(レポート)リアルに語る、ベトナムの現在地 ― 物流×金融×事業戦略から読み解く、企業成長のヒント ―
Viet Nam Prosperity J.S. Commercial Bank
("VPBank")
FDI-TB Division
Deputy CEO
上條 浩毅 氏
NIPPON EXPRESS (VIETNAM) CO., LTD.
Hanoi Branch
Sales Marketing & Forwarding Division
General Manager
江口 穣 氏
Yamada Consulting & Spire Vietnam Co., Ltd
General Director
牧村 拓哉 氏
ベトナムの経済、その先へ / Viet Nam Prosperity J.S. Commercial Bank ("VPBank") 上條 浩毅 氏
VPbankはベトナムの民間銀行で、総資産は業界1位、約300店舗を展開し、3万人の従業員を有しており、SMBCが15%を出資する戦略的パートナーとなっております。2023年10月の出資以来、両行の相互理解は着実に深まっています。
●ベトナムという国について
改めてベトナムという国についてご説明いたします。国名はベトナム社会主義共和国で、首都はハノイです。国土面積が33万平方キロメートルということで、日本の約9割になります。
人口は1億230万人ということで、3年ほど前に1億人を突破して増えているような状況です。平均年齢が33歳ということで非常に若いですね。この豊富な労働力というのが進出する企業からしても魅力的なところになっているのかなと思います。
●成長を支える構造の変化
私が重視しているのは成長率そのものではなく、むしろその成長を支える構造の変化です。従来のベトナム経済というのは、輸出が伸びれば成長する経済と言われてきました。ですが現在は、輸出、民間投資、公共投資、そして個人消費という複数の成長エンジンが同時に動き始めています。
中でも投資が主要エンジンとなっており、投資がGDP成長に約5.5ポイント寄与しています。足元では民間投資が15%、公共投資が30%増加しており、極めて力強い投資活動になっています。また海外直接投資についても、半導体それから先端部品分野への投資を中心に足元拡大しております。
次に消費の側面についてです。
小売売上高の推移を見ると、ここ数年で旅行や外食などサービス消費へのシフトが顕著であることが分かります。消費構造の変化と共にサービス指向の高まりが今後の成長を牽引していることが明らかです。
また、自動車及びバイクの販売も好調です。これは中間所得層の購買力拡大を示唆しています。自動車販売台数は今33万台ですが、EV車の急速な普及と相まって、来年には100万台を突破するんではないかという風に言われています。
●工場の国から市場の国へ
私は最近、ベトナムが工場の国から市場の国へ進化していることに注目しています。
これまでベトナムは生産拠点として語られてきました。豊富な労働力と競争力のある人件費が強みです。しかし、それ以上に重要な変化があります。ベトナム自身が巨大な消費市場として存在感を高めているのです。
ハノイやホーチミンのショッピングモールは週末に家族連れで賑わい、人気店には行列ができています。国内・海外旅行の需要も拡大しており、これは市場の成長を象徴しています。
企業の関心も変わりました。以前は「ベトナムで何を生産するか」が中心でしたが、今は「ベトナムで何を売るか」という議論が増えています。つまり、ベトナムは単なる生産拠点から、作る場所であり、売る場所へと変わろうとしているのです。
●行政改革の重要性とインフラ投資
ベトナム現政権による行政改革に特に注目しています。
日本企業からは「手続きが時間がかかる」という声をよく聞きますが、この2年で改善が進んでいます。
現政府は行政組織の統廃合と権限委譲により、政策決定から実行までの経路を短縮し、より迅速な政府を構築しようとしています。
具体的には、13の総局の廃止、地方行政層の削減(三層→二層)、中央機関の削減(30→20)、省の削減(63→34)など、ドラスティックな改革を断行しています。
その効果として、ハノイの環状線プロジェクトでは、かつて7年かかっていた用地取得が5ヶ月で完了したケースも出ています。
ベトナムの今後の経済成長には、このインフラ投資が不可欠です。政府は今後5年間で年率10%以上の成長を目指しており、そのため人、モノ、資本、情報の効率的な移動を実現するインフラが必要とされています。
2020年~2030年の10年間で、総投資額約1.5兆ドル(GDP の約4割)が交通インフラに投入される予定です。南北高速鉄道、15の国際空港、深い港、ハノイ地下鉄網(5年間で400キロ)、高速道路、社会住宅100万戸などが優先プロジェクトとして進められています。
