倉庫の寄託契約とは?賃貸借契約と寄託契約との違いを解説

CREコラム

倉庫の寄託契約とは、企業が自社で倉庫を所有したり賃貸したりせず、外部の営業倉庫に商品の保管を委託する契約形態のことです。固定資産や人員を抱える必要がないため、コスト削減や業務効率化に直結する仕組みとして注目されています。

では、どのような場合に寄託契約を選ぶのが効果的なのでしょうか。
本記事では、物流分野に強みを持つシーアールイーが、寄託契約と賃貸借契約の違い、そして寄託契約が適しているケースについて、具体例を交えながら分かりやすく解説します。

倉庫の寄託契約とは?賃貸借契約と寄託契約との違いを解説

倉庫の寄託契約とは

寄託契約とは、当事者の一方(寄託者)が物品を他方(受寄者)に預け、受寄者がその物品を無償または有償で保管する契約です。
倉庫における寄託契約では、荷主(寄託者)が商品の保管を倉庫業者(受寄者)に委ねる際に締結します。倉庫業者は、商品の保管だけでなく、保管中の品質維持や出入庫管理なども行います。たとえば、食品や医薬品、精密機器など、温度・湿度などの保管環境や品質管理が重要な商品についても、倉庫業者が適切な環境を維持しながら保管・管理します。

このように、倉庫の寄託契約は、単に「倉庫のスペースを借りる」契約ではなく、「商品の保管・管理という業務そのものを専門業者に委ねる」契約形態といえます。

倉庫の寄託契約と賃貸借契約の違い

倉庫を利用する際の「寄託契約」と「賃貸借契約」は、契約の目的と責任の範囲が大きく異なります。

寄託契約は民法上の「寄託」にあたり、荷物を預ける契約です。荷主(寄託者)は倉庫業者(受託者)に商品の保管を委ね、倉庫業者が在庫管理や入出庫作業の責任を負います。料金は荷物の種類や数量、保管期間に応じて変動します。

一方、賃貸借契約は民法上の「賃貸借」に分類され、利用者(借主)が倉庫そのものを借りる契約です。借主が倉庫スペースの占有権を持ち、レイアウトや運営方法を自由に決定できます。自社で庫内作業を行うことも、外部の物流会社に委託することも可能です。

つまり、寄託契約は「保管業務を任せる契約」、賃貸借契約は「倉庫を自ら運営する契約」という点が、両者の最も大きな違いです。

倉庫の寄託契約のメリット・デメリット

寄託契約のメリットは、倉庫の設備投資や管理者の確保が不要な点です。倉庫業者が保有する設備や物流ノウハウを活用できるため、自社のリソースを他の業務に振り向けられます。また、保管する荷物の量や期間が変動する場合でも、必要に応じて柔軟に対応できます。さらに、複数の倉庫業者に寄託することで保管拠点を分散し、配送リードタイムの短縮や災害リスクの分散につなげることも可能です。

一方、デメリットは、作業内容や在庫管理などを委託先に依存する部分が大きくなる点です。倉庫業者の作業品質によっては、商品の保管状態や物流業務に影響が生じる可能性があります。また、寄託契約で利用できる倉庫は、一定の基準を満たした営業倉庫に限られるため、希望する条件に合う倉庫を見つけにくい場合があります。

倉庫の賃貸借契約のメリット・デメリット

倉庫の賃貸借契約のメリットは、自社で倉庫を運用できる自由度の高さです。棚の配置や作業導線などを、自社の業務内容に合わせて変更できるほか、出荷作業や在庫管理の方法も自社で決められます。そのため、自社の運用に合わせて倉庫を柔軟に活用できます。

一方、デメリットは、契約期間中に物量が大きく増減した場合でも、スペースを柔軟に調整しにくい点です。賃料は基本的に固定で発生するため、使用しないスペースが生じても、その分の費用を負担する必要があります。また、退去時の原状回復や、倉庫内の設備の維持・管理にかかる費用も考慮する必要があります。

