ハブアンドスポークとは?意味やメリットをわかりやすく解説
物流分野でよく耳にする「ハブアンドスポーク」とは、中央の拠点(ハブ)を中心に、周辺拠点や配送先(スポーク)を放射状に結ぶ輸配送の仕組みです。複数の拠点を直行便で結ぶ方式に比べ、集約と分散を組み合わせることで効率的なネットワーク運営が可能になります。では、なぜこの考え方を押さえる必要があるのでしょうか。人手不足や輸送コストの上昇といった課題を乗り越えるためには、ネットワーク設計の巧拙が企業の競争力に直結するからです。
本記事では、物流分野に強みを持つシーアールイーが、ハブアンドスポークの意味やメリットなどをわかりやすく解説します。
ハブアンドスポークとは?図解付きでわかりやすく解説
ハブアンドスポーク(英語名称:Hub and Spoke)とは、中心拠点(ハブ)と分散された拠点(スポーク)を組み合わせたネットワークを指します。中核となる物流拠点から、各地の拠点に荷物を輸送する形態のことです。車や自転車の車輪のように、中心から伸びた枝の先に各拠点がある様子をイメージすると分かりやすいでしょう。
ハブアンドスポークを導入すると、中心拠点に一度荷物を集約してから、仕分けをして各拠点に輸送することで、複雑な輸送経路を簡素化できます。例えば、10か所の拠点が相互に荷物を運ぶためには通常45本の経路が必要ですが、ハブ拠点を経由させれば必要な経路は10本で済みます。
ハブアンドスポークのメリット
ハブアンドスポークを導入すると、次のようなメリットを期待できるでしょう。
メリット①:輸送効率が高まる
ハブアンドスポークを採用したネットワークでは、全ての荷物をハブ拠点に集約してから輸送します。そのため、スポーク拠点同士の荷物のやりとりは不要となり、通常よりも少ない路線で効率的に荷物を運べるため、輸送効率の向上を実現可能です。
メリット②:積載率が向上する
ハブ拠点に荷物を集め、仕分けをしてからスポーク拠点に輸送するため、トラック1台あたりの積載率を向上させることも可能です。トラックの積載率が向上すれば、輸送効率をさらに高められます。特に、荷物を運ぶ量がそれほど多くないルートがある場合については、ハブアンドスポークを採用することで積載効率の改善を期待できるでしょう。
メリット③:ドライバーの負担が軽減される
全ての荷物をハブ拠点から輸送する形になれば、各地の拠点を経由する複雑な輸送が不要になり、輸送距離や回数を抑えられます。すると、ドライバーがトラックを走らせる距離や時間が短縮され、物流現場の負担軽減につながるでしょう。また、これにより、輸送コストや人件費、CO2排出量の削減などの副次的な効果も期待できます。
ハブアンドスポークのデメリット
ハブアンドスポークは輸送効率や積載率の向上につながるものの、次のようなデメリットもあるので注意が必要です。
デメリット①:導入費用が高額になりやすい
ハブアンドスポークのシステムを確立するためには、中心となるハブ拠点を設置し、ネットワークを整備する必要があります。大型拠点の新設には大きなコストがかかるため、導入費用は高額になりがちです。ハブ拠点だけでなく、スポーク拠点も新設する必要がある場合は、さらにコストが増大するでしょう。
デメリット②:ハブの問題が全体に波及する
ハブアンドスポーク形式の輸送ネットワークでは、全ての輸送経路がハブ拠点を経由します。そのため、ハブ拠点で問題が起こった場合には、その影響が各地のスポークにも波及してしまいます。もしも、自然災害といったトラブルによりハブ拠点に甚大な被害が及んだ場合、ネットワーク全体が停止する恐れもあります。
デメリット③:直送よりもリードタイムが長くなる場合がある
物流におけるリードタイムとは、荷物を輸送先に届けるまでの期間のことです。ハブアンドスポークでは荷物を一度ハブ拠点に集約するため、輸送先に直送する場合と比べて、リードタイムが長くなるケースもあります。例えば、拠点同士の距離が近い場合は、一度ハブ拠点に荷物を送るより、直接届けた方が輸送距離が短く済む可能性が高くなります。
まとめ
物流におけるハブアンドスポークとは、中心拠点(ハブ)に荷物を集約し、各拠点(スポーク)との中継地となる輸送方式です。この方式を導入することで、輸送効率の向上やドライバーの負担軽減などのメリットを期待できます。ただし、ハブ拠点を中心としたネットワークを構築するためには、ハブ拠点やスポーク拠点などを新設する必要があります。
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