ライフに聞くスーパー業界の歴史的協働チャレンジ|物流クロスオーバー【スーパーマーケット編】

インタビュー

スーパーマーケットも積極参加で製配販連携、加工食品物流を持続可能に!

スーパーマーケットも積極参加で製配販連携、加工食品物流を持続可能に!

連載インタビュー記事「物流クロスオーバー」

 「物流企業と荷主企業の垣根をクロスオーバーして相互理解と問題解決を支援し、産業界全体の発展に寄与する」ことをパーパスに掲げた『物流クロスオーバー』。今回から数回は、サプライチェーンの先端の着荷主に焦点を移し、「小売(SM)物流シリーズ」をお送りします!
 スーパーマーケット業界では今、歴史的ともいえる、業界全体で製・配・販連携を目指す物流改革チャレンジが動き出しています。それを牽引しているのは、スーパーマーケット各社が共同で物流課題の解決に挑もうと立ち上げた、「SM物流研究会」。活動を始めて丸2年になる今では首都圏から関西方面にも仲間を拡大しています。
 今回はシリーズ初回を期して、同研究会の座長を務めるライフコーポレーション首都圏PC・物流本部 本部長の渋谷氏をゲストにお招きできました! 研究会設立の背景・経緯やこの間の活動状況について、リーダーから詳しく伺います。ぜひご一読下さい!
(インタビュー・企画構成/エルテックラボ 菊田一郎)

今回のゲスト 株式会社ライフコーポレーション
首都圏PC・物流本部 本部長 渋谷 剛氏
(SM物流研究会 座長)  株式会社ライフコーポレーション

「4社物流協議会」から「首都圏SM物流研究会」へ

株式会社ライフコーポレーション
首都圏PC・物流本部 本部長 渋谷 剛 氏

株式会社ライフコーポレーション
首都圏PC・物流本部 本部長 渋谷 剛 氏

まず初めに、研究会の設立に至った背景、業界の物流環境についてお聞かせください。

渋谷氏 スーパー業界の取り組みの1つの起点になったのは、2022年4月に「フードサプライチェーン・サステナビリティプロジェクト(FSP)」が発足したことだと思います。これには加工食品の代表メーカーと日本加工食品卸協会(日食協)、そして我々を含むスーパー3団体(日本スーパーマーケット協会、全国スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会)が参加し、製・配・販連携で加工食品物流の課題を共有し、解決を目指すことにしたのです。物流危機の進展を受けて、メーカーと卸の間では既に何年も前から物流効率化施策が推進されてきました。ところが最後に小売と連携しようとする段階で、小売業界の総論賛成・各論反対に合い、頓挫した例がいくつもあるようなのです。それが数年来続いていました。

 しかし、このまま放置していてはもうダメだ、との意識がスーパー業界でも高まり、FSPに参画してサプライチェーン全体の最適化に向け、①定番商品の発注時間見直し、②特売品・新商品のリードタイム確保と計画発注化、③納品期限緩和(1/2ルールの採用)――の課題に取り組むことにしたのです。

 このFSPの始動直後の2022年8月、日本スーパーマーケット協会会員のうち、首都圏で営業している正副会長企業4社(ライフ、ヤオコー、サミット、マルエツ)のトップが集まり、対応について協議しました。その結果、「まずはこの4社で、やれるところからやっていこう」と合意し、「4社物流協議会」を立ち上げることになりました。

 これを受けて各社の物流担当者に指示が降り、具体的に動き出したという経緯なのです。私にも社長からいきなり、「4社連携でやるぞ!」と話が来ました。最初は少し戸惑いましたが、社長方針に異論の余地はなく、でもそれでかえって取り組みが進めやすくなり、良かったと思います。

トップダウンだから話が早かったのですね。ライバル同士の協働には抵抗がありましたか。

渋谷氏 トップダウンの影響は大きかったです。また、このままでは物流が止まる、という危機感も共有されていました。ただ、この4社は首都圏でしのぎを削るライバル同士です。野球でいえば「巨人と阪神」みたいな関係ですよね。正直、私自身は当初、このメンバーでうまくやって行けるか、不安でした。でも月1回の協議会を進めていく中で、「商売ではライバルだが、物流では協力して行こう」という流れが自然にできていきました。私も「これならやって行けるな」と確信でき、それからは動きが加速しました。こうした準備を進めた上で、2023年3月16日に記者会見を行い、「首都圏SM物流研究会」の発足を発表したのです(写真1)。

