外部倉庫の基礎知識|メリット・デメリットや選定ポイントも解説
初めて外部倉庫で自社の商品や在庫の管理を検討することになった際、まずは外部倉庫を利用するために必要な費用やメリットについて情報収集をする方も多いでしょう。
そこで本記事では、外部倉庫の利用を検討している方に向けて、外部倉庫に関する基礎知識や、そのメリット・デメリットを解説します。外部倉庫を選ぶ際のポイントについても解説するため、検討の参考にしてください。
外部倉庫とは
物流業界で使用する倉庫には、先に解説した自社倉庫の他に「外部倉庫」があります。外部倉庫は、自社で所有して運用するのではなく、他社が運用する倉庫です。なお、外部倉庫は「委託倉庫」と呼ぶこともあります。
外部倉庫も自社倉庫と同様に自社の商品や材料を保管するために使用しますが、自社の物流の一部や全てを、外部の企業に委託して運用します。外部倉庫は、大企業が利用するイメージがありますが、中小企業にも有効なサービスです。
物流業界における倉庫とは
物流業界において倉庫とは、荷物を適切なタイミングかつ適切な量を管理・運搬するための重要な拠点です。倉庫は主に外部倉庫と自社倉庫に分類されます。
外部倉庫は専門の物流業者が運営するのに対して、自社倉庫は企業が直接管理・運営し、商品の特性に合わせた保管環境の整備や柔軟な作業管理を行うことができます。自社倉庫において、既存の貸し倉庫が自社のニーズに合わない場合は、自社のニーズに合わせた施設設計が可能な「BTS(Build To Suit)型倉庫」の利用も有効な手段の一つです。
外部倉庫の費用項目
外部倉庫を利用する際の費用項目を固定費、変動費に分けて解説します。
固定費
固定費とは、梱包や出荷の量が変動しても一定で発生する経費のことで、外部倉庫を利用する場合、一般的に「倉庫保管料」「基本料」「業務管理料」の3つが発生します。
倉庫保管料は、保管スペースの利用料です。坪・パレット・容積などの単位で、月額が設定されています。
基本料とは、倉庫の管理に使用されるシステムの利用料金で、システム利用料とも呼ばれます。物流業務全般を管理するシステムである「WMS」やハンディーターミナル、プリンターの保守費用等が含まれる場合があります。
業務管理料は、商材管理にかかる手数料です。契約内容によっては一定額で設定される場合もあれば、月間の出荷量に応じて額が変動することもあります。そのため、「固定費」として扱われることもあれば、「変動費」として扱われることもあります。
変動費
変動費とは、倉庫の利用頻度や使用量などによって変動する費用のことです。変動費には、主に、「入庫料」「検品料」「配送料」の3つがあります。
入庫料は、荷物の仕分けや入庫作業にかかる料金です。荷物の大きさや入荷の形態によって単価が変動します。デバンニング料とは、フォークリフトで荷物を降ろす際に発生する料金で、荷物の大きさや作業難易度によって、費用が異なります。
検品料は、入荷した荷物のチェックにかかる料金のことで、数量や動作確認などチェックする内容により費用が変動します。出荷料は、倉庫から在庫を取り出す際にかかる費用です。出荷量は、荷物を梱包する必要がある場合にも料金が発生し、梱包の難易度や荷物の大きさ、送り状や緩衝材の有無などによって費用が変動します。
配送料は、荷物を送り届けるための料金です。配送料は送り先が国内か海外か、離島かなどで変動します。
外部倉庫の導入メリット
自社倉庫ではなく、外部倉庫を導入して商品管理をするのには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
コスト削減
外部倉庫は自社倉庫とは異なり、建設したり、土地を取得したりするために必要な初期費がかかりません。また、物流業務にかかる人件費や保守費用も軽減されるため、コスト削減につながります。
コア業務へのリソース集中
自社倉庫で商品管理をする場合は、物流業務に自社の人的リソースを割かなければいけません。しかし、外部倉庫を導入すれば、物流業務に割いていた人的リソースが減少します。そのため、物流業務にあてていた人材や時間を製品開発やマーケティングなど、他の重要な業務に集中させられるようになります。
需要に応じたスペースや人員の確保
自社倉庫では、業務量の増加に応じてそのときだけ人員を補充したり、保管スペースの面積を拡張したりすることは簡単にできません。一方で外部倉庫の場合は、契約内容によっては保管スペースも変動費化されケースもあり、この場合、需要の繁閑への対応に繋がります。また、人員の確保においても同様に適切な対応がなされます。
