老朽化した倉庫に潜むリスクとは? 老朽化が進む背景から建て替えを成功させるポイントまで解説

CREコラム

老朽化した倉庫に潜むリスクとは? 老朽化が進む背景から建て替えを成功させるポイントまで解説

倉庫の老朽化は、構造的な安全性や生産効率、事業コストに大きな影響を及ぼします。特に、近年のEC需要拡大と物流拠点の高度化に伴い、老朽化した倉庫の取り扱いが急務となっています。本記事では、老朽化倉庫が抱えるリスクや老朽倉庫の建て替えを成功させるポイントまで幅広く解説していきます。

倉庫の老朽化が進む背景

物流ニーズが変化する中で、老朽化が進む倉庫は取り残されるリスクが高まっています。その背景と課題を整理します。

築年数の経過

倉庫は建物としての完成から数十年が経過すれば、物理的劣化を避けることはできません。屋根や外壁、柱や基礎などの主要部が劣化し始めると、耐震性能や断熱性能が急激に低下する恐れがあります。特に、日本では高度経済成長期(1970〜1980年代)以前に建てられた倉庫も多く、すでに築40年以上経過している倉庫も少なくありません。国土交通省の調査によると、1980年までに建てられた倉庫は、全体の約3割強を占めているとされています。
また、当初の設計時には想定していなかった荷物量や設備の増設を行っている場合、その負荷は建物に少しずつ蓄積されていきます。経年による劣化と過剰負荷の相乗効果で、倉庫の老朽化が進んでしまうケースがあります。

定期的なメンテナンス不足

老朽化の大きな要因として、定期的なメンテナンス不足が挙げられます。部位ごとの点検や修繕を怠ると、ひび割れやサビなどの小さな劣化箇所が深刻化して、後から大きなコストを要する改修につながりがちです。
また、使用環境に合わせたメンテナンス計画が十分でない倉庫では、建材や設備の劣化スピードが一層早まります。例えば、湿度の高い立地や海風の強いエリアであれば、より短いサイクルで点検を行う必要があるでしょう。

老朽化した倉庫に潜むリスク

ここでは、老朽化した倉庫に潜むリスクを解説します。

生産が停止するリスク

老朽化した倉庫では、設備の急な故障や電気系統のトラブルにより、出荷作業がストップする事態が発生する可能性があります。特に24時間稼働が基本となるような倉庫では、一度停まれば再稼働までに膨大な損失が生じるでしょう。出荷計画に大幅な遅れが発生し、取引先への納品にも影響を与える可能性もあります。企業全体の信頼問題にもつながるため、倉庫の老朽化リスクを軽視することはできません。

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労働災害が発生するリスク

老朽化で特に心配されるのは、耐震性や荷重負荷に対する安全面です。万一、大きな地震や外部からの衝撃に耐えられなかった場合、人的被害だけでなく保管している製品の損失も引き起こします。さらに水漏れや火災への対策が不十分な倉庫では、災害発生時に被害を最小化できない可能性があり、企業全体の信用問題に直結しかねません。
また、倉庫の老朽化が進み、古い足場や手すりを放置していると転落事故や感電事故の危険性が高まります。従業員が安心して作業できない環境では、モチベーションが下がるだけでなく離職率が上がる恐れもあります。

老朽倉庫の建て替え・改修の判断基準

倉庫の老朽化が進んだ際に、建て替えるべきか改修で対応すべきか判断する際のポイントを解説します。費用対効果や工期、事業への影響などを踏まえて慎重に検討し、必要に応じて専門家による診断やコンサルティングサービスを活用するとよいでしょう。場合によっては、既存部分を改修しながら徐々に新設備を導入するステップ方式が最適な解となることもあります。

設備診断と耐用年数の確認

専門家による設備診断を実施することで、建物の土台や柱・梁、さらに搬送設備や冷暖房システムなどの実際の劣化状態を把握できます。これにより、本当に建て替えが必要なのか、改修で対応可能なのかをより正確に判断する材料となります。

ただし、法的耐用年数を単純な目安として鵜呑みにするのではなく、実際の劣化度合いや維持コストを考慮することが大切です。仮に残耐用年数がまだある場合でも、設備が故障しがちでメンテナンス費がかさんでいるなら、早期建て替えや大規模改修が得策となることは珍しくありません。診断結果と事業計画の両面から最適解を導き、長期的な視野でリスク管理とコスト削減を両立させることが求められます。

老朽倉庫の建て替えを成功させるポイント

建て替えには大きな投資が必要ですが、正しい進め方を把握することでリスクを最小化できます。大規模なプロジェクトになるため、資金計画や行政手続きには十分な時間をかける必要があり、入念な事前準備が不可欠となります。

容積率緩和など制度面での支援策を利用する

国土交通省や自治体では、老朽化した倉庫を建て替えるために容積率の緩和や補助制度を提供するケースが増えています。複数の倉庫を一体的に再開発する場合、補助金や税制優遇が得られることもあり、企業にとっては積極的に検討すべき選択肢です。制度面での支援策を活用することで、老朽倉庫の安全性と効率性を高める再開発プロジェクトが進めやすくなっています。

周辺住民や行政への説明・申請手順を入念にチェック

建設工事に伴う騒音や交通規制など、周辺地域への影響は慎重に管理すべき課題です。円滑に工事を進めるためには、十分な説明会の実施や行政との密な連携が欠かせません。許認可申請の手順を把握し、スケジュールに沿って進めることでトラブルを避け、プロジェクトをスムーズに実現できます。

まとめ

倉庫が老朽化すると、安全性や生産性の低下リスクだけでなく、災害時の被害拡大や高額な修繕費用を招く可能性が高まります。老朽倉庫への投資は経営判断として大きな決断ですが、適切な計画と実行により、企業にとって大きな成長機会に転換し得るものです。早めの状況把握と対策で、安全かつ効率的な倉庫運営を実現していきましょう。

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