CREとは?CRE戦略の基礎知識やメリットを解説
CRE(Corporate Real Estate)とは、企業が事業活動に利用する不動産、すなわち「企業用不動産」を指します。そして、不動産を単なる資産として保有するのではなく、経営資源として戦略的に管理・活用する考え方が「CRE戦略」です。これは事業成長やコスト最適化、リスクマネジメントに直結する重要な取り組みです。なぜ今CREを理解する必要があるのでしょうか。それは、物流施設やオフィスの効率的な活用が、企業の競争力を大きく左右するからです。
本記事では、物流分野においても多様なサービスとハブを持つシーアールイーが、「CREとは何か」をわかりやすく解説します。
CRE(Corporate Real Estate)とは
CRE(Corporate Real Estate)とは、企業が事業活動に利用している不動産を指します。対象はオフィスや店舗、工場、倉庫、研究施設など多岐にわたり、必ずしも企業が所有しているものに限りません。賃借している物件も含まれ、さらに土地を借りて建物のみを所有する借地物件もCREにあたります。つまり、企業が直接関与している不動産はすべてCREの範囲に含まれるのです。これらは、従業員の働く場や顧客との接点を担う拠点であり、企業の活動基盤として欠かせない存在だといえます。

そして、これらの不動産を経営資源の一つとして戦略的に活用し、企業価値向上や経営目標の実現につなげる考え方をCRE戦略といいます。従来は「固定費」や「コスト」として扱われがちだった企業不動産ですが、CRE戦略の視点では、投資判断や財務戦略と結びつけた総合的なマネジメント対象として捉え直します。
CRE戦略とは?必要性を解説
CRE戦略とは、企業不動産を経営資源の一つとして捉え、企業価値の向上や経営目標の達成に結びつける取り組みを指します。従来、不動産は固定的な支出として扱われることが多く、必ずしも成長戦略と直結する資源とは見なされてきませんでした。しかし、保有資産を有効に活用できないままでは資本効率が低下し、企業価値を押し下げる要因となります。実際、株価純資産倍率(PBR:株価が1株当たり純資産の何倍で評価されているかを示す指標)が1倍を下回る企業が多い状況は、投資家から「保有資産を有効に活用できていない」と見られていることの表れです。こうした課題を背景に、2023年3月には東京証券取引所が資本コストや株価を意識した経営を要請しました。その影響もあり、プライム・スタンダード上場企業ではPBR改善策の取り組みや開示が進んでおり、東証の調査では約9割の企業が資本コストや株価を意識した経営に関する開示を実施または検討しています。資本効率の改善はもはや待ったなしの課題であり、CRE戦略は遊休不動産の活用や拠点再編を通じてROE・ROICを高め、株主価値向上に直結する重要施策として必要性が一層高まっています。
CRE戦略がもたらすメリット
CRE戦略を導入することで、企業は不動産を単なる固定資産ではなく、経営の成長を支える「戦略的リソース」として活用できるようになります。以下では、代表的なメリットを三つの観点から整理します。
財務健全性の向上とキャッシュフロー改善
CRE戦略の第一の効果は、財務基盤の安定化です。企業が保有する遊休地や低稼働施設は、バランスシート上では資産である一方、実際には収益を生まない「資本効率の低下要因」となりがちです。これらを戦略的に売却・賃貸・再活用することで、資産の流動化が進み、キャッシュフローが改善されます。例えば、遊休不動産の売却により新規事業や研究開発への投資資金を確保でき、また収益物件化によって安定的なキャッシュインを実現できます。
経営資源の最適配分と事業成長の加速
CRE戦略は、不動産を「流動的な経営資源」へと転換するプロセスでもあります。利用実態や収益性を精査し、非効率な拠点や低収益施設を整理・再配置することで、限られた資金と人材を成長領域に再配分できます。例えば、拠点統廃合や物流拠点の再設計によって輸送効率や人員配置が最適化され、主要事業への集中投資や新規事業開発に迅速にリソースを振り向けることが可能となります。これにより企業全体の資本回転率が改善され、事業運営の柔軟性や対応力が高まります
リスクマネジメントと事業継続性の確保
