スタッフコラム

物流DX Part② ”物流DX”で 会社と物流を変えますか?(その2)

菊田一郎氏の連載コラム「物流万華鏡」

菊田一郎氏の連載コラム「物流万華鏡」

◆コロナ真っただ中、ますます物流DXが…

2回目の緊急事態がいつまで続くか、まだ見通せない状況ですね……。なので今、物流現場では前回触れた「非接触・非対面」、そして「自動化・無人化」⇒「デジタル化・DX」の推進がますます重要課題になっています。
今回はお約束通り、先にご紹介したキクタ流「物流自動化・ロボティクスの5カテゴリー」分類に沿って、それはいったいどんなものなのか、画像中心に具体的な解説をしてみたいと思います。

①GTP (Goods To Person)

商品の入ったコンテナなどのモノを、自動化システムで人の手元に搬送してくることで、「歩かない・探さない・考えない」ピッキングや棚入れなどの作業を支援する仕組みです。たまに勘違いされますが、従来の自動倉庫・コンベヤによる方式も立派なGTP。そこにオートストア(日本の正規代理店、オカムラさんのサイト↓にリンクします)ほかのロボット自動倉庫が登場し進化しました。

それと、下記③のAMR (Autonomous Mobile Robot)の一種である自律型搬送ロボット、ないしテープ・レーザ反射板などでガイドされる従来型のAGV(Automatic Guided Vehicle;無人搬送車)による新方式が出てきたことで、GTPと呼ばれるようになりました。
前回はシャトル自動倉庫によるGTPの一例として、本サイトの『LIP News連載インタビュー第5弾』のAMSさんの事例を挙げておきました。それに対し、自律型搬送ロボットによる方式で一番有名なのが、何と言ってもアマゾンの事例でしょうね。下の写真はアマゾンジャパンさんのプレスキットからいただいた同社川崎FC (フルフィルメントセンター)のAmazon Roboticsです。

②GTR (Goods To Robot)

同じく自動化システムでモノを搬送するのですが、着地となるステーションで待つのが人=Pでなく、自動ピッキングロボット=R(④のAPR (Autonomous Picking Robot))である場合は、運用法で区別しこう呼ぶしかないでしょう。
オートストアなどロボット自動倉庫は典型的なGTPとして運用されてきましたが、今まで人がピッキングしていたところにAPRを導入し、自動化=GTR化する事例が日本でも間もなく公開されます。
ここでは自動ピッキングロボットで知られるMUJINが辰巳のショールームで公開している、コンテナの自律搬送ロボット(同社はAutonomous Container handling Robot;ACRと呼んでいます)を紹介しましょう。

③AMR (Autonomous Mobile Robot)

SLAM(Simultaneous Localization and Mapping;自己位置推定とマッピングの同時実行)などの制御方式と各種センサにより、無軌道で自律走行する搬送ロボット。ピッキングエリアなどで人と同じスペースで共同・共存して搬送作業を支援します。従来のコンベヤや、人手によるカートピッキングのカートに代わる使用法を念頭に開発されました。先述のガイドAGVとはいちおう区別しますが、AMRでもGTPでもQRコードなどを床面に貼ってガイドするタイプもあって、厳密には判別できなくなってますね。
ここではオムロンのAMR、LDシリーズを紹介しておきます。

人々が作業するラックエリアを、人や障害物を自動的に避け、あるいは通り過ぎるのを待ち、停止・発信して走り回る様子を私は何度も拝見しました。その動きにはどこか人間的な趣があり、現場の人たちもつい感情移入して愛称で呼び、「仲間の1人」になっていたりするのもうなずけます。

④APR (Autonomous Picking Robot)

ケース、ピース単位でモノを自動ピッキングする自律型ハンドリングロボット。これは筆者の造語ですが、「自律」には3Dビジョンセンサの「眼」、モノを把持し運ぶ「腕・手」、最適な搬送動線をモーションプランニング技術等により瞬時に計算しロボットに指示する「脳」を備え、ティーチレスで自ら考え、自律的に作動する、との意味を込めています。
生産現場では何十年も前からハンドリングロボットが大活躍してきたのに、物流現場ではつい先年まで、「自動ピースピッキングロボットなんて、永遠の夢だ」と思われていたんです。生産現場では「決まったモノを決まった位置から決まった位置まで、単純に繰り返す」のがロボットの役目だったから、この完全固定作業のプログラミングを何週間も何か月もかけて専任担当者が行うことで、自動ピッキングが実現されていました。
ところが物流現場でピッキング自動化したい相手の商品は、何百何千何万もある。1つひとつにプログラミングする? …何百年もかかります! のみならず毎月のように新商品が登場する以上、「手作りプログラミング」は選択肢に、ない。
だから、人間が目で見て、瞬時に手を動かしてモノの形状、硬さ、重さに最適な力でそれをピックし、運び、優しく置く…これをロボットで実現するというビッグチャレンジが必要だった。かつて不可能とされていたことが、テクノロジーの進化でついに可能になり、道なき道を切り開いたアスクルの現場では今や、作業生産性も人のレベルにたどり着いています。LNEWSさんが動画を上げているのでリンクを紹介しときます(1つ目はGTP)。

⑤ASR (Autonomous Sorting Robot)

これも新カテゴリーのため筆者の造語ですが、自律搬送ロボットの台車上面にチルトトレイ(写真左)、または薄型ベルトコンベヤ(写真右)等の仕分けユニット(従来はコンベヤに装着しライン上で仕分けていた)を取り付け、普通は人が、手で商品を載せてやる。するとロボットが走り出し、所定のシュートに仕分けます。
写真は、物流ロボットのシェアリングプラットフォーム、サブスクサービスを展開する、プラスオートメーションのR&Dセンターで公開されている、中国製のASR。この実物を見る・触れると、失礼ながらまことに「ちゃち」で、ロボットというより家電か、オモチャみたいなのですが、必要十分な機能を備えている。つい立派に作り込みすぎてしまう、どこかの国の過剰品質とは一線を画したモデルです。すでにいくつかの導入事例が出ていますね。

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……というわけで今回は、各種の物流ロボットをビジュアル解説してみました。申し添えると、アスクルレベルの本格大規模システムは巨額な投資が必要な一方、小規模システムであるなら、上記のサブスクモデルやレンタル、リースのサービスを活用することで、「1台・月額数万円」レベルからと無理なく導入可能になりました(ただし真剣に練り込まないと投資効果は簡単には得られない)。
「物流ロボットの民主化」が達成されつつあると言えそうです。

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連載コラム 物流DX Part① ”物流DX”で 会社と物流を変えますか?

執筆者 菊田 一郎 氏 ご紹介

執筆者 菊田 一郎 氏 ご紹介

エルテックラボ L-Tech Lab
代表 菊田 一郎 氏

1982年、名古屋大学経済学部卒業。83年流通研究社入社、90年より月刊「マテリアルフロー」編集長、2017年より代表取締役社長。2012年より「アジア・シームレス物流フォーラム」企画・実行統括。著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える」(白桃書房、共著)、「物流センターシステム事例集Ⅰ~Ⅵ」(流通研究社)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。2017年より大田花き㈱ 社外取締役(現任)。2020年6月1日に独立、L-Tech Lab(エルテックラボ、物流テック研究室)代表として著述、取材、講演、アドバイザリー業務を軸に活動開始。同6月より㈱日本海事新聞社顧問、同後期より流通経済大学非常勤講師。

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