるべき物流へのEX/DX/GX~

(レポート)2024年の物流を持続可能に ~あるべき物流へのEX/DX/GX~

エルテックラボ 代表 /物流ジャーナリスト
菊田 一郎 氏
(株式会社大田花き 社外取締役/ハコベル株式会社 顧問)

最高位目標としてのSDGs

最初に、SDGsについておさらいしましょう。SDGsは2015年から2030年までに達成を目指す17のゴール/169のターゲットを指します。
SDGsのゴールはウェディングケーキのような階層構造になっています。
まずは上層の「経済」で「働く人と物流を持続可能」にし、次に「社会」の分野で「人と経済・物流がよって立つ社会を持続可能」にし、
そして「環境」において「社会の基盤、地球環境を守る」ことが重要です。
地球環境+社会+経済=人間世界であり、いま、人類と産業界が最優先すべき最高位目標がSDGsなのです。

そしてSDGsを達成する手段は、以下であると私は考えています。

・働く人の環境保全→EX2/ホワイト物流(Employee eXperience Transformation)
・自動化・効率化・事業変革→物流DX(Digital Transformation)
・地球の環境保全→GX/グリーン物流(Green Transformation) 

また、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点を持ち、環境保全と経済成長を両立させることが重要です。

EX2/ホワイト物流で、働く人の環境を保全する

なぜ物流のホワイト化が必要か。1つには物流2024年問題があるからです。改善基準告示の改正に基づき、営業用トラック輸送における1年の拘束時間の上限が「原則3300時間」に見直された場合、不足する輸送能力は以下の通りです。

・不足する輸送能力の割合:14.2%
・不足する営業用トラックの輸送トン数:4億トン 

さらに2030年にはドライバー不足により、輸送能力の19.5%(5.4億トン)が不足すると言われており、両者合計で輸送能力の34.1%(9.4億トン)が不足する可能性が指摘されています。

また2024年問題は、2024年に起こるのではありません。年度を基準とする企業では、危機は年度末である2025年3月に訪れます。なぜなら、2025年2月までに時間外労働時間・拘束時間を使い果たした場合、20225年3月の繁忙期に残業できないドライバーが続出する可能性があるからです。(起算月が1月の場合は、2025年12月に危機が訪れます)

これに生産年齢人口の急減が拍車をかけ、人手不足の問題は深刻化していきます。恒常的な人手不足時代において物流を持続可能にするには、物流の最適化・ホワイト化しかありません。国土交通省のいわゆる「ホワイト物流」がドライバーの労働環境改善を指すのに対し、私は現場作業者など物流で働く人全般の労働環境改善を目指すことを(広義の)ホワイト物流と呼んでいます。

その1つのカギは、貨物をパレットなどにまとめて運ぶユニットロードシステムの導入と、そのパレットやカートンなどの輸送荷姿を、トラック荷台やコンテナとぴったり組み合わさるように整合化する「荷姿標準化」にあります。

荷姿・ユニットロードサイズが標準化されていれば、倉庫の柱間隔や保管設備、搬送機器、マテハン機器も標準荷姿サイズに整合化され、サプライチェーン・ロジスティクスの効率を上げ、生産性を圧倒的に高めることが可能になります。

欧州では、半世紀以上前から荷姿標準化と共有パレットによる一貫パレチゼーションが確立されています。たとえば独EDEKA社は、パレットを「等価等枚交換方式」で運用しています。EPAL加盟企業間の場合、仮に12枚のパレットで貨物を納品したら、12枚の空パレットを持ち帰ります。別便でパレット回収を行う必要がありません。

現在わが国でも物流標準化が論じられていますが、このような理想的な標準ユニットロードシステムを範として、日本の物流を根本的に考えるべきでしょう。

同じく議論が進んでいる「フィジカルインターネット」は、貨物を「スマートボックス」など共通規格化した容器にまとめ、オープンなプラットフォームで複数企業の物流リソース(倉庫やトラック)をシェアし、共同で輸配送を行うことで、物流効率を革命的に高める構想です。

物流DXで生産性向上、新次元に物流を進化させる

「DX」がバズワード化する過程で、残念ながら多くのケースで誤った理解が浸透しています。

経済産業省の定義によると、DXは3層構造になっています。

・デジタイゼーション……アナログ・物理データのデジタルデータ化
・デジタライゼーション……個別の業務・製造プロセスのデジタル化
・デジタルトランスフォーメーション……組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化によるビジネスモデル変革 

本来のDXの出発点は「顧客起点の価値創出」であり、そのためにデジタル化を通じて事業やビジネスモデルそのものを変革します。つまりDXは本来、オペレーションのデジタル化など現場の話ではなく、経営戦略マターなのです。

ただ、DXを始める際、まずは足元のデジタイゼーション、デジタライゼーションなど、できることからでも構いません。その基本が整ったら、本気で物流DXに挑み、ビジネスモデル変革に挑戦することも可能になるでしょう。