 それまでの調整で、4社が①加工食品における定番商品の発注時間の見直し、②特売品・新商品における発注・納品リードタイムの確保、③納品期限の緩和(1/2ルールの採用)、④流通BMSによる業務効率化――という4つの課題を解決できる目処が立っていました。そこで記者会見で「持続可能な食品物流に向けた取り組み」(上記①~④)を進めることを宣言し、「物流分野を『競争領域』ではなく『協力領域』と考え、各社協力による物流効率化策、またサプライチェーン全体の効率化につながる施策を検討する」ことを表明しました。

写真1 「首都圏SM物流研究会」発足記者会見に臨んだ4社
(写真左から、サミット、マルエツ、ヤオコー、ライフコーポレーション)のトップ
写真1 「首都圏SM物流研究会」発足記者会見に臨んだ4社
(写真左から、サミット、マルエツ、ヤオコー、ライフコーポレーション)のトップ

これは一大ニュースでした! 私も、実際に食品物流の効率化に長年取り組んできた仲間たちも、発表を聞いて大喜びしました。長年月なかなか動かなかった製・配・販連携の「販」の部分に、サプライチェーン効率化がついにつながった、歴史的な宣言だったと思います。

渋谷氏 活動を宣言だけで終わりにするのはもったいない、「これからも取り組み続けよう!」と合意できたので、「4社物流協議会」から「首都圏SM物流研究会」に名称を変更して、本格的な活動を開始することになった、というわけです。

首都圏から拡大し「SM物流研究会」へ

続いて、当初は首都圏の集まりだったのが業界各社の参加が順調に拡大し、「SM物流研究会」に発展していきます。とは言え、各社のそれまでの取り組みは一様でなく、個別の事情、条件の違いなどはどう乗り越えてこられたんですか?

渋谷氏 記者会見から7か月後の2023年10月、参加企業は15社に拡大しました。首都圏以外からの参加企業もあり、そこで組織としては「首都圏」の枠を取って他エリアの企業も参加する「SM物流研究会」としました。この時点で、「SM物流研究会」と「首都圏SM物流研究会」を並置する2部制へと移行したのです。

 図表1、2をご覧ください。19社になった現在、各社がSM物流研究会で提示している7項目の取り組み(SM物流研究会の新規参加条件)状況です。7つのSM物流研究会新規参加条件とは、①定番商品の発注時期見直し、②特売品・新商品発注・納品リードタイム確保、③納品期限の緩和(1/2ルール採用)、④流通BMS導入、⑤予約受付システム導入・活用、⑥バラ積み納品の削減推進、⑦トップのコミットメント――です。①~⑥については、少なくとも実施予定のあることが条件ですが、⑦トップ合意は何よりも大事な前提となるので、参加時点での必須要件としています。

 しかし、当時は代表4社も含め、未達成項目が何かしら残っていたんです。特に②特売品・新商品発注・納品リードタイム確保と③納品期限の緩和(1/2ルール採用)は多くの企業が未対応だったんです。

 そこで考えた結果、卸とメーカーの代表に来てもらい、何をどう困っているのか、直接話を聞くことにしました。前身の4社物流協議会時代の話ですが、現状を説明し、卸・メーカーの皆さんから「貴社はこことここが出来ていない」と具体的に指摘してもらったんです。その指摘を受けてから、私たちが社内を説得する手順にしました。相手の意見をよく聞いてからでないと、間違った改善をしては意味がないと考えたからで、これはとてもよかったと思います。

図表1 各社の取り組み状況(研究会参加当初)
図表1 各社の取り組み状況(研究会参加当初)
図表2 各社の現在の取り組み状況(2025年2月末時点)
図表2 各社の現在の取り組み状況(2025年2月末時点)

長年続いた商慣行を変えるには、抵抗もあったのでは?

渋谷氏 当社の場合、4社物流協議会が始まる前から2024年問題に危機感を感じ、「このままではヤバい」と思っていたので、社内で動き始めていました。2021年から2022年にかけて社内向けに、「2024年問題って何?」というレベルの人にも分かりやすいよう、文字数少なめの資料を作って、この危機感を共有してもらいました。商流に係る営業(バイヤー)、店舗運営を担う店長、それにシステムのメンバーほか全部署に対して、「仕組みを変えなくては運べなくなる!」と訴えて、2022年3月に部門横断プロジェクトを立ち上げ、具体的施策とスケジュールについても共有していました。そのため当社では比較的スムーズに対応できました。
 研究会の各社も同様に取り組みを進め、7条件の全項目をクリアできるように邁進しています。

「関西SM物流研究会」も立ち上げ、関西エリアでの物流課題に取り組む

続いて2024年12月には「関西SM物流研究会」が発足し、記者発表会を開催されました。ここまで、とても順調に拡大してこられましたね?

