(レポート)荷主の行動変容と共同輸配送が変える物流の未来 ~新物効法施行で物流現場はどう変わったか~
株式会社traevo 代表取締役社長
鈴木 久夫 氏
2026年4月より、物流関連二法・取適法が本格施行されました。荷主・物流事業者には「積載効率向上」が求められており、その実現に欠かせない「共同輸配送」への注目が高まっています。
そこで今回は、荷主企業に向けた「共同輸配送の相手探し」を支援する物流マッチングサービスや、新物流2法対応をサポートする「荷待ち・荷役時間の把握・効率化」の仕組みをご紹介します。
●物流効率化法について
まずは改めて物流効率化法の内容をおさらいしましょう。物効法の骨子は以下の3つとなっています。
| ①積載効率の向上 |
・リードタイムの確保 ・繁閑差の平準化、納品日の集約 ・社内の関係部門間の連携の促進 |
|---|---|
| ②荷待ち時間の短縮 |
・トラック予約受付システムの導入等を通じた到着時刻の分散 ・混雑時間を回避した日時指定 |
| ③荷役等時間の短縮 |
・輸送用器具導入による荷役等の効率化 ・バラ積み貨物のパレット化 ・タグ導入等による検品の効率化 ・事前出荷情報の活用 |
当社traevoは、これら3つの荷主・連鎖化事業者に求められる努力義務をサポートするサービスを展開しています。詳しくは後述しますが、その前に、現在に至るまでの行政側の取り組みを時系列で見てみましょう。
始まりは、働き方改革関連法に運輸業が加わったことでした。これによりドライバーが働く時間が減少し、輸送量の低下やドライバー不足が懸念されるようになり、その課題を解消するために「物流を効率化する」ための法規制が検討されました。その結果、改正物流関連二法が2025年4月から施工さることになりました。
そして2027年4月からは、独禁法に「着荷主規制」が追加されます。これにより、着荷主側の都合で荷待ちをさせたり、契約に明記されない荷役作業をさせることが規制され、荷主・着荷主・物流会社の間で「正確な事実確認・現状把握」をすることが必須となります。
●物流革新に向けた政策パッケージの具現化
一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会(TDBC:Transport Digital Business Council)は、「運ぶを、より安全に。」をテーマに運輸業界の課題を解決し、より安心・安全な社会をICTの積極的利用で実現すべく、2016年に設立されました。
構成会員は、トラック事業者をはじめとする「事業者会員」83社、さまざまな技術やソリューションを持つ企業・団体による「サポート会員」104社、発着荷主企業や自治体による「パートナーシップ会員」10社、合計197社です(2026年1月時点)。
おもな活動として、運輸業界の標準化、効率化、DXを目指して毎年テーマを設け、ワーキンググループ活動を行っています。たとえば2025年は、下記のようなテーマでワーキンググループ活動を行いました。
| WG01 | 事故ゼロ実現に向けた称賛と指導による安全文化の醸成 |
|---|---|
| WG02 | 健康経営の推進と健康課題解決 |
| WG03 | 新たな人材確保と教育、働き方(外国人ドライバー) |
| WG04 | 荷主とのパートナーシップによる2024年問題の解決と、働く環境の改善 |
| WG05 |
動態管理プラットフォーム(traevoPlatform)を活用した持続可能な物流の実現 <WG05A>共同輸送ユニバーサルシステム「traevo noWa」 <WG05B>動態管理プラットフォームを活用した積載効率の改善と カーボンニュートラルの実現 <WG05C>持続可能な農業を実現するための青果物流の課題解決 |
| WG06 | 生成AIを取り入れた新しい物流連携による『現場DXの実現』 |
| WG07 | 超遠隔操作による無人化施工普及と一般土木工事への活用に向けた連携 |
| WG08 | 無人AI点呼実現への挑戦 |
| WG09 | 持続可能な運輸事業者への転換(SDGsの推進) |
●TDBCの解決策を形にする事業会社「traevo」
そしてtraevoは、このTDBC会員の活動成果を「持続可能なプラットフォームとして社会実装する」「デバイスやシステムに依存しない、 オープンな仕組みを社会に提供する」ことを目的とし、2022年に設立されました。
traevoはこれらの目的を実現するために、各社の輸送データを一つのサプライチェーン単位で、車両の動態管理や荷待ち・荷役時間の把握などに活用可能な「traevo Platform」と、その蓄積されたデータベースを社会インフラとして共有するシステム「traevo noWa」を提供しています。
●既設車載器の情報を物流効率化に活用する「traevo Platform」