高品質な管理運用
外部倉庫を運用する企業は、物流業務に関する専門知識と運営ノウハウを持っています。そのため、外部倉庫の活用によって、自社倉庫で管理する際に起きていた誤出荷や欠品などのトラブルの発生を抑制したり、業務効率化したりすることも可能になるでしょう。
被災リスクの低減
外部倉庫の活用は、自社倉庫への依存度を減らして事業継続性を確保できるのもメリットです。また複数の外部倉庫を利用する仕組みにしておけば、万が一災害が発生しても、1箇所に集約しておくのと比較して、被災リスクを低減させられます。
外部倉庫の導入デメリット
外部倉庫の利用は、自社倉庫を運用するのと比較した際に次のようなデメリットもあります。
ノウハウを蓄積されにくい
自社倉庫は、自社の従業員が業務を遂行するため、管理方法やリスクヘッジなど倉庫管理のノウハウが蓄積されていきます。しかし、外部倉庫の場合は、物流管理を自社の従業員が行わないため社内にノウハウが蓄積されにくい環境となります。
特に、外部倉庫に物流業務のプロセスを一括で外部委託した場合は、自社に物流業務の知識を持つ人材がいなくなるリスクもあるでしょう。
情報伝達の遅延やミス
外部倉庫を利用する場合は、倉庫の管理業務を委託先の会社が行うため、両者のあいだでうまくコミュニケーションを取れないこともあるでしょう。そのようなことが起こると、情報共有が遅れたり認識齟齬が生じたりする場合があります。
このようなコミュニケーションエラーは、在庫管理のミスや配送の遅れなどの発生につながるため、普段からやり取りを工夫し、認識齟齬がないようにしてリスクヘッジをする必要があります。
外部倉庫を選ぶ際のポイント
外部倉庫の利用には、多くのメリットもありますが、デメリットもあることを解説しました。それぞれを理解し、下記の選定ポイントをおさえながら、外部倉庫の利用や委託先の検討をしましょう。
サービス範囲
外部倉庫を利用する際は、自社の求めているサービスが委託先の提供サービス範囲に含まれているかが重要なポイントになります。
もし希望の外部倉庫に求めるサービスがない場合は、必要に応じてサービス内容を変更できるかどうか、確認したり交渉したりしてみましょう。また予算内で、必要なサービスを受けられるかも重要です。過剰にコストがかかる場合は、外部に委託することでコストが大幅に増える恐れがあります。
立地
外部倉庫の立地は、配送時間や輸送コストに大きく影響するため、検討する際には重要ポイントとなります。選んだ倉庫によっては、自社倉庫を運営していたときよりも、配送コストや時間を要するようになってしまうでしょう。そのため、検討時には外部倉庫が主要な交通網に近いかどうかや、顧客や市場の近くに位置しているかなどを確認しておくようにしましょう。
設備やノウハウ
検討している外部倉庫に、フォークリフトや倉庫管理システムなどの設備、EC特有の物量波動や単品ベースでの作業管理の経験、ノウハウを持っているかも確認すべきポイントです。また、自社の取り扱っている商品カテゴリに関する知見があるかなども、安心して商品を任せるためには重要なポイントになるでしょう。
セキュリティや保険
トラブルを未然に防ぐためには、外部倉庫がどのようなセキュリティ対策を講じているか、確認しておく必要があります。また、万全の対策をしていてもトラブルが起きないとは限りません。そのため、委託先がどのような保険に加入しており、トラブル発生時に取れる対応がどのようなものかを確認しておきましょう。
まとめ
外部倉庫の利用は、自社の商品を委託先企業に任せることでコスト削減をしたり、自社のリソースを別のコア業務に割り当てられたりとメリットが多くあります。しかし一方で、物流管理のノウハウが社内に蓄積されず、情報伝達に遅れが出る可能性もあります。外部倉庫と自社倉庫、どちらが最適か、またはどのようにハイブリッド化すべきか、は企業の規模や事業内容、成長戦略、そして財務状況によって異なります。外部倉庫の特性を理解して、最適な選択を行う必要があります。
自社倉庫の利用を検討する際は、立地条件、倉庫の規模やスペック、コストなどを考慮する必要があります。これらの点を効率的に比較検討できる、貸し倉庫の賃貸情報サイト「CRE倉庫検索」の利用をおすすめします。CRE倉庫検索では、全国各地の貸倉庫情報を掲載しており、条件に最適な倉庫を簡単に検索できます。 豊富な検索条件と詳細な情報により、自社のニーズに合った倉庫を効率的に見つけることができます。その他にも、倉庫探しに役立つコンテンツを豊富に掲載しておりますのでぜひ、ご活用ください。