渋谷氏 そうですね、活動して行く中で次第に参加表明される企業が増えていきました。各社も「やらなきゃ」とは思っていたものの、個社ではどう動いていいか分からずにいた模様です。皆で束になった方がやりやすいし、「他社もやっているから、ウチもやろうよ」という形の方が社内を説得しやすいですよね。

 日本スーパーマーケット協会の加盟企業以外からも、イトーヨーカ堂さん、ベイシアさんと参加表明があり、門戸を開き広く受け入れています。そして関西方面でもオークワさん、平和堂さん、万代さんと参加企業が増えたので、首都圏とは別にライフを加えた4社で「関西SM物流研究会」を設立し、2024年12月20日に記者発表を行いました(写真2)。こうしてSM物流研究会のもと、エリア部会として首都圏・関西2つのSM物流研究会を置く現在の体制が出来上がったのです(図表3~5)。首都圏はサミットの武田さん、関西は平和堂の財田さんに座長をお願いしました。関西はこの2月に第1回の会議を行ったばかりです。

写真2 「関西SM物流研究会」発足記者会見に臨んだ4社
(写真左から平和堂、ライフコーポレーション、万代、オークワ)のトップ
写真2 「関西SM物流研究会」発足記者会見に臨んだ4社
(写真左から平和堂、ライフコーポレーション、万代、オークワ)のトップ
図表3 現在のSM物流研究会の全体組織概要
図表3 現在のSM物流研究会の全体組織概要
図表4 現在の首都圏SM物流研究会の組織概要
図表4 現在の首都圏SM物流研究会の組織概要
図表5 現在の関西SM物流研究会の組織概要
図表5 現在の関西SM物流研究会の組織概要

「荷待ち・荷役作業等時間」の削減に挑む

この間、特に力を入れて取り組んできたことを教えてください。

渋谷氏 そうですね、しばらくは研究会発足時に確認した検討課題に沿って活動を進めていたのですが、物流効率化法の改正に向けたガイドラインが2023年6月に発出され、「荷待ち・荷役作業等時間2時間以内ルール」が明文化されました。これによって入荷待機時間の削減は緊急を要する状況になり、一気に優先度が上がりました。そこで、「入荷待機時間の削減」に向け、メーカー・卸・小売の製・配・販で連携して取り組むことを研究会として決定したんです。

 ガイドラインには「荷待ち・荷役作業等時間」とありますが、後半の荷役作業の短縮についてはパレット納品などをメーカーさんに委ねる部分が多いので当面の検討対象から除外し、小売の責任でできる荷待ち時間の削減に絞り込んでいます。

 その手段として、バース予約システムの導入・活用を決めました。当初は既に導入済みの企業、未導入の企業、導入したが利用率が2~3割の企業など、導入状況にばらつきがありました。それを2024年3月末までに「全車両の荷待ち1時間以内」を目標に設定し、各社でノウハウを共有して拡大していきました。その結果をまとめたのが図表6です。当初は約85%で1時間を超えていたのが、繁忙期の年末は別として、99%前後が1時間以内に収まるようになりました。これを100%にしようと取り組みを続けています。

図表6 荷待ち時間の計測状況
図表6 荷待ち時間の計測状況

荷役時間の短縮はメーカーさんに委ねる部分が多いとのことですが、受け入れ時に小売側ができることはないのでしょうか?

渋谷氏 対策は限られていまして…何と言ってもメーカーさんにパレタイズを進めてもらうことが決め手なんです。研究会として一丸となってメーカーさんにお願いしようと、多くのメーカーさんに研究会へ来ていただき、意見交換をしました。特にパレットなしの直積みが多いのが商品重量の軽い菓子、即席麺のメーカーさんですね。もちろん各社には各社の都合がありますから、「パレット化するなら発注量をまとめてほしい」などの意見を聞き、双方のコミュニケーションを取りながら議論を進めています。一方的に「やってくれ」と要望するだけだと、話は進みませんので。先の荷待ち短縮と合わせた、「荷待ち・荷役作業等の合計時間」の推移を示したのが図表7です。

 2025年1月には約98.8%のトラックで「荷待ち・荷役作業等2時間以内」を達成しました。これも今後は100%を目指していきます。

図表7 荷待ち・荷役作業等時間の計測状況
図表7 荷待ち・荷役作業等時間の計測状況

すると、パレット納品がかなり増えてきた?

