エンバイオホールディングスグループ 株式会社アイ・エス・ソリューション

(レポート)間違いだらけの土壌汚染 ~今、改めて土壌汚染リスクとは何かを検証する ~

エンバイオ・ホールディングスの概要

私が在籍しているアイ・エス・ソリューションを含むエンバイオ・ホールディングスは、土壌汚染対策事業を中心に、土壌汚染調査、土壌汚染対策工事、土壌汚染関連機器や資材販売、汚染地の買取り事業、売電事業等、環境問題をソリューションすることに特化した専門集団です。

平成28年度末時点で、平成16年からの累計で土壌汚染調査を2,777件、土壌汚染対策工事を2,520件行なっている実績があります。

土壌汚染の由来の種類(「事業由来」「造成由来」「自然由来」)

土壌汚染の由来は、おもに3種類あります。1つ目が「事業由来」で、工場等の操業時に使用している特定有害物質が地下に浸透することで発生する土壌汚染です。

2つ目が「造成由来」で、敷地の造成時に汚染された土壌を埋土として利用することで発生する土壌汚染です。

3つ目が「自然由来」で、自然地層内にはもともと重金属類が含有されていますが、それが基準値を超えた場合、土壌汚染として取り扱われます。

土壌汚染対策法の目的と達成の手段

平成15年に施行された土壌汚染対策法の目的は、ひと言で言うと、「国民の健康を保護すること」です。

この目的を達成するために、まずは土壌汚染の可能性のある土地について、土壌汚染状況調査を行います。そして土壌調査の結果、汚染が発覚したら、その土地が「区域指定」とされます。

ここで皆さんに知っておいてほしいのは、土壌汚染対策法は、「土壌汚染が発覚したら、汚染をすべて除去しなさい」と命ずる法律ではないということです。「健康リスクのないように、土壌汚染を管理するべき土地を区域指定する」のが土壌汚染対策法です。

土壌汚染と四大公害の違い

土壌汚染は、昭和30年代以降、問題になった四大公害(水俣病・第2水俣病・イタイタイ病・四日市ぜんそく)とは、人の健康に及ぼす危険度がまったく異なるものです。四大公害の場合は、人が直接摂取することを避けられない川や大気が汚染されたので、健康被害が甚大なものになりました。

一方、土壌汚染の場合は、汚染土壌から溶出した有害物質で汚染された地下水を飲んだり、また汚染された土壌に直接触れたり口にしたりしなければ、健康被害は起こりません。たとえば、汚染された土をコンクリートやアスファルトで覆って人が触れられないようにすれば、汚染が存在するとしても、健康影響を防止することができるのです。

指定基準値の根拠

土壌汚染対策法では有害物質ごとに基準値が設けられています。その基準値を超えると、「土壌汚染」という扱いになり、健康リスクがあるかもしれないので注意が必要だということになります。

指定基準値の根拠となるのが、土壌含有量基準と土壌溶出量基準の2つです。土壌含有量基準は、汚染土壌を子供が1日に200㎎、大人が1日に100㎎、70年間摂取しても問題ないと考えられる濃度です。また土壌溶出量基準は、汚染物質が溶け出した井戸水を1日に2ℓ、70年間飲用しても問題ないと考えられる濃度です。これは水道水の基準とほぼ同じ数字で、厳しい基準となっています。

土壌汚染に内包されるリスク(「法的リスク」「健康リスク」「経済的リスク」「間接的リスク」)

土壌汚染には、健康だけでなく、さまざまなリスクが内包されていますが、基本的には4つに分けられます。

1つ目は「法的リスク」です。先ほどお話しした土壌汚染対策法をはじめ、宅建業法、民法、消費者契約法などに関わるリスクです。

2つ目は「健康リスク」で、汚染されている土や水を摂取して健康被害が生じるというリスクです。

3つ目が「経済的リスク」で、汚染調査・浄化費用、土地の資産価値・担保評価の低下など、土壌汚染により発生するさまざまな費用に関するリスクです。

4つ目が「間接的リスク」で、土壌汚染が第三者に与える嫌悪感から発生するリスクです。具体的には風評被害、企業イメージの低下などがあります。

「土壌汚染対策法」と「土地の資産価値」~健康問題が資産価値問題へ転換:環境省の考え方との乖離~

最初にお話ししましたように、土壌汚染対策法の主務官庁である環境省は、健康リスクがないように適切に土壌汚染を管理すれば問題はないという考え方をとっています。

しかし、国土交通省などの省庁は、土壌汚染は資産価値の減額要因になるという、経済的リスクを前提とした考え方をしています。汚染されていない土地の価格から浄化費用とスティグマと言われる嫌悪感を差し引いた金額が汚染地の金額であるという考え方です。

環境省的な考えでいけば、汚染土壌を健康被害のないレベルに浄化すれば土壌汚染問題は解決しますが、国土交通省的な考えでは、汚染土壌を元の汚染されていない土壌のレベルまで浄化しないと土壌汚染問題が解決したということになりません。

この両者の考えの違いが、一般の人たちの土壌汚染に対する考えを混乱させてしまっているのです。

土地取引において完全浄化が主流となる三大要因

土壌汚染が土地の資産価値の減額要因になるということもあり、現在、土壌汚染対策法で「区域指定」された土地で実施される浄化措置で一番多いのが「掘削除去(完全浄化)」となっています。掘削除去というのは、汚染されている土をすべて取り除き、そこに新たにきれいな土を入れるという浄化工事です。

