営業倉庫とは|倉庫業を営まない倉庫との違いや注意点について解説

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営業倉庫とは|倉庫業を営まない倉庫との違いや注意点について解説

営業倉庫の定義から種類、法律上の注意点までを記事では解説します。一般的に「自家用倉庫」と呼ばれる、倉庫業を営まない倉庫との違いについても合わせて理解し、効率的な倉庫運営にお役立てください。

営業倉庫とは

営業倉庫とは、他人の貨物を保管することを目的とした倉庫のことを指します。倉庫を利用する企業が自社以外の貨物を有償で保管している場合、倉庫業を営む倉庫という扱いになります。

営業倉庫と自家用倉庫(倉庫業を営まない倉庫)の違いについて

倉庫業法において倉庫の種類は大きく、営業倉庫と自家用倉庫に2分されます。大きな違いは、保管物の所有者が自社か他社かという点にあります。自家用倉庫は自社の商品や資材のみを保管するのが原則ですが、営業倉庫は特定の所有者を限定せず、外部の荷物を有償で預かります。

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営業倉庫の種類

営業倉庫は倉庫業法において、取り扱い品目などによって複数に分類され、それぞれに適した保管方法と設備が求められます。

一類倉庫

一類倉庫とは、一般的な貨物を保管するための設備が整っている倉庫を指します。湿度管理や防虫対策など、基本的な管理体制が確立されているため、多くの企業が利用しやすい形態です。
10℃以下の保管の物品や危険物及び高圧ガスを除いたすべての物品の保管が可能です。
倉庫の種類によって保管できる物品の種類やその内訳は倉庫業法施行規則第3条の3〜11より確認できるため、予め把握しておきましょう。

二類倉庫

二類倉庫は、一類倉庫の要件の内、防火や耐火性能を除いた倉庫です。具体的には、飼料やガラス製品、缶入製品など燃えにくい物品の保管が可能です。

三類倉庫

三類倉庫は、二類倉庫の要件から除湿・防水性能を除いた倉庫です。防湿性が求められないことから、湿気や気温の変化による変質が起こりにくい陶磁器、原木などの保管が可能です。

野積倉庫

野積倉庫は、屋根などを持たず、周囲を柵や堀、鉄条網などで防護されている土地に貨物を保管する倉庫です。主に耐候性が高い資材や建設材料、屋外でも品質の劣化が少ない貨物を管理する際に利用されます。

水面倉庫

水面倉庫は、水上に浮かべた施設や築堤などで防護されている水辺を活用した特殊な倉庫を指します。主に河川や港湾地域などの水運拠点に設置されています。急激な乾燥や日焼け、反りなどを防ぐ目的で木材が水面倉庫に保管されています。

貯蔵槽倉庫

貯蔵槽倉庫は、土地に定着し周壁により密閉された貯蔵槽を備え、その強度が国土交通大臣の定める基準に適合している倉庫です。タンクやサイロがこれにあたります。倉庫業法の第6類物品に該当する、容器に入れていない粉状または液状の食品原材料や化学薬品、工業用原料などを安全かつ効率的に保管できます。
安全性を確保するため、腐食防止や防火対策など、設備面で厳格な基準をクリアする必要があるのも特徴です。

危険品倉庫

危険品倉庫は、爆発物や化学薬品など危険物の保管に対応するための厳重な管理体制と設備を備えている倉庫です。法令に基づく設備基準を満たさないと登録が認められません。火災リスクや有毒ガスの漏洩など、取り扱う貨物の特性に合わせたリスク管理が必要になります。保険や行政監査の要件もしっかりと遵守しなければならないため、運営コストも高くなる傾向にあります。

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冷蔵倉庫

冷蔵倉庫は、10℃以下の低温または冷凍状態での保管が必要な貨物を扱う倉庫です。食品や医薬品など、品質を維持するため温度管理が欠かせない商品に適しています。

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トランクルーム

トランクルームは、個人や法人向けに小口の保管スペースを提供する倉庫です。日用品や書類、季節用品などの保管に利用されることが多く、近年ではより身近な存在として認知されています。
定温性能や定湿性能、防塵性能など国土交通大臣の定める基準を満たし、認定を受けたトランクルームは、「トランクルーム認定証」や「認定マーク」を掲示することができます。

