CREフォーラム レポート
菱木運送株式会社

(レポート)運送会社ができる!荷待ち時間削減に向けた実践的な取り組み

(レポート)運送会社ができる!荷待ち時間削減に向けた実践的な取り組み

菱木運送株式会社
代表取締役社長
菱木 博一 氏

菱木運送について

菱木運送は千葉県八街市を拠点とする運送会社です。社員数41名、保有車両数は35台。関東や東北、関西方面に向けてペットフードや食品、合板資材などを輸送しています。輸送形態は宿泊運行が全体の約2割を占めています。

改善基準告示遵守への取組とシステム開発

当社は、ドライバーの労働時間管理を一番の課題だと考え、約18年前から、改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)の遵守に向けて取り組んできました。

その取り組みと課題は、以下の5つのステップに分けられます。

step1:人海戦術
・運行を減らし、管理者がドライバーに向けて改善基準告示を教育した
・しかし労働基準監督署の監査が入り、休息時間が不十分との指摘を受けた

step2:結果管理
・デジタコの運行データから、改善基準告示の遵守状況を把握できるシステムを開発した
・しかし遵守できないドライバーに向けた、管理者による指導が必要となり、管理者・ドライバーのストレスが増大した

step3:事前管理
・遵守に必要な時間情報を算出し、各ドライバーと運行管理者へリアルタイムに知らせるシステムを開発した
・ドライバーの自己管理により効率的な遵守ができるようになった。しかし取引先企業での待機時間が長いなど、自社努力での遵守には限界があった

step4:待機時間管理
・改善基準告示の遵守には待機の解消が不可欠と分かり、管理者が待機時間をリアルタイムに把握できる機能を開発した
・自己都合待機と荷主都合待機に分けて、待機のエビデンスを作成する機能を搭載。エビデンスを取引先企業と共有することで、根本的な解決を目指した

step5:ドライバー負担軽減機能
・ドライバーが車載器の入力を行わなくても、待機を把握しエビデンスを作成できる機能を開発中

step3:事前管理について

当社は「乗務員時計」というシステムを導入しており、出勤から退勤まで、ドライバーが改善基準告示を守れるよう、情報を常にスマートフォンで確認することができます。

一方で運行管理者も、パソコンでドライバーの状況がリアルタイムですべて分かるようになっています。

ドライバーは出勤時に休息時間が判定され、不十分と判断された場合、指定の時刻まで出勤することができません。

また退勤時は、運転中に勤務時間の違反がなかったかが表示され、違反内容が表示されます。また、次回出勤できる時刻も表示されます。

ドライバーのスマホには、運転できる残り時間や業務の終了時間が表示されるほか、休憩を取っていない場合はアラートされる仕組みになっています。また宿泊運行の場合は、1日目の運行を終えたタイミングで、翌日の業務開始時間が表示されます。

以上の仕組みにより、当社は改善基準告示を遵守しています。そして改善基準告示を遵守するために、荷主企業に向けて待機の改善を要求することもあります。その際の荷主企業の反応と対応の例は以下のとおりです。

物流会社としては、自社から荷主企業に改善を要求し、待機時間のエビデンスを用意し、理解を求めていくことが重要です。

事例1では、「荷卸し待機」の改善を要求しました。最初は「改善は不可能」と言われましたが、早朝の待機に対して、夜勤で荷卸しを実施することで、改善することができました。

実際のところ、国が待機の問題を企業に発信しても、企業は積極的に動かないことが多いと思います。企業に出入りする運送会社が直接問題を提示して初めて、企業側も問題を認識し、改善に向けて考えはじめてくれると思います。

事例2では、「荷積み待機」の改善を要求しました。このケースは他の運送会社も賛同しており、荷主企業も改善を検討し、積込み時間のリミットを決めて積み残しを翌日に出荷するよう対応してもらいました。しかし、だんだん元の状況に戻ってきており、再度改善を要求しています。

一度改善できても、その改善が継続するかどうかは、また別の問題です。出入りする運送会社が改善された後も確認を続けていく必要があると思います。

step4、5:車載器未入力に対する運行データ作成機能について

待機時間のエビデンスを用意する際には、車載器(デジタコ)を用いますが、「ドライバーのボタン押し忘れ」や「正確性の確認が困難」という課題があります。

そこで当社は、デジタコの未入力に対して、運行データを自動で作成できるようにしました。

具体的には、荷主企業の営業開始時間を境に、それ以前を「自己都合待機時間」、それ以降を「荷主都合待機時間」としています。また荷主都合待機時間は、荷主企業と事前に調整して決めた「荷卸し時間」を差し引いて調整しています。

この他、待機データを分析し、「週末、月末に待機時間が増加している」などの情報を荷主企業と共有することで、改善に向けたヒントになればと考えています。

システム導入効果

以上の「乗務員時計」システムを導入した効果は以下のとおりです。

改善基準告示の遵守について

・「運行管理者から言われて」ではなく、ドライバーが自己管理で遵守できるようになった
・リアルタイムに時間表示することで、遵守に対する個人差を減少できるようになった
・システム化することで、継続的に遵守できるようになった

リアルタイムの効果

・待機時間や運転時間残、拘束時間残などの運行状況をリアルタイムに確認することで、違反になる前に指示できるようになった
・管理者が待機の経過時間を把握でき、荷主に対してリアルタイムに改善依頼できるようになった
・遅延が発生したときに、次の荷主企業に対して状況を連絡できるようになった
・改善基準告示を遵守できているか、日々の結果で管理するよりも効率的に遵守できるようになった

その他

・改善基準告示を遵守したことで交通事故が減少、保険料も削減できた
・システム化したことで、運行管理者に依存しない運行管理の平準化および管理レベルの維持が可能になった
・宿泊運行時の拘束時間を分散化することで、効率化が実現した

「乗務員時計」は管理者のパソコンでドライバーの拘束時間残、休息時間残、運転時間残、休憩時間残、待機の経過時間がリアルタイムに確認できる唯一のソリューションです。デジタコと連携することで、当社以外の運送会社も使うことができます。

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■講師
菱木運送株式会社
代表取締役社長
菱木 博一 氏

募集要項

イベント名 9/26 オンライン:運送会社ができる!荷待ち時間削減に向けた実践的な取り組み
日時 2024年9月26日(木) 16:00~17:00
会場 オンライン受講(Zoom)
参加対象者 荷主企業・物流部門 、物流企業、運送事業者 様
参加費/定員 参加費無料 / 定員100名

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティング部
担当:
浅沼(アサヌマ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5570-8048

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