これにより、産業拠点、都市、港湾、空港を結ぶ統合型ネットワークが構築され、物流コストの削減、民間投資の誘致、生産性の向上へと繋がることが想定されています。
●財政健全性と金融の役割
ベトナムの公的債務はGDP比約31%(2025年末)で、アセアン主要国の中でも低水準です。外貨準備も2010年以来の高水準にあり、大型投資を行う余力が十分残されています。
ベトナムの成長を持続させるには、金融の役割が不可欠です。VPbankは総資産で民間銀行1位、自己資本で業界第2位の地位にあり、3000万人以上の顧客基盤(人口の3人に1人)を保有しています。
ベトナムのビジネスに関するご相談やご質問がございましたら、VPbankまでお気軽にお問い合わせください。ご清聴ありがとうございました。
Viet Nam Prosperity J.S. Commercial Bank ("VPBank") 上條 浩毅 氏
ベトナムの最新物流事情と 物流ソリューション / NIPPON EXPRESS (VIETNAM) CO., LTD. 江口 穣 氏
私はハノイに4年間駐在し、日系企業の物流提案・サポートに従事しています。
本日は、ベトナムの最新物流事情と企業向けソリューションについてお話をさせていただきます。
●ベトナムの貿易状況
ベトナムの輸出入は2016年から増加傾向にあります。
| 輸出品目 | 電子製品、機械、携帯、アパレル |
|---|---|
| 輸入品目 | 電子部品、機械部品、布・生地 |
上記から、ベトナムは部品・原材料を輸入して国内生産し、輸出する加工貿易の構造となっています。
国別に見ると、米中貿易摩擦の影響で「チャイナ・プラス・ワン」としてベトナムへの生産移管が進み、アメリカへの輸出が最大です。次点で中国、韓国、そして日本と続きます。
●ベトナム物流インフラとネットワーク
ベトナムは中国、ラオス、カンボジアと陸路で接続し、タイ、マレーシア、シンガポールへのネットワークも広がっています。道路整備も進み、輸送は概ね問題ありません。
| 空港 |
ハノイ、ダナン、ホーチミンに国際空港があります。需要増加に対応し、ホーチミン郊外に新空港が建設中で、今年12月開港予定です。ただし、アジア域内近距離路線が大半で、ヨーロッパといった長距離便が少なく、貨物便はスペースが足りなくなったり、運賃が上がったりということがあります。 また、貨物量も年々増加しており、貨物ターミナルがオーバーフロー状態となり、遅延が生じやすいということもあります。 その対策として新空港では貨物施設に大規模投資が予定されています。 |
|---|---|
| 港湾 | ハノイ、ダナン、ホーチミンの港は河川港のため水深が浅く、大型船の入港が限定されていました。現在、大型船対応の新港湾が開発中です。 |
| 高速道路 | ハノイ~ホーチミン間(1600km)の高速道路が今年開通しました。従来50時間以上かかっていた輸送が30時間程度に短縮され、燃料・人件費削減と精密機械輸送の品質向上が期待されます。 |
都市部の道路状況については、渋滞が激しく、事故も頻繁に起きています。このため市内は通行規制が設けられています。
【トラック通行規制(一部参考)】
ホーチミン:2~5トンのトラックは夜間のみ通行可
ハノイ:2トン以上のトラックは夜間のみ通行
※10トン以上は特別許可が必要
●ベトナムの輸出入制度
ベトナムの輸出入制度で一番特徴的なところとして、EPE企業というのが挙げられます。
EPE企業は、輸出加工企業として輸出向け製品を製造し、税関上は外国として扱われます。
| メリット |
・海外からの輸入時:関税、VAT免除 ・税関手続き:優遇措置で申請がスムーズ、現物検査も省略される場合がある ・国内調達:ノンEP企業からの仕入れはVAT非課税 |
|---|---|
| 義務・制限 |
・施設の隔離(フェンス、壁)、ゲート管理、CCTV設置が必須 ・無税輸入した原材料の定期的な在庫報告が必要 ・国内販売時は都度、通関手続きが必要 |
●NXベトナムのサービス
NXグループは、世界56ヶ国300都市737拠点で約8万人の従業員がグローバル輸送を展開しており、ベトナムでも2000年の設立以来、1356名の体制で事業を展開しています。
航空・海上輸送、倉庫、配送、通関手配、設備・重量物輸送など、幅広い物流サービスを提供しており、北部3ヶ所、南部5ヶ所の倉庫ネットワークで対応しています。北部では輸入部品や輸出品の保管・配送、南部では国内販売製品の流通が中心となっており、地域特性に応じた物流機能を構築しています。
NIPPON EXPRESS (VIETNAM) CO., LTD. 江口 穣 氏
現地企業へのM&Aから見るベトナム企業の特性と裏側 / Yamada Consulting &Spire Vietnam Co., Ltd 牧村 拓哉 氏
当社は国内中心でしたが、2011年にシンガポール拠点を設立し、その後中国、タイ、ベトナムへと進出しました。
