倉庫の積載荷重とは?基準から検査済証について解説
倉庫の積載荷重(床荷重)とは、倉庫を選定・運用する上で基本かつ重要な評価基準の一つです。建築基準法や検査済証といった法的観点とも密接に関係しており、無視すれば経営上のリスクを伴います。
本記事では、物流分野に強みを持つシーアールイーが倉庫の積載荷重の基準から、倉庫を選ぶ際のポイントまで、詳しく解説します。
倉庫における積載荷重(床荷重)とは
倉庫における積載荷重(床荷重)は、床や棚に安全に積載できる荷物の重量の上限を指します。通常、床の積載荷重(床荷重)は1平方メートルあたりで示され、「kg/㎡(キログラム毎平方メートル)」の単位で表記されます。たとえば「1,500kg/㎡」であれば、1㎡あたり最大1,500キログラムまで荷重をかけられるということになります。荷重制限を超えると、床の破損や構造上のリスクが高まり、安全性や耐久性に大きく影響します。そのため、倉庫のオペレーション設計の際には、この積載荷重を正しく把握し、適切な運用ができるレイアウトを構築することが重要です。
積載荷重を定める法律や規格

建築基準法では、建物の用途に応じた最低限の床荷重が定められており、倉庫は住宅や事務所よりも高い基準が求められます。特に営業倉庫では顧客の荷物を預かる責任があるため、法令に加えて業界規格や自治体の条例による追加の規定も影響します。建築基準法施行令第八十五条第三項によると、営業倉庫は3,900N/m²(約397.6kg/m²)の床荷重に耐える必要があります。これは、一般住宅の居室に求められる1,800N/m²(約183.5kg/m²)の約2倍以上に相当し、倉庫がより高い安全性を求められていることを示しています。
建築確認済証・完了検査済証の重要性
倉庫を営業倉庫として使用するには、「建築確認済証」と「完了検査済証(検査済証)」の取得が必要です。建築確認済証は、設計段階で建築基準法に適合しているかを確認する書類で、倉庫用途に応じた床荷重の基準もここで審査されます。完了検査済証は、工事完了後に建物が設計通りに建てられ、安全性が確保されていることを証明するものです。これらが揃っていなければ、国土交通省に営業倉庫として登録することができません。また、検査済証がない倉庫では、床荷重の安全性も担保されず、事故リスクや信用低下につながる恐れがあります。倉庫を借りる際は、建物の法的適合性と構造安全性を確認するために、これらの書類の有無を必ずチェックしましょう。
倉庫選びで注意すべき積載荷重のポイント
倉庫を選ぶ際は、保管物の種類や重量に応じた積載荷重の確認が欠かせません。さらに、実際の運用においては、ラックやフォークリフトなど、保管物以外が床に与える荷重も考慮する必要があります。特にラックを使用する場合は注意が必要で、ラック本体と保管物の重さが一点に集中する「点荷重」となり、床に大きな負荷を与える可能性があります。さらに、ラックは長期間同じ場所に設置されることが多いため、床の構造や材質によっては、沈み込みやひび割れといった損傷を引き起こすリスクもあります。こうした事態を防ぐには、床荷重の数値だけでなく、荷重のかかり方や設置場所まで含めて事前に確認することが重要です。床荷重は通常「1㎡あたり何kgまで荷重可能か」で示されるため、将来的な保管量の増加も見据え、適正な床荷重の倉庫を選ぶことが、安全で安定した倉庫運用につながります。
まとめ
倉庫の積載荷重(床荷重)は、安全で効率的な倉庫運用を実現する上で不可欠な要素です。建築基準法で定められた基準を把握し、荷物の重量や保管方法に応じた床荷重に対応できる倉庫を選ぶことが、事故防止と長期的な倉庫運営につながります。また、ラックなどを使用した時の点荷重や将来的な保管量の変化も視野に入れ、自社に合った倉庫を総合的に判断することが大切です。
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