物流DXのベストプラクティス候補として挙げられるのは、NEXT Logistics Japanの構想でしょう。

同社は複数社による「物流共同プラットフォーム」をすでに開始しており、今後は金融プラットフォームやドライバー育成、自動運転の運行・運用など、輸送サービスにとどまらないソリューション企業への進化を目指しているからです。

ここで私が考案しました、物流センターDXへの「自動化レベル 1 to 5」をご紹介します。

<LEVEL1>は「紙ベースのアナログ現場」です。属人化した旧来の現場といえます。

<LEVEL2>は「WMS・バーコード管理を導入した現場」です。WMSは現在、約半数の倉庫で導入されているとの調査があります。

<LEVEL3>は「マテハン機器、ロボット設備の部分導入」です。多くの企業はここからのステップアップに取り組み中だと思います。

<LEVEL4>は「マテハン機器、ロボット設備の本格導入」です。物流先進企業で二けたに届く自動化機器とWMSを連携して活用している例が該当します。

<LEVEL5>は「(全)自動化物流センター」です。一部企業が挑戦していますが、完全無人化にこだわる必要はありません。管理監督者は置くとして、物理的作業をほぼ自動化するチャレンジも今や不可能ではありません。

物流センターDXの到達イメージは「オートノマス(自律稼働する)物流センター」ではないかと思います。WMS・WES導入による庫内情報のデジタル化をSTEP1とし、STEP2でデータに基づく倉庫運営の意思決定手順の標準化機能を提供、蓄積したデータ・ノウハウをヒトや設備への作業指示の自動化・最適化指示につなげ、STEP3で将来、庫内の自律制御の実現を可能にします(YEデジタル社資料より)。

物流DXはGX(グリーン物流)にもEX(広義のホワイト物流)にも貢献します。たとえば現場のデジタル化・自動化によって、GHG排出量の削減やトラック待機・アイドリング時間の削減、労働環境の改善が期待できるからです。

物流GX/グリーン物流で、地球の環境を保全する

GX(グリーントランスフォーメーション)とは、「エネルギー安定供給の確保に向け、徹底した省エネに加え、再エネや原子力などのエネルギー自給率の向上に資する脱炭素電源への転換などを進めること」と政府は定義しています。

地球の気温上昇度合いは、累積CO2排出量にほぼ比例しています。温暖化を抑制し、1.5℃目標を67%の可能性で達成するには、累積総排出量を2兆8000億t余に抑える必要があります。

もし1.5℃目標が達成できず気温上昇を許せば、地球の海面上昇は今世紀末に1m、あるいはそれ以上になり、島しょ国が水没の危機に陥り、世界中の沿岸の大都市の低地も海面下に沈む可能性があります。

これらの温暖化の危機を受け、2023年末にドバイで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)で、「2050年までにネット・ゼロ(GHG排出実質ゼロ)を達成するため、公正で秩序だち衡平な方法で、エネルギー・システムにおいて化石燃料を転換していく、この重要な10年に行動を加速させる」と合意されました。

更新された国際目標と整合化させるため、日本は「2030年までにGHGを46%削減(2013年度比)」の国際公約を、「2035年にGHGの排出を13年度比66%削減する」に改める必要があるのではないでしょうか。

そのカギとなるのが再生可能エネルギーへのEX/GXです。現在、9割以上を外国からの輸入に頼っている産業社会の基盤エネルギーをすべて「国内産」の太陽光や風力などの自然エネルギーに転換すれば、産業社会の基盤を安定化させ、エネルギー安全保障、政治的安全保障のレベルを劇的に向上できるでしょう。

物流GX/EXの具体策は以下が挙げられます。

①【目標と計画】……自社のGHG排出量を算定し、削減目標と実行計画を決める
②【Scope1】……トラック車両をEV/FCVに切り替える
③【Scope1】……物流(輸配送・保管)の共同化/モーダルシフトを行う
④【Scope2】……使用電力を再エネ電力契約に切り替える
⑤【Scope2】……自前または「PPAサービス」で再エネ発電設備を導入する
⑥【Scope3】……取引先企業にも以上の推進を要請する

結論として、迫りくる2024年危機を乗り越え、物流を持続可能にするには、以下の目標を立て、たゆまず前進することが重要です。

①EX2/ホワイト物流で、働く人の環境保全
②物流DXで生産性向上、新次元の物流進化
③物流GX/グリーン物流で、地球の環境保全 

この目標達成にみんなで挑戦し、物流SDGsを達成しましょう!

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■講師
エルテックラボ 代表/物流ジャーナリスト
菊田 一郎 氏
(株式会社大田花き 社外取締役/ハコベル株式会社 顧問)

募集要項

イベント名 1/11 オンライン:2024年の物流を持続可能に!
日時 2024年1月11日(木) 16:00~17:00
会場 オンライン受講(Zoom)
参加対象者 荷主企業・物流部門 、物流企業 様
参加費/定員 参加費無料 / 定員100名

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティンググループ
担当:
浅沼(アサヌマ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5570-8048

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