(レポート)物効法で選任待ったなし!「物流統括管理者」の役割とCLO ~“金賞CLOオブザイヤー”日清食品・深井常務に聴く~

CREフォーラム レポート
日清食品株式会社・エルテックラボ

(レポート)物効法で選任待ったなし!「物流統括管理者」の役割とCLO ~“金賞CLOオブザイヤー”日清食品・深井常務に聴く~

日清食品株式会社
常務取締役 事業統括本部長 兼 Well-being 推進部長
NISSIN ACADEMY 学長
物流統括管理者(CLO)
深井 雅裕 氏

エルテックラボ 代表
物流ジャーナリスト
菊田 一郎 氏

2026年4月以降、改正物流効率化法において、特定荷主に対する中長期計画の策定、定期報告とともに「物流統括管理者の選任」の義務化条項が施行されます。

約3200社とみられる特定荷主に設置される以上、物流統括管理者とやりとりをする関連荷主企業にも、物流企業にも、対応準備が必要となります。また政府文書に記載された、物流統括管理者への理解も深めていかなければいけません。

そこで今回のCREフォーラムは、日経ビジネス「CLOオブザイヤー2025」金賞に選ばれた日清食品の深井雅裕常務をお招きし、物流統括管理者/CLOの役割とは何かを、物流ジャーナリスト・エルテックラボの菊田氏が伺いました。

●日清食品が進めてきたサプライチェーン変革

深井氏:日清食品は、社会課題の解決と企業価値の向上により、社会のウェルビーイングを実現することを、 サプライチェーン変革の目的にしています。

当社の社内外の活動をご紹介します。

まず社内では、資材物流から製品物流まで部門ごとにバラバラに動いていた物流フローを可視化・標準化し、社内の部門間でデータ連携できるように注力しました。

具体的には、たとえば営業部門と製作部門で異なっていたシステムを統合し、自分たちがつくったデータが他のプロセスにどのような影響を与えるかを理解しやすくしました。システムはダッシュボードでタイムリーに情報を共有し、予実管理や販売事業計画の立案に役立てています。また今はAIによる業務プロセスの自動化に取り組んでおり、生産性の向上を目指しています。

次に、組織体制を変更しました。これは「仕事の内容によって、組織の箱も変えた方が、効率が良い」という考えからです。当社ではフェーズによって、組織体制をタイムリーに変えることにしています。

そして人材育成です。社内の育成だけでなく、どう外から人材を招くかも考えて活動しています。

次に社外では、業種業界を超えた共同輸送に取り組んでいます。具体的には、当社と繁忙期の季節が異なるビール・飲料メーカー様と共同配送・共同保管を行っています。

また共同輸送を実現するために、製配販でのデータ連携・資材サプライヤーとのラウンド輸送なども行っています。特にデータ連携においては、生産や資材調達の効率化、需要予測共同化、業務プロセスへのAI活用などに力を入れています。

菊田氏:上図に示された<資材サプライヤーとのラウンド輸送>は、すごいことなんです。今まで調達資材が納品された後のトラックは、大半が空車で帰っていたことが可視化によって判明したので、それを製品輸送に活用されたんですよね。

深井氏:はい。可視化することで、 資材納品後のトラックに製品を載せることが可能になりました。積載率を上げ、 ドライバーの拘束時間を減らし、 CO2排出量も減らすことができたわけです。

今後は、業種業界を超えた連携を行い、共同配送は「共同保管起点」かつ「着荷主起点」で行っていくのがよいと考えています。やはり、当社がサプライヤー様とさまざまなことを行えているのは、当社が着荷主だからで、何をどこから買うなどの情報を理解しているからです。

たとえば、業種業界を超えた連携例には以下が挙げられます。

このトラックAの積載率は容積積載率96%です。しかし重量積載率でいうと39%しかありません。

次のこのトラックBの重量積載率は96%です。しかし容積積載率は48%しかありません。

ここで、トラックAとトラックBの荷物を調節すると、重量積載率を95%、容積積載率を96%まで高めることができます。業種業界を超えて歩み寄ると、このような効率化を図れます。

着荷主視点にすると、下記の右図のように、さまざまなメーカーが共同保管で運び、お客さまに届けることができます。これが目指すべき姿だと思います。

●物効法が定める物流統括管理者の役割を巡って

菊田氏:次に物流統括管理者の役割について、私からご説明します。

物流総合効率化法(物効法)には、「積載効率の向上等」「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」という3大努力義務が定められています。

また物効法は「物流統括管理者の役割」を以下のように定めています。

 ◆物流統括管理者には、物流全体の持続可能な提供の確保に向けた業務全般を統括管理する役割が求められる
 ◆業務遂行には、運送(輸送)、荷役など物流の各機能の改善だけでなく、調達、生産、販売等の物流の各分野を
  統合し、流通全体の効率化を計画するため、関係部署間の調整、取引先等の社外事業者等との水平連携や垂直連
  携の推進も必要

このほか、事業運営上の決定を主導するため、ロジスティクスを司る、いわゆるCLO(Chief Logistics Officer)として経営管理の視点や役割も期待されます。

ただ、ここには環境安全対策や社会課題の対応などが書かれておらず、この視点がないとCLOとはいえないのではないか、と私は考えています。まずは3大義務に集中し、5年後、10年後の将来を見据えて、物流だけでなくロジスティクス、サプライチェーンまで視野を拡大し、社会課題に取り組むべきではないでしょうか。