物流には、荷主企業や物流事業者、その下請け会社、着荷主企業と、さまざまな会社が関わっており、それぞれが個々でシステムを導入しています。
個々のシステムは仕様が異なるため、連携させることは難しいのが実情です。たとえば、メーカーAの商品を小売店Bに運んでいたとして、5時に来るはずなのにまだ来ない。そこで小売店BがメーカーAに問い合わせてみると、メーカーAは正確に把握できていない。そこでメーカーAが配送をお願いしている物流会社Cに連絡し、物流会社Cはドライバーに連絡し……と、日々伝言ゲームが行われています。
「traevo Platform」は端的に言って、この状況をなくすために開発されました。
開発にあたって注目したのは「車載デジタルタコグラフ」です。トランストロンやシステック、矢崎エナジーシステムなど、さまざまなメーカーがデジタルタコグラフを開発していますが、その多くは共通して「荷積」「荷卸」「待機」などのボタンを備えています。またデジタルタコグラフはGPSも内蔵しています。
そこで、これらのデジタルタコグラフから得られる作業ステータスと位置情報を収集・統合し、動体管理ができるのではと考え、「traevo Platform」は開発されました。これにより、荷主・元請企業は輸送状況の全体を把握し、サプライチェーンの最適化を図ることができ、災害発生時など緊急時もスムーズに対応できるようになります。
2025年からは、荷待ち時間、荷役時間超過のエビデンスを取得・共有する機能も追加。たとえば、「このトラックがセンターDにて1時間半、荷待ちしていた」などのデータも自動的に集計することができます。
営業的なお話しをすると、「traevo Platform」の費用は以下のとおりです。追加機器を導入する必要はなく、申請いただくだけで使用できるようになります。
●共同輸配送検討のためのマッチングサービス「traevo noWa」
「traevo noWa」は、「traevo Platform」のデータを活用したマッチングサービスで、「共同輸配送をしたい」と思ったときに相手を探すことができます。経済産業省北海道局のデジタルマッチング実証事業への採用を経て、2026年2月から正式にサービスを開始しました。
共同輸配送には、「他の企業が何をどこに、どのように運んでいるのかが分からない」といった「相手探しの壁」や、「店着時間と集荷時間が折り合わない」など「ルール議論の壁」があり、たとえば2社間で共同輸配送を検討し始めても、なかなか上手くいかないのが現状です。
そこで「traevo noWa」は、シンプルに「業種や荷主、物流会社の垣根を超えて広く探索できる」ことと、「1対1の交渉の場を迅速に提供する」ことを機能に盛り込みました。
具体的には、荷主企業が自社の往路と復路の場所、回送条件、車種などを記入して検索をかければ、マッチング候補が表示される仕組みです。路線データをExcelで登録するだけで利用開始でき、共配協議が始まるまで社名は非公開、営業情報が知られることもありません。
一方で、物流事業者は「この地点からこの地点まで、最大◯台で荷物を運べますよ」と登録しておけば、マッチング候補に挙がり、荷主企業とやり取りできるチャンスを得られます。
北海道におけるデジタルマッチング実証においては、イオン北海道とホクレンで実証を行いました。ホクレンの「Aコープ月形での荷下ろし後、マテハンを積んで札幌まで戻りたい」という希望に対して、イオン北海道が「イオン岩見沢店で荷下ろし後、Aコープ月形を経由し、ホクレンのマテハンを積んで札幌まで戻る」ことにより、物流効率化に寄与できました。
現在、「traevo noWa」には、関東・中部・関西を中心に全国約1万6000件のルートが登録されています。簡単に登録でき、共同輸配送の相手を探すことができるので、荷主企業や物流事業者の皆さまはぜひご参加ください。
「荷姿が違う」「他社との合積みが難しい貨物がある」など諸事象がある企業に向けては、自社サプライチェーンや企業グループ、業界内などの専用環境を構築するサービスも開始しているので、こちらもご検討ください。
株式会社traevo 代表取締役社長 鈴木 久夫 氏
募集要項
| 日時 | 2026年7月3日(金) 15:30~16:30 |
|---|---|
| 会場 |
虎ノ門ツインビルディング 西棟 地下1階 カンファレンスホール (東京都港区虎ノ門2-10-1) google map |
| 交通 | 東京メトロ日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅 「A2a出口」より徒歩約3分 |
| 参加費/定員 | 参加費:無料/定員:100名〈先着順〉 |
本件に関するお問合せ
- お問合せ先:
- 株式会社シーアールイー マーケティング部
- 担当:
- 杉本(スギモト)
- メール:
- leasing_mail@cre-jpn.com
- 電話:
- 03-5545-7402