営業倉庫に関する法律と必要事項

営業倉庫を運営するためには、倉庫業法をはじめとする法令を遵守し、登録手続きや設備基準を満たす必要があります。以下では、営業倉庫に関する法律や必要事項について解説します。

営業倉庫開設に必要な法令と登録基準

まず、建築基準法・都市計画法に留意しましょう。準居住地域を除く住居地域や開発行為許可を有しない市街化調整区域では営業倉庫を開設することはできません。物件の建築または購入、賃借の前に倉庫業を営む倉庫として使用できるか施設かどうか事前に確認すると安心です。
次に、営業倉庫として正式に運営するために、倉庫業法に基づく登録が必須です。倉庫業法とは、営業倉庫の定義や運営基準を定めている法律です。倉庫の施設設備基準の維持や倉庫管理主任者による適切な管理を義務付けることを目的に、一定面積以上の倉庫で他人の貨物を保管し、対価を受け取る事業を営む倉庫の場合には、法律に基づいて所定の条件を満たし登録を受ける必要があります。倉庫の構造や設備、管理体制などが法律で定められた要件を満たしているかを確認し、安全面や衛生面の水準を維持することが求められます。

国土交通省への登録手続き

営業倉庫を開設するにあたって、倉庫業法第3条でいう国土交通省の行う登録が不可欠です。申請時には倉庫の構造や面積、設備内容を示す書類の提出が必要で、審査に通過することで正式に営業倉庫として認められます。また、登録内容に変更があった場合はその都度届け出が求められるなど、継続的に行政の監督を受けながら事業を維持する形となります。

法律違反時のペナルティと影響

倉庫業法に基づく登録義務を怠ったり、保管基準を満たさずに営業を行ったりした場合には、業務停止や罰金などの厳しいペナルティが科される可能性があります。これらの制裁措置は社会的信用の低下にも直結するため、違反が確認されると事業継続自体が難しくなるケースもあるでしょう。
このような事態を回避するためにも、常日頃から設備の点検や法改正の情報収集を怠らず、コンプライアンスと安全管理に努めることが重要です。

倉庫業を営む倉庫に該当しないケース

倉庫業を営むにあたって国土交通大臣の行う登録を受けなければなりませんが、倉庫業にあたらない倉庫もあります。他人の貨物の保管をしていても許可が不要になるケースを挙げていきます。

寄託でないもの

寄託とは、特定物の保管を委託する契約です。民法に規定されている契約のひとつで、当事者の一方(受託者)が目的物の保管を委託し、相手方(受寄者)がこれを承諾することによってその効力が生じる、諾成契約です。寄託でないものとして、クリーニング業など修理等の役務が主目的で付随して保管が発生する場合や銀行の貸金庫等の消費寄託に該当する場合、貨物自動車運送事業の運送契約において一時保管用に供される保管場や配送センター、特別積み合わせ貨物運送の物流拠点として設置されている通称、特積み倉庫などが挙げられます。

営業でないもの

農業倉庫や個人法人に限らない自家保管倉庫、協同組合の組合員に対する保管事業が挙げられます。

政令で除外されているもの

ロッカー等外出時の提携品の一時預かりや、駐車場・駐輪場などが挙げられます。

倉庫業を営まない倉庫から営業倉庫にするには

自家用倉庫など倉庫業を営まない倉庫から営業倉庫にするためには、建築確認済証に記載されている倉庫の用途が、「倉庫業を営む倉庫」である必要があります。
しかし、建築時に倉庫業を営む想定をしていない倉庫であっても、後から倉庫業法が求める施設設備基準を満たすことで、倉庫の用途を「倉庫業を営む倉庫」に変更することが可能です。この場合、指定の自治体に対して用途変更の申請を行い、必要な届出をする必要があります。

まとめ

営業倉庫の定義や種類、法律面の要件などを把握することで、より安全かつ効率的な物流体制が整えやすくなります。
一口に営業倉庫といっても、取り扱う貨物や管理手法に応じてさまざまな種類が存在します。それぞれに適した設備や法的基準をクリアすることで、保管の安全性や信頼性を確保しています。
法律遵守や登録手続きは運営者にとって必須のステップであり、利用者にとっては倉庫選択の判断材料でもあります。今後も倉庫業法や関連制度の改正などが行われる可能性があるため、最新情報を追いながら適切に活用していくことが大切です。

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