EC物流倉庫の選び方|失敗しない7つの重要ポイント
EC物流業務の成否は、適切な倉庫選定によって大きく左右されます。
特にEC事業では、迅速で正確な配送が顧客満足度に直結することから、立地や設備の選択も重要です。また、ECは取り扱う商品が単品単位であり、人の手を必要とした細かな作業を要求される性質があります。近年人手不足の背景からも自動化・省人化の機器導入も盛んになっておりますが、ユーザーからの返品や入出荷時の商品に対するチェック等、自動化に踏み切り切れない工程もあります。
こうした背景から採用の観点での立地選択も重要な要素でしょう。
適切な倉庫を選定することで、物流コストの最適化と顧客サービスの向上が実現でき、事業の競争力強化につながります。そのため、倉庫選定では様々な要素を総合的に検討する必要があります。
以下では、EC物流における倉庫選定の重要なポイントについて、具体的に解説していきます。
倉庫の立地選定におけるポイント
EC物流における倉庫選定では、立地条件が事業の収益性に大きな影響を与えます。ここでは、立地選定における7つの重要なポイントについて解説します。
仕入地・需要地との輸送距離
倉庫の立地は、仕入れ先や配送の拠点となる運送会社や需要地からの距離が短い方が輸送コストやリードタイムを削減できます。特にEC業界では、当日配送などの迅速な配送が求められ、注文締め切りから出荷として配送事業者への引渡しまでの時間も短くなりがちであるため、主要な輸送路へのアクセスが良好な立地を選ぶことがポイントです。
労働力の確保の容易さ
EC物流の倉庫運営において人材の確保は重要な要素です。近年、人手不足を受けて省人化機器の導入は進んでおりますがEC物流では入荷も出荷もバラ品として取り扱うことが多く、またユーザーへのサービス内容も多様化している中で人による作業はまだまだ多い領域といえます。
そのため、周辺施設や交通インフラ状況、競合施設の存在などを確認し、労働力の確保が容易なエリアを選ぶことが望ましいです。倉庫の場所、最寄りの鉄道沿線の環境によって通勤可能エリアも異なり、労働力の確保に影響が生じます。
競合施設が隣接するエリアは労働力の獲得競争が激しいため、もしそのエリアに拠点を開設する場合には、賃金や福利厚生の充実、柔軟な勤務形態の導入など、より魅力的な労働条件を提示することが必要なことも考慮しましょう。
施設内動線
施設内の動線設計は、物流施設の運営効率を左右する重要な要素です。効率的な動線設計により、作業時間の短縮と作業品質の向上が実現できます。具体的には、入口から庫内、休憩室へのアクセスのしやすさを考慮し、作業者の移動距離を最小限に抑える必要があります。安全やセキュリティ体制、またそのためにかかる人件費も考慮に入れるとよいでしょう。
このような効率的な動線設計により、作業者の不要な移動を減らし、疲労を軽減することができます。結果として、作業効率の向上だけでなく、作業品質の維持向上にもつながり、施設全体の生産性向上に寄与します。
周辺道路環境の把握
倉庫選定では、建物の内部だけでなく、外部の道路環境もチェックする必要があります。主要な輸送路へのアクセスが良い立地であっても、倉庫の前の道が細かったり、輸送方面への道に出にくかったりする場合、トラックの出入りに無駄な時間が発生してしまいます。
倉庫を見学する際には倉庫の施設設計の条件と共に周辺道路環境にも着目することが重要です。
運営する物流形態に応じた倉庫区画の選定
EC物流では、事業の特性に応じて、保管を重視する倉庫と通過を重視する倉庫の2つのタイプがあります。保管系であれば奥行きが深い倉庫でも効率に支障が出にくい一方、通過系の倉庫では短時間で商品を搬入・出荷するため、広い動線が確保されている方が望ましいです。
例えば、食品や日用品など回転率の高い商品を扱う場合は、入荷から出荷までのスピードが重要となるため、十分な作業スペースを確保できる倉庫が効率的な倉庫運営につながります。また、大手EC企業では、商品の特性や出荷頻度に応じて異なるタイプの倉庫を使い分けることで、効率的な物流オペレーションを実現しています。運営する物流形態や物量の成長性も考慮し、最適な倉庫区画を選定しましょう。
また、トラックの着車スペースにも目を向けるとよいでしょう。事業の特性として倉庫を出入りするトラックが日に何台であるのか、同じ時間帯での着車台数は?など倉庫作業とトラックの発着を合わせるための適切なレイアウトやバランスにも注意する必要があります。
BCP対策における周辺環境と建物構造の把握
災害発生時、倉庫運営の早期復旧は、事業継続に不可欠です。そのため、周辺環境の把握と地震対策は非常に重要です。
倉庫周辺のハザードマップを詳細に確認し、地震、風水害、土砂災害など、考えられるリスクを具体的に把握しましょう。過去の災害履歴も調査し、地域の特性を理解することが重要です。
コスト最適化と将来性の考慮
倉庫選定において、現在のコストや運営効率だけでなく、将来的な事業展開を見据えた柔軟性の確保が重要です。特にEC事業では、季節商品の取り扱いによる保管量の変動や、セールやキャンペーン期間中の急激な出荷量の増加など、さまざまな変動要因に対応する必要があります。
また、将来的に取扱商品の多様化に対応できるよう、天井高や床荷重などの倉庫の基本仕様も考慮することも必要でしょう。このような柔軟性を備えた倉庫を選定することで、事業の成長性や市場環境の変化に迅速に対応することが可能となります。
まとめ
EC物流における倉庫選定は、立地条件、労働力の確保、施設内の効率性、コスト最適化、将来性など、多角的な視点から検討する必要があります。センター長や物流管理者がこれらのポイントを押さえることで、より効率的で利益の出やすい運営が実現できます。施設の選定に関する戦略をしっかりと把握し、物流運営の最適化を図りましょう。これらの要素を総合的に評価し、自社のビジネスモデルに最適な倉庫を選定することで、物流効率の向上と顧客満足度の増大、そして事業の持続的な成長を実現することができるでしょう。
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