不動産は企業にとって資産であると同時に、多様なリスクの源泉にもなります。自然災害リスク(地震・洪水等)、老朽化リスク、法規制や市場需給変動による資産価値下落などがその典型です。CRE戦略では、不動産リスクを定量的に評価し、拠点移転・リニューアル・売却などを通じてリスク耐性を高めます。たとえば災害リスクの高い地域から安全性の高いエリアへの移転は、BCP(事業継続計画)の実効性を高め、突発的な危機に対する企業のレジリエンスを強化します。
CRE戦略を成功に導くポイント
企業が保有する不動産は、単なる資産やコストではなく、経営を左右する重要なリソースです。CRE戦略を成功させるためには、経営目標との整合性を意識しながら、不動産を戦略的に活用する視点が欠かせません。ここでは、そのために押さえておきたいポイントを解説します。なお、国土交通省も「CRE戦略実践のためのガイドライン」を公表しており、基本的な考え方を整理する際は参考にすると良いでしょう。
戦略の目的を明確にする
CRE戦略の出発点は、「なぜ自社は不動産を戦略的に見直すのか」という目的を明確にすることです。不動産は単なる固定資産ではなく、資金調達、事業拡大、ブランド価値向上など、多面的に経営へ影響を与える経営資源です。例えば遊休資産の売却によるキャッシュ確保と、働き方改革を目的とした拠点再編では、選択すべき施策が大きく異なります。目的を曖昧にしたまま進めれば施策が場当たり的となり、期待する効果を得られません。したがって経営層は、企業課題に対して不動産がどう寄与できるかを具体的に定義し、経営方針との整合性を確保する必要があります。これにより、不動産を「コスト」ではなく「成長資産」として再位置付けでき、戦略的活用が可能となります。
データ分析と現状把握を徹底する
CRE戦略の実効性を高めるには、自社不動産の現状を客観的に把握することが不可欠です。立地条件、稼働率、維持管理コスト、収益性、耐用年数などを体系的に棚卸しし、可視化することが第一歩です。その上で、地価や賃料水準、人口動態やインフラ整備計画、さらには都市計画や税制改正といった外部要因も分析し、自社資産の将来的な価値とリスクを評価します。これにより、資産を保持すべきか流動化すべきかを合理的に判断できます。また、市場環境は変化するため、分析を定期的に更新する仕組みも重要です。
社内体制の整備と専門家の活用
CRE戦略を推進するには、明確な責任体制と専門知識を備えた組織的枠組みが必要です。大企業では不動産戦略部門を設置する例もありますが、中小企業であっても経営企画や財務部門と連携したチーム編成で対応可能です。重要なのは、CRE戦略を経営課題として位置付け、意思決定を経営層に直結させる仕組みを整えることです。さらに、社内の知識だけで完結させず、不動産コンサルタントや金融、都市計画の専門家など外部リソースを積極的に活用することも有効です。外部の知見を取り入れることで、市場動向や法規制への対応精度が高まり、自社では気づきにくいリスクや機会を発見できます。社内外のリソースを融合させた体制構築こそ、CRE戦略を成功に導く鍵といえます。
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CRE戦略を効果的に進めるためには、目的の明確化からデータ分析、施策の実行に至るまで、多角的な視点と高度な専門性が求められます。しかし実際には、自社だけで全てを担うのは難しく、外部の知見や支援を取り入れることで成功の可能性は大きく高まります。
ククレブ・アドバイザーズは、豊富な知識と実務経験をもとに、企業不動産の現状把握から戦略立案、実行までをトータルでサポートしています。CRE戦略に課題を感じている企業様は、ぜひ一度ククレブ・アドバイザーズへご相談ください。最適な解決策をご提案し、貴社の不動産活用を力強くご支援いたします。
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まとめ
CRE戦略は、企業の不動産を「守る資産」から「攻める経営資源」へと変える重要な取り組みです。コスト最適化だけでなく、事業成長やリスク対応、サステナビリティ推進に直結するため、今後ますます重要性が高まるでしょう。しかし、専門性の高さゆえに社内だけで推進するのは難しいケースも少なくありません。そうしたときこそ、外部の専門パートナーと連携し、最適な戦略を描くことが成功への近道となります。
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