インタビュー
味の素株式会社

グローバルSCMの改善を目指す

家庭用、加工用、外食用調味料・食品などを約130ヶ国で販売している味の素は、様々な成長戦略を打ち出し、「グローバル食品企業トップ10」、「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」に向けた施策を実施している。また、アミノサイエンス(ライフサポート、ヘルスケア)、コンシューマー食品ともに順調な成長を続けるアジア地域をはじめ、海外法人に権限を移譲し、現地での迅速な対応を重視している。

グローバルSCMの改善を目指す

海外の中でもブラジル、ペルー、タイ、インドネシア、ベトナム、フランス、アメリカでは、「味の素」等のうま味調味料やアミノ酸の生産を発酵工程から一貫して行っている。中でも、ブラジルには1956年に進出しており、食品、バイオファイン系商品のほぼフルラインの製造を行っている。歴史的に日系人が多いことなどから進出が早かったが、発酵原料となるサトウキビの産地であり生産拠点としても競争力があること、今後もブラジル経済が大きな成長の可能性を秘めているなどから、現在でも期待の大きい国の一つである。 アジアでは、タイでのビジネスが好調である。ほぼあらゆるジャンルの国内販売が好調であるのに加え、アジアにおけるうま味調味料、飼料用アミノ酸のアジア各地への輸出拠点として、位置付けられている。インドネシアでは、風味調味料「Masako」が人気を博しており、出荷数が大幅に増え続けている。

海外における物流は、現地法人の管轄として行われているが、急激な物量の増大に既存の物流体制では対応が困難になってきている面があり、最近では日本からのアドバイス、サポートも実施している。輸送モード・配送手段の多様化、物流拠点の拡大・集約などロジスティクスの高度化が各地の課題となってきているためだ。例えば、包装資材の強度。粗い荷扱いや道路整備が不十分な道でも耐えられる強度設計が求められるが、日本と比較すると問題があることが多い。味の素では現在、物流関連部門以外の部門とも連携し、海外法人の幅広いニーズに対応しようとしている。包装資材についてはグローバル基準を策定することも検討を始めている。また、倉庫の運営に関しても、急増する物量に対応した庫内のソフト・ハード両面の効率化が必要とされている。効果的なマテハン、庫内作業の改善、必要とされる倉庫のスペックの情報共有など円滑なSCMを実現するための施策を実施している。

一方、日本では2014年8月には、久喜(埼玉県)、西宮市(兵庫県)東西2拠点にメイン物流センターを置くBCP型物流ネットワークを完成。2013年末には「スーパーグリーンロジスティクス構想」を打ち出し、北海道・九州向け長距離輸送に加え、関東~近畿間などの輸送も対象とし、500km以上のすべての輸送を鉄道または海上輸送でカバーすることを目指している。

随時、物流ネットワークは更なる効率化とコストダウンのため、見直しが図られており、物流企画部の魚住和宏・専任部長は、「ネットワークの改善については,より最適なルートを模索し、見直しを図っている。その際もBCP観点から輸送モードは輸送効率の良い鉄道輸送と海上輸送を最優先輸送モードと位置づけ、最近実施した物流ネットワークの見直しの中で、新たなルートとして設定した三重県の工場から福岡デポへの直接補充では、海上輸送を最優先輸送モードとした」と話す。

モーダルシフトに関しては、1995年鉄道輸送の活用をスタート。2000年冷凍31ftコンテナ導入、2005年エコレールマーク第1認定と業界でも早くから取り組んできた。2014年グリーン物流パートナーシップ会議で「経済産業省商務流通保安審議官表彰」を日本貨物鉄道株式会社、全国通運株式会社、商船三井フェリー株式会社、株式会社名門大洋フェリーとともに受賞している。魚住氏は、「ドライバー不足は日本のみならず、今後世界的な問題。いち早く、物流効率化と輸送モードの多様化を進める。グローバル食品企業トップ10になるには、販売機会を失わない優れたSCMが不可欠だ。今後、さらなる改革を進めていく」と強調している。


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