ロットとは?基礎から管理手法まで徹底解説
ロットとは、製造や物流において同じ条件下で生産・出荷される最小単位を指します。
本記事では、倉庫だけでなく物流分野における様々な課題解決サービスを展開するシーアールイーグループより、ロットの基礎的な内容からメリットや注意点まで分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
ロットとは
ロットは同一条件で製造された商品や出荷単位をまとめる概念で、特定の数量をひとまとまりとして扱います。
では、なぜロットという単位に分けるのでしょうか。それは、生産・輸送・保管・出荷といった各工程において、効率化や品質の確保に繋がるためです。例えば、ある製造ロットの商品に不具合などが発覚した場合、異なるロットの商品と比較することで、原因の追及や影響範囲の特定が迅速に行うことができるようになります。
また、商品の単位として、シリアルナンバー・SKU(Stock Keeping Unit)といった単位も存在します。
シリアルナンバーは商品一つひとつの“個体”を識別するための番号であり、SKUは商品の在庫管理を行う際の最小管理単位です。
ロットの種類
ロットは生産形態や取引の場面に応じて、概念変わる場合があります。製造、購入、保管、輸送など、工程や用途によってロットの設定を使い分けることが必要です。
そのため、さまざまな視点で定義されるロットの種類を押さえておくことも重要です。
製造ロット
製造ロットとは、同一の生産ラインや条件で製造される商品のまとまりを指します。生産計画を立てる際、一定数量をまとめて製造することで、段取り時間を削減し、コストを抑制する狙いがあります。加えて、品質チェックのタイミングを効率よく設定し、不良品や欠陥品を早期に発見できるメリットもあります。
購入ロット
購入ロットは仕入先との取引における最小購入単位を指します。サプライヤーはコストや生産効率の観点から、ある一定数以上でなければ受注を受け付けない場合があるため、購入ロットはその数量設定として重要です。なぜこのような制限を設けるかというと、利益や効率性を担保するためです。特にオーダーメイドやカスタマイズ品を扱う場合、過度に少ないロットで購入をされると採算が取りにくいことから、最低数量としてロットを設定するケースが多く見られます。
輸送・配送・保管ロット
物流領域におけるロットでは、輸送・配送・保管といった場面で活用されます。例えば、輸送ロットや配送ロットはトラックやコンテナの容量を前提に設定され、輸送効率を最大化する狙いがあります。保管ロットは倉庫内での管理や棚割りのしやすさを考慮して設定されることが多いです。
これらのロットを適正に組み合わせることで、無駄なスペースを減らし、搬送コストを最小限に抑えられます。製造ロットと連携すれば、出荷から保管までシームレスに在庫を把握できる点も大きなメリットです。
ロットの管理とメリット
物流においてロットごとに商品を管理することは、過剰在庫の防止や効率的に品質管理ができるなどのメリットがあります。
特に検品や納品時など、製造の後工程で不良が発見された際は、製造ロット単位で原因を特定できるため、不良品の回収などの対処もスピーディーに行え、かつ影響も最小限に抑えられるのが大きな強みです。
過剰在庫の防止
在庫として最低限必要とされるロット数を設定しておくことで、必要以上の生産や大量購入による欠品を防ぎ、適正な在庫量を維持しやすくなります。これにより倉庫スペースの無駄や、過剰な固定費の出費を避けることができます。
品質・在庫管理の向上
ロット番号を付与することで、どのタイミング・生産ラインで製造された商品かを把握しやすくなります。これにより、保管や出庫の順番を管理しやすくなり、品質管理のクオリティが向上します。
また、賞味期限や使用期限のある商品の場合、先入れ先出し(FIFO)を徹底する際にもロット番号は有効です。古い在庫を優先的に出庫できるため、廃棄ロスの削減にもつながります。
不良・欠陥品の特定
万一不具合が発生した場合は原因究明や回収範囲の特定を迅速に行うことができます。これをトレーサビリティと言い、企業のリスク管理において、非常に重要なポイントです。
原因の調査に加え、リコール対応もロットごとに実施できるため、コストや対応範囲を限定することができ、問題発生時の損害を最小限に食い止めることができます。
このように早期に対応することで企業や商品の信頼性を守り、顧客からのクレーム対応も迅速かつ的確に行うことが可能になります。
ロット管理における注意点と課題
ロットの管理には多くのメリットがありますが、それと同時に運用上の注意点もあります。
こうした注意点や課題に事前に対応策を準備しておくことで、スムーズにロット管理を開始・継続することができます。
購入数量による誤差
購入ロットを実態に即さずに設定してしまうと、在庫過多や在庫不足を招く原因となります。特に需要の波動が読みづらい商品の場合、ロットを大きく設定してしまって生産や仕入れを行うと、当然、過剰在庫につながるリスクが高くなります。
逆にロットを小さく設定し過ぎると、頻繁な発注により物流コストが積み重なり、全体コストの増加を招きかねません。
需要予測や生産計画と連動しながら最適なロットを設定し、かつ定期的に見直していくことが重要です。
管理項目の増加
ロット番号や製造日、使用期限など、ロット管理では追跡すべき情報が増える傾向にあります。現場では担当者への教育やマニュアルの整備、棚卸の手続きなど、オペレーションが複雑化してしまうことも懸念されます。
情報量は増える一方、それが適切に管理されていないと、トラブルの際に余計な対応コストが発生してしまうことになりかねません。
システム導入コストと運用負荷
ロット管理を包括的に行うためには、エクセル管理だけでは難しい場合が多く、専用のシステムの導入が検討されます。導入にあたってはライセンスやカスタマイズといった費用が発生するほか、新システムを使いこなすためのスタッフ教育も必要となり、導入直後は運用負荷が一時的に増加することが懸念されます。
まとめ
ロットは設定や管理をしっかりと行うことで、過剰在庫の削減や問題発生時の影響範囲縮小だけでなく、システム導入による高度な在庫・生産管理までが実現できます。
また、ロット管理によって得られる正確なデータは、需要予測や生産計画、コスト改善計画など広い範囲で活用ができ、経営の観点からみても重要なポイントとなります。
適切なロット管理をすることで、安定的で長期的なビジネス成長を目指しましょう。
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