渋谷氏 1年間の活動では、「このメーカーがパレット化に取り組んでくれた」という明確な成果には至っていないのが現状です。そのため、今も協議を続けています。納品量が多い特売時には、発注から納品までのリードタイムを延長することで、パレット化を進める提案も行っています。また、パレット輸送ではトラックの積載率の低下が課題となるため、小売側の荷受け時間を拡大し、パレット荷役で作業時間が短縮できる分、トラックが2回転できるようにする案もあります。こうした継続協議を進める中で、メーカー側も小売の要望に耳を傾けてくれる一方、コスト面での課題もあるため、引き続き双方で調整を図っていきます。

政府は「T11型(1100×1100mm)の標準仕様のレンタルパレット」利用を推奨していますね。メーカーの自社パレットで届くと、返却するため店舗のバックヤードで分別保管しなくてはならず、大変な手間になります。

渋谷氏 今は自社パレットもレンタルも混在しているので、原則的には標準レンタルパレットの使用をお願いしているところです。なお、当面は「荷待ち・荷役作業等時間 2時間以内100%」を目指しますが、第2ステップでは自主行動計画に示した通り、「1時間以内」を目指す予定です。

ASNでノー検品化、1/2ルールで食品ロス削減

同じくメーカー側の対応になりますが、ASN(Advanced Shipping Notice、事前出荷通知)によるノー検品化により、検品の荷役等時間を削減できますね。

渋谷氏 ええ、チルド帯等では数社のメーカーが実施してくれています。最大の課題は、在庫型センターでの検品時間をいかに短縮し、荷役作業時間を削減するかです。一部メーカーの納品では、パレット単位で1度バーコードをスキャンするだけで検品が完了しています。メーカーと卸間でもっとASNによるノー検品化を進めたいと話しておられました。

納品期限1/3から1/2への変更は、物流効率化だけでなく、食品ロスの削減に向けた社会的要請でもあったと思います。

渋谷氏 当社は研究会の発足以前から取り組みを始めていました。研究会参加を機に取り組み始めた企業の中には、難航している企業もあるため、先行企業からアドバイスを受けつつ、継続的に努力を重ねています。1/2ルール採用については、小売に特段のデメリットはありません。販売期間が短くなる影響に危惧もあったのですが、実行してみるとロスの増加には直結しませんでした。何かを変える際には抵抗が伴うものですが、決意すれば実現可能だと考えています。他社にも「ウチは大丈夫でしたよ」と話をしています。さらに、返品が減らせることで社会的には食品ロス削減という大きなメリットが生まれます。また、社内効率の面でも返品処理というムダな作業を省くという利点があります。

分科会でパレット、共配、生鮮・チルドの課題も

次に直近の活動から、注力中のトピックを教えて下さい。

渋谷氏 24年度から取り組んでいて今後も継続予定なのが、分科会の活動です。スピード感を持って取り組むため、4つの項目別にグループ分けして検討し、「研究会で全体共有→検討・決定→実行」とステップを進めていきます(図表8)。

図表8 分科会の取り組み状況と今後
図表8 分科会の取り組み状況と今後

常温のドライ品だけでなく、生鮮品とチルド品の物流も大きな課題ですね。

渋谷氏 今まで常温の加工食品の取り組みに集中してきましたが、生鮮品もそれ以上に運べなくなる可能性もあるという数字が出ていたため、対策を講じる必要性を感じました。市場の仲卸さんを訪ねて困りごとを聞いた結果、リードタイムの短さが最大の課題であることが分かりました。生鮮食品はリードタイムが伸びると鮮度が損なわれるのではないか、という懸念がありますが、鮮度を担保しながらリードタイムを確保できないか、話し合っています。

 当社は日本乳業協会からの要請を受け、チルド商品のリードタイム延長を検討しました。その結果、2024年の秋にチルドの一部商品について、リードタイムを1日延長しました。

リードタイム延長により確定情報で発注できるようになれば、様々なムダがなくせます。

渋谷氏 その通りで、これまではお客様、店舗、物流センター、卸・メーカーと川下から川上に至る過程で、互いの情報が見えないまま、それぞれが相手に「欠品したら失礼だから」と忖度する「思いやりの連続」で、非効率な作業と過剰在庫が発生していたのです(図表9)。

図表9 「思いやりの連鎖」で非効率作業と過剰在庫が発生
図表9 「思いやりの連鎖」で非効率作業と過剰在庫が発生

文字通りのブルウィップ効果(需要変動を過剰にとらえ末端では牛の鞭のように跳ねあがる)ですね。

渋谷氏 そのため、確定情報に基づいて物流を動かしていかねば成り立たない、との危機感があり、リードタイム確保の努力を続けたいと思っています。

「勝負の3年目」に具体的成果を

ところで、「2024物流危機」を実際に感じられたことはありますか?

