CREフォーラム レポート
株式会社ドミノ・ピザ ジャパン

(レポート)外食産業の物流を変えろ! ~ドミノ・ピザ ジャパンの物流戦略から学ぶ、物流改革のヒント~

(レポート)外食産業の物流を変えろ! ~ドミノ・ピザ ジャパンの物流戦略から学ぶ、物流改革のヒント~

株式会社ドミノ・ピザ ジャパン
グローバルパートナーシップ サプライチェーン
シニアマネージャー
番場 智 氏

外食物流の現状と課題

現在、物流業界では多くの課題を抱えています。原材料価格や燃料費の上昇。人手不足の深刻化が懸念される「2024年問題」への対応。ドライバーに求められる契約に明記されていない荷物の積み降ろし作業等です。ドライバーの待遇改善につなげたいと、荷主業者に対して値上げを求める物流事業者の皆さんも多いかと思います。

つまり、今の物流業界に求められることは「物流契約の見直し」「賃上げ交渉」「取引先・協力会社の選定」「各種ルールの整備」になると思っています。

一方で、「ロジスティクス部」や「物流課」の設置がない外食産業界における交渉には、難しさを感じていらっしゃる物流事業者の皆さんも多いかと思います。荷主の立場からとはなりますが、ドミノ・ピザ ジャパンの物流改革をご紹介させていただきます。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

ドミノ・ピザ ジャパンの物流改革

私たちドミノ・ピザ ジャパンは、2026年までに1週間で平均1000件オーダー、2033年までに2000店舗の出店達成を目指しています。そして、物流部門では、この目標の実現に向け、チームメンバー、フランチャイズパートナー、ビジネスパートナー、お客様すべての最適化を目指す改革をすすめています。

ドミノ・ピザ ジャパンにおける物流改革

改革における主な取り組み事項は以下となります。

● 配送の効率化
● 環境に配慮した取り組み
● 物流拠点の適正化
● 包材・消耗品の切り離し
● BCP・各種問い合わせ対応のシステム化

私がドミノ・ピザ ジャパンに入社して以降、特に力を注いだエリアを以下ロードマップとしてご紹介いたします。

配送の効率化

まず、取り組んだのが「配送の効率化=配送回数の削減」です。配送や納品回数、各種関連作業、ドライバーの待機時間の簡素化・効率化を図りました。2012年まで週4回から5回の納品を行っていたところ、2013年に週3回に、その後2023年7月よりエリア毎に順次1年掛けて改革をすすめました。結果、週2回の配送を2024年6月に全店舗にて実現することに成功しました。結果、物流費を対前年比20%削減、温室効果ガスを25%削減することができました。

物流センターの最適化

次に取り組んだのが「物流センターの最適化」です。ドミノ・ピザ ジャパンとして求めること「配送対応エリア、拠点、店舗数、将来的な展望、食材の取り扱いアイテム等」をRFP(Request for Proposal:提案依頼書)の形でまとめました。10社を対象に、改めて社内検討をすすめ、最終的に既存・新規のビジネスパートナー各1社との契約を締結することとなりました。適切なRFPをまとめることで、社内の課題の洗い出しを図ることができます。そして、複数のビジネスパートナーの提案を適切に評価でき、ドミノが求める内容が明確化され、後の契約トラブルを防ぐことができることにもなったと考えます。

包材・消耗品の切り離し

さらに「包材・消耗品の切り離し」も実施しました。外食産業において、ほとんどの場合、食材と包材、消耗品が一括で運ばれます。包材・消耗品は、冷蔵の必要がないにも関わらず、冷蔵で運んでいるため、トラックの積載効率の悪化につながっていました。切り離す事で、包材・消耗品だけを常温のトラックにて、週1回まとめての配送が実現できました。店舗にとっては、納品回数が減ってしまうのですが、事前に各店舗に保管スペースが充分ある点、またフランチャイズパートナーにとっては、コスト負担の軽減につながる点をしっかりコミュニケーションをとる事で、特に大きな問題が発生する事なく、実施することができました。

BCP (Business Continuity Planning事業継続計画)の導入

2023年6月には、自然災害やテロ、システム障害など危機的な状況に遭遇した時に損害を最小限に抑え、重要な業務を継続し早期復旧を図れるよう、物流におけるBCPの導入も行いました。結果、2024年1月に発生した能登半島地震の際、社内外における各担当者との迅速で効率的なコミュニケーション、情報共有が可能となり、事態の早期理解・周知・解決につながりました。

今後の物流業界に求められること

現在物流事業者の皆様が抱えていらっしゃる課題を解決するのは、簡単な事ではないと思っています。一方で、私は、物流事業者、サプライヤー、そして私たちのような荷主がしっかりとコミュニケーションを取り、連携を強化することで、解決できる課題も多くあると信じています。改革を進めていかなければ、物流業界は良くなっていきません。皆様にはぜひ、関係者としっかりコミュニケーションを取りながら、以下の取り組みを進めていただきたいと考えます。

① 物流費の理解促進

物流というと輸送や運搬をイメージする人も多いと思いますが、商品の梱包や、保管するときにかかる費用も物流費です。まずは、荷主の皆さんに、内訳についてしっかりと、理解してもらうことが必要と考えます。

② 食材原価率への影響の考慮

物流費が上がれば原価率に影響がでて、業績を圧迫します。外食業界においては原価率がとても大切となります。

③ お客様からの細かな要望・納品形態を文字化

お客様からの要望を明確にする事で、ドライバーの皆さんの作業の効率化・簡素化につながります。

④ 完璧を求める企業への対応

お客様からの難しい要望に対して、話し合いを通じて、慎重に検討をすすめます。そして時に断る事も必要となってくると私は、考えます。

⑤ BCP(事業継続計画)の対応

⑥ 物流会社と外食業界における企業のとのコミュニケーションの強化

物流事業者と荷主、ビジネスパートナー間でしっかりとした関係を作ります。

⑦ 外食企業同士の共同配送に向けて横のつながりの構築

企業の垣根を越え、改善に向けて協力をすすめます。

最後に

外食産業界における物流を変えるには、やはり荷主と物流事業者との連携の強化が必須となり、今すぐに実施することが求められます。さらに、デジタルトランスフォーメーションやAIテクノロジーなども活用し、環境を改善し「働きたい業界」に変えていくことが必要です。

「Hungry To Be Better(よりよくすることにハングリー)」を掲げるドミノ・ピザ ジャパンの物流部門では、自社の改革のみにとどまらず、今後は「他社との協業」に力を入れていきたいと考えています。外食業界における物流では、トラックは店舗に納品した後、空庫で帰ることになります。この状態を、他のビジネスパートナーの皆様と協業することで解決していきたいと考えています。現在、弊社の物流網の99%は、納品後復路は、空庫で帰っています。まずは、連携を強化することで、この空いたスペースの有効活用をすすめていきたいと考えています。

私たちの更なる成長・拡大に共感いただける方、ぜひドミノ・ピザ ジャパン物流課まで、ご連絡をいただきたいと思います!私たちと共に、更なる物流改革をすすめていきましょう!

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■講師
株式会社ドミノ・ピザ ジャパン
グローバルパートナーシップ サプライチェーン
シニアマネージャー 番場 智 氏

募集要項

イベント名 5/23 オンライン:外食産業の物流を変えろ!
日時 2024年5月23日(木) 16:00~17:00
会場 オンライン受講(Zoom)
参加対象者 荷主企業・物流部門 、物流企業 様
参加費/定員 参加費無料 / 定員100名

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティンググループ
担当:
浅沼(アサヌマ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5570-8048

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