●JPICの「CLOに求められる要件」と、物効法の規定を比較する

深井氏:私が参加している、一般社団法人フィジカルインターネットセンター(JPIC)では、CLOを以下のように定義しています。

『持続可能な社会と企業価値の向上を実現するため、モノの流れを基軸にしたサプライチェーンにおいて、
 経営視点で社内外を俯瞰した全体最適を図る役割を担う責任者』

サプライチェーンを基軸に経営そのものを変え、その結果、待ち時間の問題や環境問題を解決していくという役割で、菊田氏の提唱するCLOの像に近いといえます。

CLOの具体的な役割は、以下の3点です。

➀社会課題解決・地域の持続可能性 ・働き方改革、カーボンニュートラル、BCPと災害対応
・フィジカルインターネットの標準化・規格化を推進
 
②全体最適に向けた中長期計画の立案と実行 ・現状分析→戦略→実行→評価・改善を統括
・標準化・デジタル化を推進し物流品質を継続深耕
 
③物流オペレーションの効率化を実践 ・リードタイムの適正化
・在庫適正化と協同配送(混載)
・品質・リスク管理強化、先進技術(IoT/AI)活用
 

もちろんCLOひとりで実行できるものではありません。私も20名くらいの「チームCLO」といった感覚で取り組んでいます。

菊田氏:深井さんが仰るように、CLOひとりで進められるものではありません。東大の西成活裕教授はCLOの要件として、「最新技術の知見」 「財務の知見」「ビジネスモデルの知見」「倫理(人格)」を挙げ、同じく「1人ではなくCLOチームで」と主張していますが、私も同意見です。

またJPICでは荷主の設置するCLOに対応し、 物流企業側もそのカウンターパートとなるLPD (Logistics Producer)を設置するべきだと提案していますね?

必ずしも物流実務専門家でないCLOに対して、LPDが物流のプロとして共同化・効率化策などをアドバイス/コンサルティングしていけば、将来のフィジカルインターネットの実現も目指していけるでしょう。

●ビジネス遂行4階層/サプライチェーン・ロジスティクス視点であるべき姿を探る

菊田氏:CLOの役割をビジネスの遂行段階である、実行/戦術/戦略/パーパスの4層にあてはめて考えてみました。

実行段階では、センター長などが、物流拠点における物流のオペレーションの最適化を図ります。

戦術段階では、ロジ部長やCLOが社内他部門と物流の連携による企業内の最適化を図ります。

戦略段階では、CLOやCSCOが、上流・下流の企業間連携による全体最適化を狙います。

そしてパーパス段階では、社長やCLO、CSCOが、人と地球社会全体のウェルビーイング、公共的善の拡大にロジ・事業で貢献し、「企業価値の向上」を実現します。

深井氏:サプライチェーンの物流改革はステークホルダーが非常に多く、さまざまな利害関係があり、必ずしも取組みが上手くいくとは限りません。だからこそ、こういった階層構造で整理するべきですね。関係者たちが何のために取組みを行うのかを理解しやすくなり、モチベーションアップにつなげやすいと思います。

菊田氏:「会社は何のために存在するのか」「地球環境の持続可能化に向けて何ができるのか」といったパーパスを見据え、階層構造でその実現に向けて考え、サプライチェーンの仕組みを改善していただければと思います。

物流現場は現在、ドライバーだけでなく、働く人そのものが足りていない状況にあります。この課題を解決するために、ドラーバーがひとりでより多くのモノを運べる仕組みをつくり、物流現場を省力化・自動化、ディーセント・ワーク化することでエンゲージメントを向上させ、共同化で積載率を上げ、あらゆる手段を用いて温室効果ガスの削減を急ぎましょう。

そしてこれらの課題解決と、サプライチェーン・ロジスティクスの全体最適化に向け、物流統括管理者、またCLOの皆さんがチャレンジの指揮を執って行かれることを大いに期待しています。


日清食品株式会社 常務取締役 事業統括本部長 兼 Well-being 推進部長 NISSIN ACADEMY 学長 物流統括管理者(CLO) 深井 雅裕 氏

エルテックラボ 代表 物流ジャーナリスト 菊田 一郎 氏

募集要項

イベント名 2/5 来場型セミナー:物効法で選任待ったなし!「物流統括管理者」の役割とCLO ~“金賞CLOオブザイヤー”日清食品・深井常務に聴く~
日時 2026年2月5日(木) 15:30~16:30
会場 虎ノ門ツインビルディング 西棟 地下1階 カンファレンスホール
(東京都港区虎ノ門2-10-1) google map
交通 東京メトロ日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅 「A2a出口」より徒歩約3分
参加費/定員 参加費:無料/定員:100名〈先着順〉

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティング部
担当:
杉本(スギモト)
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5570-8048
 
 

CRE倉庫検索で物件をお探しの方へ

CRE倉庫検索を運営するシーアールイーでは、業界トップクラスのネットワークを活用し、経験豊かなプロフェッショナルが、お客様のご要望に合わせた物件情報のご提案、物件探しをご支援します。

事業用物件を売りたい・貸したい方へ

事業用物件、倉庫や工場、事務所で売りたい・貸したい方、気軽にマスターリースにご相談ください。状況に合わせてご提案させていただきます。

詳細条件で検索

都道府県・
エリア
賃貸面積
  • 範囲で指定
  • 数値で指定
賃料
用途
取引形態
都市計画区域/用途地域
最寄りIC
その他条件