掘削除去が選ばれる要因として、3つ考えられます。1つ目は、土壌汚染が存在することによる不動産価格の低下の防止です。2つ目は、重要事項説明時における説明のしやすさです。汚染を完全に除去してしまうので、ややこしい説明をしなくて済むからです。3つ目は、企業コンプライアンスなどの間接的リスクを取り除くためです。

ただし、浄化工事の中でも最もコストがかかる手法である掘削除去が土壌汚染対策の主流となることで、「土壌汚染=悪」のイメージが一層増幅されることになりました。

豊洲問題と土壌汚染問題(「安全」と「安心」)

さて、いまだ解決に至っていない豊洲移転問題ですが、これは現在の土壌汚染問題の縮図と言えます。

豊洲移転問題と土地取引における土壌汚染問題には共通点があります。それは土壌汚染のリスクに対する誤解です。

豊洲市場が土壌及び地下水汚染されているという状況は間違いありません。ただ、土壌汚染については、健康リスクを防止するための措置は実施されています。また、基準値を超過する地下水はありますが、地下水を利用することはありません。つまり、豊洲において「安全」は確保されているのです。

しかし、人々は、「環境基準の超過は健康被害に直結している」という誤解が先行して、不安が増幅し、「安心」できないという状況になってしまっています。

一方、土地取引における土壌汚染についても、土壌汚染が懸念される土地は、土壌汚染調査を実施し、土壌汚染の状況把握を行い、土壌汚染が発見された場合は、健康被害を防止する措置を施します。これにより「安全」が確保されます。

にもかかわらず、資産価値の低下や土壌汚染に対する嫌悪感で「安心」できないので、汚染された土壌は掘削除去(完全浄化)する傾向にあります。

土壌汚染に起因する健康被害の発生メカニズムが一般的に認知されていないために、「安全」と「安心」が混同されて、誤解が生じているのです。

土壌汚染リスク管理

土壌汚対策法が施行されて14年経ちますが、私たちは土壌汚染に対する考え方を変える時期に来ていると思います。「土壌汚染=悪だから完全に除去しなければならない」という考えから脱却する必要があります。

土壌汚染はお金をかけて完全除去するのではなく、「低コストで土壌汚染のリスクを管理しながら土壌汚染とうまくつき合っていく」という考え方へとシフトしていってほしいと考えます。

浄化手法の組み合わせ(「掘削除去」「封じ込め」「原位置浄化」)

土壌汚染の浄化手法としては「掘削除去(完全浄化)」が圧倒的に多いという話をしましたが、そのほかにも「封じ込め」や「原位置浄化」などの手法があります。これらの手法を組み合わせれば、低コストで土壌汚染を浄化することができます。

「封じ込め」というのは、汚染土壌を敷地内に封じ込めて、敷地外に汚染が拡散しないようにする方法です。この場合、封じ込めただけなので、汚染は残っている状態になります。

「原位置浄化」というのは、薬剤を地中に注入して、地中で汚染物質を分解・無害化していく方法です。この方法は低コストで土壌とともに地下水汚染も同時に浄化できる利点がありますが、短所としては、この方法を採用できる有害物質が限定されているということです。また、掘削除去に比べて浄化するのに時間がかかります。

「掘削除去」「封じ込め」「原位置浄化」、それぞれにメリット、デメリットはありますが、何が何でも「掘削除去」ではなく、これらを組み合わせたハイブリッド工法を採用することで、より効率的で適切な汚染土壌の浄化ができるのではないかと考えます。

土壌汚染は怖くない~土壌汚染とうまくつき合う~

土壌汚染は決して怖いものではありません。土壌汚染が人に与える健康影響を正しく理解し、土壌汚染のリスク管理をすることで、土壌汚染とうまくつき合っていくことができます。

今後も私たちは、土地の有効活用にとって致命的な障害となる土壌汚染問題に対して、先進的技術とアイデアをもって取り組んでいきたいと考えています。

大阪開催時のレポートはこちら :
/event/forum/report/171030.html

講師紹介

エンバイオホールディングスグループ
株式会社アイ・エス・ソリューション
営業第1部部長 兼 関西支店長
瀬田 英男(せた ひでお) 氏

JFEテクノリサーチ株式会社土壌環境部営業グループ長を経て、現職となる。

約20年前より、土壌汚染調査~対策工事、コンサル業務に携わり、土壌汚染対策法施行後は、不動産取引を契機に発生する土壌汚染問題を専門に、主に金融機関・不動産仲介業者・デベロッパー・弁護士等より依頼を受け、数多くのソリューション活動を展開。土壌汚染に関する勉強会、講演多数。

募集要項

イベント名 第34回CREフォーラム|『間違いだらけの土壌汚染』 ~ 今、改めて土壌汚染リスクとは何かを検証する ~
日時 2017年 5月26日(金)14:30開場 15:00開始 16:40終了
会場 虎ノ門ツインビルディング西棟地下1階
東京都港区虎ノ門2-10-1 google map
参加対象者 荷主企業 様、物流会社 様
参加費/定員 無料/70名限定 (定員数を超えた場合、申し込み期限前でも終了する場合があります)

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティング部
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5572-6604

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