2015年にシンガポールでリサーチ会社「スパイア」を買収し、そのネットワークを統合。現在、東南アジアではインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、シンガポール、フィリピン、インドに拠点があります。
グループ全体は約2200名で、コンサルティング部門は約1200名。海外メンバーは260名(全体の25%)で、ベトナムには約20名の体制を構えています。
●日本企業とベトナム企業の経営思想の違い
ベトナム企業の特徴と日本企業との誤解について2つのテーマに沿ってお話しします。
日本企業は理屈で判断し順序立てて進む傾向があるのに対し、ベトナム企業はその場の雰囲気や感情で判断する傾向があります。よく言えば臨機応変ですが、悪く言えば場当たり的です。
【買収プロセスでの価格変更】
基本合意後、詳細調査を経て最終価格を決める流れが一般的ですが、ベトナム企業は一旦合意した価格を後で覆すことがあります。契約直前に1.5倍の価格を要求するケースもあります。こうした場面では、冷静に淡々と対応することが重要です。
【株主間契約での法的問題】
ジョイントベンチャー時に提示した株主間契約が「ベトナム法に違反している」と言い張られるケースもあります。弁護士作成なので違法でなく、典型的な対応パターンとして一蹴して終わらせることが効果的です。
【「計画性がない」理由】
ベトナムでは5年ごとに政権が交代し、方針が大きく変わるため、中期計画が存在しないか機能しません。実質3年の間にやり遂げるべきというスピード重視の考え方があります。ただし、日本企業からの出資やビジョン教育を受けると、経営意識が大きく変わる傾向も見られます。
【「日本企業は遅い」というプレッシャー】
「日本企業は遅い」というプレッシャーを気にする必要はありません。
日本企業は議論段階では早く意思決定もスピーディですが、難しい決定では時間がかかることがあります。一方、ベトナム企業は日本企業のスピードアップを求める傾向があります。
しかし重要なのは、必要な情報周知と条件の詰めに時間をかけ、相手の変更の有無を確認することです。これにより後々のトラブルを防げます。
【ベトナム企業の二重帳簿問題】
ベトナム企業の多くで、税務申告上の利益と実際の利益が異なる二重帳簿が存在します。売上隠しや費用の過大計上が行われているケースが多いです。
ただし、すべての企業に存在するわけではなく、業種、経営者のバックグラウンド、業歴によって異なります。
●インボイス制度の導入
ベトナムではインボイスがなければ費用計上や付加価値税の控除が認められません。
電子インボイスの義務化が進み、2022年に施行、2024年にはさらに対象が拡大されています。
BtoB取引では電子インボイスにより、売り手の発行と同時に買い手の購買データが自動出現するため、売上隠しが難しくなっています。
一方、BtoC取引では消費者がインボイス不要のため、売上隠しがしやすい状況が続いています。
電子決済の普及により、インボイス未発行・売上隠しは減少傾向にあるものの、抜け道・制度上対応できない点も残っています。
●ベトナム企業とのM&Aや提携
さまざまな課題や留意点がありますが、重要なのは、これらの違いや課題を理解した上で、柔軟に対応することです。
ベトナム市場での成功には、ベトナム企業の特性を認識し、日本企業の論理性と現地企業の柔軟性のバランスを取ることが不可欠です。
ご質問やご相談がございましたら、山田コンサルティングスパイアベトナムまでお気軽にお問い合わせください。
本日はお忙しいところ、ご清聴いただきありがとうございました。
Yamada Consulting &Spire Vietnam Co., Ltd 牧村 拓哉 氏
募集要項
| イベント名 | 9/4 (東京)来場型セミナー:CREベトナムフォーラム『リアルに語る、ベトナムの現在地 ― 物流×金融×事業戦略から読み解く、企業成長のヒント ―』 |
|---|---|
| 日時 | 2026年9月4日(金) 14:00受付開始 14:30開始 17:30終了予定 |
| 会場 |
虎ノ門ツインビルディング 西棟 地下1階 カンファレンスホール (東京都港区虎ノ門2-10-1) google map |
| 交通 | 東京メトロ日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅 「A2a出口」より徒歩約3分 |
| 参加費/定員 | 参加費:無料/定員:150名〈先着順〉 |
本件に関するお問合せ
- お問合せ先:
- 株式会社シーアールイー マーケティンググループ
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- 杉本(スギモト)
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