残荷とは?基本的な意味から改善策まで解説
残荷とは、当日に出荷予定だった荷物が何らかの理由で輸送業者に引き渡されず、倉庫や現場に残ってしまう状態を指す言葉です。本記事では、残荷の定義から原因、防止策までを詳しく解説していきます。
残荷の基本的な定義
残荷の基本的な意味
残荷とは、本来であれば発送されるはずだった荷物が、何らかの要因によって輸送業者に引き渡されず、出荷されずに残ってしまう状態を指します。残荷が発生する状態は、スケジュール管理上の問題とされ、翌日以降に持ち越されてしまうと別の出荷作業とも重なり、さらに混乱を招く要因になります。また、人員の追加配置や一時的な保管費用の増加など、企業にとって無視できないコストが発生します。残荷は、一時的に発生するだけではなく、放置されると在庫管理上のミスにつながり、最終的には大きなコスト増や顧客からの信頼失墜を招くリスクとなりえるのです。
残荷という言葉が使われる場面
残荷という言葉は、主に物流現場や物流倉庫で、出荷日当日に搬出できず翌日以降にずれ込んだ荷物を確認する際に用いられます。特に通販や生産ラインからの出荷指示が多い倉庫では、日次の出荷作業が集中しやすいため、残荷が発生しやすい傾向があります。結果として、倉庫管理システム上では出荷完了と認識されているにもかかわらず、実際には倉庫に残っているなどのギャップが生じる場面でも使われることがあります。
残荷が発生する原因
残荷はさまざまなきっかけで起こりますが、その背景には物流の現場特有の課題が存在しています。以下の主要な原因を把握しましょう。
運用ルールの未整備とシステム課題
明確な作業フローが定まっていない現場では、誰がどのタイミングで何を担当するのかが曖昧になり、作業効率が下がります。加えて、在庫管理や出荷情報を適切に統合できるシステムがない場合、人的な確認に頼りすぎるためミスが生じやすくなります。こうしたルールやシステムの不足が、残荷を生み出す土壌となるのです。
物流倉庫内の整理整頓不足
倉庫内が乱雑、またはレイアウト上引渡し荷物の場所を明確化していない状態だと、引渡し時に必要な荷物を迅速に見つけられない、または全て引き渡したと思っていたが実際には別のところにも荷物があり、引渡し漏れが発生してしまうという事象が起こります。特に後者の場合には事後発覚となるのでトラブルの影響範囲が大きくなりやすい性質を持っています。
荷物の量が多くトラックに積み切れない場合
急なセールやキャンペーンの影響などで出荷量が大幅に増えた場合、トラックの積載量を超えてしまい、結果的に荷物を積みきれないという事態が発生します。このようなケースでは、増便の手配が間に合わないと残荷が発生し、倉庫スペースが一時的にパンク状態に陥ることもあります。
またこの残荷によるスペース圧迫によって翌日以降の作業にも影響がでる可能性があります。
残荷を防ぐための対策方法
ここからは、実際に残荷を最小限に抑えるための具体的な方法や工夫、取り組みを解説します。
適切な積載計画と出荷体制の確認
まずは、出荷物量に合わせた車両とスケジュールを事前に十分検討することが重要です。繁忙期やセール時期には、想定より多くの出荷が必要になる場合があるため、余裕を持った車両手配を行いましょう。そのためには販売計画と出荷計画のすり合わせが必須です。倉庫内においては配車担当者や倉庫スタッフとの連携を強化し、車両の手配、輸送車両の着車、荷物の積み込み、発車と一連のプロセスをスムーズに行える状態を作ることが大切です。
倉庫レイアウトと運用の整備
発生原因でも触れたように日々の倉庫運営の中で定位置管理や整理整頓の運用を徹底することは非常に有効です。この運用が徹底されていると物量が増えた時でも倉庫を見渡せば正常な状態であるか、何か異常が発生しているかの検知が行いやすいためです。
現場での掲示物や運用によってはパレットやオリコンといった什器の色・サイズに意味を持たせることも有効な場合があります。
まとめ
残荷を減らす取り組みは、企業の信頼性向上とコストの抑制に大きく寄与します。全体最適を考えながら、現場レベルでの実践を続けていくことが重要です。
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