倉庫におけるラックの種類と選び方のポイント

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倉庫におけるラックの種類と選び方のポイント

物流倉庫の中で使用するラック(棚)にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や得意分野が異なります。コスト面やスペース効率、安全性といった観点から用途や運用方法に合ったラックの選定が倉庫運営のポイントになります。
本記事では、代表的なラックの種類から、選び方のポイントまでを解説します。今後の倉庫レイアウトや業務効率化を考える際の参考になれば幸いです。

倉庫ラックとは

倉庫ラックは倉庫の空間を最大限に活用し、大切な荷物を安全に保管するための中心的な役割を果たします。仕分けや在庫管理の効率を左右するため、用途に合わせて最適なラックを導入することが倉庫運営において非常に重要です。
特に工場や物流センターなど、大量の荷物を扱う現場では、ラックのレイアウトひとつで作業動線に大きな違いが出ます。限られたスペースを有効活用するだけでなく、フォークリフトや作業者の安全な動線を確保しながら、倉庫のピッキング作業や入出庫作業をすることができます。
また、ラックを導入する際には、保管する製品のサイズや重量、安全基準を守るための装置の取り付けなど、細やかな点にも注意が必要です。最適なラックを選ぶことで、資材や製品の損傷リスクを最小化し、トータルコストの削減も期待できます。

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倉庫ラックの主なタイプ

倉庫ラックには、保管する荷物の性質や運用方法に応じて多様な種類のラックがあります。軽いダンボール箱を扱うだけなのか、重量が1,000kg以上あるパレットの格納なのかによっても選ぶべきラックのタイプが異なってきます。適切なラックを選択するためには、まずは各タイプの特徴をよく理解することが第一歩となります。
さらに、倉庫の運用においては、繁忙期と閑散期で保管量に変動がある、将来的に取り扱う商品が大きく変わるといったシナリオが考えられます。そのような状況にあわせてラックを柔軟に配置できることも重要なポイントです。

段ボール製ラック(巣箱タイプ)

倉庫で使用されるラックとしては後述の金属製のものが主流ですが、アパレルなどのEC業界で広く使用されているのが、段ボール製ラックです。
金属製のラックと比べると、導入コストが安く、軽量なため運搬やレイアウト変更も容易にでき、取り扱いやすさの点で金属製よりも秀でています。また、段ボールといっても、一般的なラックのように何段かスタッキングできる程の耐久性を兼ね備えており、モノによっては3年以上使用できる製品もあります。
一方で、段ボールの性質上、湿気には弱いため、庫内設備や環境に合わせて採用するのが望ましいといえます。

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スチールラック(スチール棚)

スチールラックは一般的に120kgから500kg程度の耐荷重を持ち、軽~中量の物品を保管するのに適しています。ボルト固定式やボルトレスタイプがあり、高さや段数、奥行き、横幅などを細かくカスタマイズできるため、さまざまなシーンに対応可能です。
レンタル品や中古品も提供している会社が多く、組み立ても比較的簡単かつ増設やサイズ変更を行いやすいことから、運用の途中でレイアウトを変えたい場合にも柔軟に対応できる点がポイントです。オプションとして取り付けられるキャスターや落下防止バーなどを活用すれば、移動性や安全性をさらに高めたカスタマイズが可能です。
価格帯はラックのサイズや耐荷重によって幅がありますが、他のラックに比べると比較的ローコストなタイプも多く見受けられます。

ネステナー(ネスティングラック)

ネステナーは大きな特徴として、ラック同士をスタッキングできる構造を持ち、使わないときにはまとめて収納できる点があります。在庫の保管量に季節変動がある場合や、イベント用品のように使用期間が限られる荷物を扱う場合に活躍します。
ただし、次に紹介するパレットラックに比べると耐荷重や安定性の面では劣る部分があるため、保管物の形状や重量をよく確認した上で導入を検討する必要があります。
また、ネステナーには「正ネステナー」と「逆ネステナー」があり、用途に応じた使い分けが必要です。正ネステナーは上下でしっかり固定できる構造のため、安定性が高く、重量物や長期保管に向いています。一方、逆ネステナーは軽量で扱いやすく、作業現場での一時保管やピッキング作業に適しており、コストも安価な傾向があります。安定性重視なら正ネステナー、作業性やコスト重視なら逆ネステナーを選ぶのが基本です。

