CREフォーラム レポート
株式会社APT

(レポート)APT 参入が相次ぐ海外マテハンとの付き合い方

(レポート)APT 参入が相次ぐ海外マテハンとの付き合い方

会社概要

APTは、2010年に創業した、ソフトウェアとハードウェアの両面から物流現場の改善をお手伝いする物流システム・エンジニアリング会社です。

当社のサービスは2つあり、1つ目は「お客さまが現在お使いの自動倉庫を中心とした物流設備のリニューアル」および「物流倉庫への自動化設備の新規導入」です。特に前者の「リニューアル事業」が現在の主力サービスとなっており、売上の70~80%を占めています。

2つ目は「自動化がフィットしない現場の運営を人手で改善するためのサポートシステムの開発・提供」です。

これらのサービスを用いて、当社は自動化・マニュアルの両方に対応した物流改善ソリューションを提供しています。

自動倉庫のリニューアル

APTの技術力の源泉である、「自動倉庫のリニューアル」についてご説明します。

自動倉庫は一般的に、「管理システム」が出荷や入荷を指示し、「制御装置」がその指示を受け取って機械を動かします。しかしこれらのシステムには往々にしてブラックボックスが存在し、システムを製作したメーカーにしかわからない部分があります。

当社はこれらの「管理システム」と「制御装置」を、ブラックボックスのないオープンな仕組みでパッケージ化し、元のシステムと入れ替えます。また入れ替え後のメンテナンスも一貫してお受けいたします。これにより、改修費用やメンテナンス費用を削減することができます。

物流センターの新設ソリューションへの展開

これら「自動倉庫のリニューアル」事業で培ったノウハウ・製品群を活用し、2018年、APTは物流センターの新設市場に本格参入しました。ハンディターミナルやピッキングカート、デジタルピッキングなどのツールはもちろん、大掛かりなマテハンを活用した自動化センターまでワンストップでご提供しています。

AGVやシャトルなどのマテハンに関してはメーカー様から購入し、当社のシステムにつなぐことでご提供しています。そして今般、これらのマテハンは日本製だけでなく海外製の機器も選択肢に入ってきました。

主な海外製マテハンの参入事例

今般、日本での導入が進められている海外製マテハンの事例をご紹介します。

「保管」分野では、ノルウェー・AutoStore AS社の「Auto Store」が有名で、日本国内ですでに30~40ほどの導入事例があります。ほかアメリカ・米OPEX社の「Perfect pick」も注目されています。

「搬送」分野では、オランダ・F3-Design B.V.社の自律走行フォーク型搬送ロボット「Nipper」が昨年から日本国内で使われはじめ、フォークマン不足の解消ツールとして期待されています。

「仕分・ピッキング」分野では、amazonの棚搬入AGVが有名でしたが、新しく、複数個のケースを自動搬送できる中国製のAGVやAMR(自律型協働ロボット)が登場し始めました。日本での導入はまだですが、人との協働をスムーズに行えるかがポイントだと思います。

海外マテハンのポジショニング

あくまで私見ですが、欧米グループは高費用高効果(機器がフィットしない場合は低効果も)、日本製グループは中費用中効果、そして中国製グループは低費用低効果だと考えています。

しかし中国製グループの機器に関しては、あくまで「製品をそのまま使う場合」の話で、当社のようにシステムの中に組み込んで使えば高効果を期待できると考えています。また技術レベルは数年前とは雲泥の差で、日本法人を作り本格参入する会社も出始めています。

中国製マテハンのポジションが低い理由

中国製マテハンはどうすればレベルアップすることができるでしょうか。まずは中国製マテハンが抱える課題を整理してみます。

・ハードウェアの問題
大手金属商社様の事例では、「中国製AGVを安価で導入できたが、施工精度や取り部品の付け精度などにトラブルが多く、復旧手段の知見が日本側にないと現場が苦しい」という問題がありました。

・ソフトウェアの問題
大手物流会社様の事例では、「ハードウェアが手入れできても、管理ソフトが安定せず、ソフトの問題はまったく手がさせないため、問題解決に多大な時間がかかり、現場が停滞してしまう」という問題がありました。