寄託契約と賃貸借契約で異なる、費用や制約について

寄託契約と賃貸借契約では、料金形態が大きく異なります。保管料金の算定方法や補償範囲、作業費用の負担に違いがあります。それぞれの契約形態におけるコストやリスクについて整理すると、以下のようになります。

基本料金と庫内作業費

寄託契約では、保管料金は従量制が一般的で、荷物の種類・数量や、必要なスペース・保管期間などに応じて費用が決まります。また、入庫・出庫時の荷役作業や仕分け、検品などには、別途「庫内作業費」が発生します。作業量や内容によって費用が変動するほか、シーズンによって料金が異なる場合もあります。

一方、賃貸借契約では、倉庫を一定期間借りるため、契約した倉庫の面積などに応じて、毎月一定の賃料を支払うのが一般的です。荷物の量にかかわらず賃料は基本的に変わりません。また、賃料とは別に、共益費や管理費、光熱費などが発生する場合があります。

契約~退去時の発生する費用や制約

寄託契約では、倉庫業者に保管を委託するため、契約時に保管料や庫内作業費、保管期間などの条件を確認します。契約終了時は、保管している荷物を引き取ることで契約を終了できるため、賃貸借契約と比べて退去に伴う負担が少ないのが特徴です。ただし、契約期間や解約条件、荷物の引き取り期限などは契約によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。

一方、賃貸借契約では、契約期間や賃料、契約更新・解約の条件に加え、設備の設置や改修が可能かどうかなどを契約時に確認します。契約終了時には、倉庫を借りたときの状態に戻す原状回復が必要となる場合があり、設備や造作の撤去費用が発生することもあります。契約前に、原状回復の範囲や退去時の費用負担を確認しておくことが重要です。

ケース別:寄託倉庫と賃し倉庫の選び方

契約形態は、保管期間や荷物量の変動幅、コストを総合的に判断して選びましょう。自社の物流状況を以下のポイントをもとに場合分けし、最適な契約形態を判断しましょう。

在庫量の変動や短期利用に柔軟に対応するなら寄託契約

在庫量が時期によって大きく変動する場合や、必要な期間だけ倉庫を利用したい場合は、寄託契約が適しています。保管する荷物の量や期間に応じて利用できるため、繁忙期に一時的に保管スペースを増やしたい場合や、季節商品を一定期間だけ保管したい場合にも対応しやすいのが特徴です。

また、事業の成長に伴って在庫量が増減する場合でも、その都度必要な保管スペースを確保しやすく、倉庫を固定的に借りる必要がありません。ECセールや販促キャンペーンなど、一時的に物量が増えるケースにも活用できます。

一方、長期的に安定した物量を保管する場合や、倉庫内に自社独自の設備を導入したい場合には、賃貸借契約も選択肢となります。自社の物量や利用期間、必要な設備・運用方法を踏まえて契約形態を選ぶことが重要です。

倉庫の長期利用や自由度を重視するなら賃貸借契約

倉庫内に独自の仕分けシステムを導入したり、自動化設備を整えたりするなど、自社の運用に合わせて倉庫を自由に使いたい場合は、賃貸借契約が適しています。長期的に安定した出荷量が見込まれる場合は、必要な保管スペースを確保したうえで、自社の業務に合わせて倉庫をカスタマイズできることもメリットです。

一方、利用期間が短かったり、在庫量が大きく変動したりする場合は、契約したスペースを十分に活用できず、コストが割高になる可能性があります。賃料だけでなく、光熱費や設備の維持費なども含めて、長期的なコストを検討することが重要です。

まとめ

倉庫の寄託契約と賃貸借契約の選択は、事業規模や取り扱い商品、保管期間などによってどちらを選択すべきか変わります。自社のニーズを明確にし、契約形態の特徴を把握した上で判断しましょう。
また、倉庫選定や契約検討を進めるうえでは、物件情報だけでなく、契約時に確認すべきポイントを体系的に把握することが重要です。
シーアールイーでは、物流不動産に長年携わってきた知見をもとに、倉庫契約の考え方や注意点を整理した資料をご用意しています。

倉庫契約の検討をこれから本格化させる方や、判断に迷っている方は、ぜひ以下の資料をご活用ください。

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