パレットラック(重量ラック)

パレットラックはその名の通り、パレットに載せたままの重量物や大型商品の保管に特化したラックです。他のラックと比べてコストが高い反面、頑丈なフレーム構造を持ち、最大3,500kg程度の重量にも対応するタイプもあるなど、大型倉庫や工場で活躍します。
フォークリフトを使う現場では、パレットラックを導入することでスムーズに上げ下げでき、庫内の作業効率が飛躍的に向上します。高い位置への積み下ろしにも対応しやすいため、倉庫の空間を垂直方向にも有効活用できる点が大きなメリットです。
また、パレットラックの場合は庫内の高さや幅に合わせたり、自動化設備に対応させるためにオーダーメイドで製作することも少なくありません。当然、初期コストの面では既製品よりも上がりますが、柔軟性・安全性・効率性を考慮して設計をすることで、いずれ追加で導入したり買い替える必要が無くなるため、中長期的な目線で見たコストを抑えることにもなります。

倉庫ラックの選定ポイント

続いて、保管効率や作業のしやすさ、安全性も含めた倉庫ラックの選定ポイントを整理します。
ラック選びでは、収納物のサイズや重量、将来的な拡張予定など、複数の視点をバランスよく考慮することが重要です。誤った選定をしてしまうと、せっかく導入したラックが使いづらい、保管効率が落ちるといった問題につながります。
また、ラックの導入コストだけでなく、点検や安全対策、長期的に発生するメンテナンス費用を含めたトータルコストで比較することも大切です。業務の流れに合ったラックを選ぶことで、作業者の安全を守りながら生産性を高めることができます。

収納物のサイズ・重量

ラックへの収納を前提としている荷物のサイズや重量を正確に把握することは、最適なラックを選ぶうえで最も重要な要件の一つです。余裕をもった耐荷重設定を行うことで、想定外の重量物を収納するリスクや棚板の変形による事故を防ぎます。
また、荷物の大きさ、フォークリフトの使用有無、パレットの有無なども考慮しなければなりません。一般的には、柔軟に運用ができるよう取り扱う最大サイズに加えて多少の余裕を設けておくことをします。

将来的なレイアウト変更

企業の成長や取り扱い商品の変化にあわせて、庫内のレイアウトを再設計する機会は少なくありません。組み立てが容易で位置変更も柔軟に対応できるラックを選定しておくと、いざレイアウト変更をするとなった場合でもトラブルや遅延を未然に防ぐことに繋がります。
スチールラックのように段数や高さを変更しやすい製品は、将来的に在庫量が増減する場合にもフレキシブルに対応できます。長期間にわたり安定的に使用するためにも、レイアウト変更を視野に入れた設計は欠かせません。

オプションと安全対策

倉庫内は多くの作業者やフォークリフトが行き交う環境のため、落下防止バーや転倒防止金具などのオプションを併用することで、作業者や商品の安全を確保することができます。
荷物を高い位置に積み上げるパレットラックなどの場合は、倒壊を防ぐための耐震対策も重要視されます。ラックの連結や壁面固定など、適切な安全対策とその要件の洗い出しは倉庫全体の設計と併せて検討しましょう。

コストと長期的なメンテナンス

ラックの導入コストは必ずしも初期の購入価格だけではありません。使用環境や耐久年数、メンテナンス計画によって長期的にコストが発生すると考え、定期点検や部品交換などを含めた総合的な予算を検討する必要があります。
パレットラックであれば、上述した通り地震対策のために耐荷重や安全基準を満たすための補強に追加費用がかかる場合があります。また、消耗が進みやすい棚板部分の交換サイクルなども考慮すると、初期導入時だけでなく、長期的な視点でランニングコストを捉えておくと安心です。

まとめ

倉庫内のラックは、在庫の保管量だけでなく安全性や作業効率に大きく影響を与えます。自社の現状と将来の運用をしっかりと考慮し、最適なラックを導入することで、在庫管理や出荷作業などの倉庫業務をスムーズに回していきましょう。

 
 

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