・納期、品質の問題
当社の体験談ですが、「納品アイテムへのコミットが薄く、現場に持ち込む前のテストも未実装、工期が100%完成していないのに、"ある程度"終われば気を抜いてしまう」という、商習慣の違いから来る納期遅れなどの問題がありました。

以上のことから、中国製マテハンには、「ハードとソフトの品質」「アフターサポートの充実」「商習慣」に未だ課題があると考えています。

中国製マテハンを導入する際の留意点

では、中国製マテハンの課題をどう解決していくか、当社が考える3つの留意点をご紹介します。

①アフターサポートの確認
中国製マテハンはコストの安さが魅力ですが、納品後のサポートが不十分な場合が多いといえます。メーカーのサポートが弱い場合は、日本側でアフターメンテナンスを行う体制をあらかじめ構築しておくなどの準備が必要です。

②商習慣の違いによるリスクを契約でケアする
リスクを避けるために、たとえば以下のような条件を契約に盛り込み、交渉に臨む必要があります。

 ・品質対策:ノントラブルの期間が2週間続かなければ合格としない
 ・遅延対策:遅延時にペナルティを課す
 ・予定外費用対策:購入側の予定外の費用負担もあらかじめ契約に盛り込んでおく
 ・情報開示対策:日本語での仕様書や復旧マニュアルを作成してもらう

③スモールスタートで始める
参入してから日の浅い、日本に実機のない機器などは、まずはスモールスタートで始める逆提案を行います。初期投資を抑えながら、相手会社の力量を知り、長く付き合っていけるか判断ができます。

以上の3点を押さえることができれば、中国製マテハンの導入リスクをかなり減らすことができます。

APTの中国製マテハンへのアプローチ

当社は、中国製マテハンの研究を行うLaboを2021年3月に開設する予定です。

・ハードウェアの一部を日本製に変更する
・ソフトウェアを当社で内製・標準化する
・アフターメンテナンスを当社と協力会社様で対応する
・海外メーカーとの調整・折衝はすべて当社の責任として引き受ける

など、中国製マテハンのあらゆる問題に責任を取れるよう「自社製品化」し、自動化保管市場に新たな選択肢を提供いたします。

中国製マテハンの「自社製品化」

当社の中国製マテハン「自社製品化」、その第一弾となるアイテムは、倉庫内ロボットストレージシステム「Hive」です。

・前後、左右、上下にシャトルが動き、分散して作業を行う
・シャトルの台数に応じて目的を変えられる
・日本製の制御システムで動かす

などの特徴を持つ、3次元の動きを実現したシャトル型倉庫システムで、作業効率や保管効率を向上させることができます。

このほか、保管量を重視したパレット保管シャトルや、フォークタイプのAGVなどの自社製品化を予定しています。

まとめ

中国を中心としたアジア製マテハンの品質レベルは日進月歩。中には日本製品にはないユニークさを持つ機器もあり、上手く使いこなせば高いコストパフォーマンスを引き出すことが可能です。

そのためには、「アフターサポート体制を確保する(日本での復旧スキームを作る」「契約時にリスク対策をしっかり盛り込む」「参入してから日の浅い、日本に実機のない機器はスモールスタートを逆提案する」などの対策を行うことが大事です。

当社の知見が海外製マテハン導入にお役立ちできるケースもありますので、お悩み等がございましたら、お気軽にご相談ください。

講師紹介

株式会社APT
代表取締役
井上 良太(いのうえ りょうた)氏

株式会社APT
代表取締役
井上 良太(いのうえ りょうた)氏

大和証券グループのベンチャーキャピタル(現:大和企業投資(株))へ入社。
多数のベンチャー企業への投資やコンサルティングを通じ、成長支援に従事。シグマクシスを経て、2010年より株式会社APT代表に就任。現在に至る。

企業情報 株式会社APT

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募集要項

日時 2020年 9月 10日(木) 15:45受付 16:00開始 17:00終了
会場 オンライン受講
参加対象者 荷主・物流企業 様
参加費/定員 無料/300名限定

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティングチーム
担当:
石原圭子(イシハラ) 近藤(コンドウ)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5572-6604

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