渋谷氏 はい、当社のセンターから店舗にトラックで運ぶ時、翌日の必要台数を前日に手配するのですが、急に予定以上に増やす必要が出た時、以前は多少運賃を上乗せすれば手配できたのが、今は料金を引き上げても「車両の確保ができません」ときっぱり断られるようになりました。

 それもあって当社の取り組みとして、1日に4便走らせているトラックの物量の変動が大きいので、平準化を進めています。日配品の早朝1便は需要が集中し満載状態となるため、足りないときにはスポット車両を利用していますが、コストが高く、今後はその確保も困難になると予想しています。そこで、比較的物量が少ない2便に複数のカテゴリーを移行することで、トータル台数と稼働時間の削減を実現しました。

なるほどです。実際の物流業務は卸や3PLに委託されているとのことですが、現在の物流拠点網の再編や、プロセスセンター増設などのお考えはありますか?

渋谷氏 店舗の拡大計画に合わせて増設も考えたいのですが、現在の建設コスト高騰の状況下では、容易ではありません。そこで、既存のセンターの効率化を優先し、平準化や機械化の導入などにより、稼働率の向上を図っています。それでもいずれ限界が来るので、将来的には物流拠点の再編も視野に入れています。

では最後に、これから始まる25年度の活動に向けた展望をお願いします。その際、関西に続く他の地方への活動展開へのお考えがあればお聞かせください。九州や北海道で独自に物流連携の企画を作って活動しているグループもありますね。

渋谷氏 2025年4月に施行される改正物効法では、特定荷主に対して複数の義務が規定されています。研究会のメンバーはほぼ特定荷主になるので、対応を考えていこうと話し合っています。例えば荷待ち・荷役作業等時間の計測と報告義務がありますが、当研究会ではこれまでに計測の経験も重ねているので、土壌はできています。また2026年4月には特定荷主に物流統括管理者(≒CLO)の設置が義務付けされますが、当社では私の上司の役員が就任する予定で、準備を進めています。他の地方グループとは情報交換を始めており、九州や中四国の研究会と意見交換をしました。北海道・東北はこれからで、今後も連携に努める考えです。

 展望については「今年はいよいよ勝負の3年目だね!」「今年は具体的な結果を出して行こう!」と皆で話し合っているところです。例えば、「パレット化がこれだけ進んだ」とか、「共同配送でこれだけ車を減らせた」といった成果をぜひ出して行きたい。具体的な数値目標はこれから設定しますが、成果を出すという強い意志を持って取り組んでいます。 

 そして改革の成功によって目指す姿を、図表10のようにイメージしています。

図表10 物流改革の達成イメージ
図表10 物流改革の達成イメージ

4つの打ち手が、喫緊課題である「荷待ち・荷役作業等時間の短縮」につながっていくのですね。素晴らしい構想です。その大目的は、ドライバーや現場作業者を含め物流で働く人の労務環境を改善し、地球環境も改善しながら、物流効率向上とリソース確保で物流を持続可能にすることですよね。それを力強く推進するSM物流研究会に、さらに多くのスーパーマーケット企業が参加され、小売物流改革を牽引されることを強く期待しています。本日はありがとうございました!

 

執筆者 菊田 一郎 氏 ご紹介

執筆者 菊田 一郎 氏 ご紹介
L-Tech Lab(エルテックラボ)代表、物流ジャーナリスト

㈱大田花き 社外取締役、流通経済大学 非常勤講師、ハコベル㈱ 顧問

1982年、名古屋大学経済学部卒業。物流専門出版社に37年勤務し月刊誌編集長、代表取締役社長、関連団体理事等を兼務歴任。2020年6月に独立し現職。物流、サプライチェーン・ロジスティクス分野のデジタル化・自動化、SDGs/ESG対応等のテーマにフォーカスした著述、取材、講演、アドバイザリー業務等を展開中。17年6月より㈱大田花き 社外取締役、20年6月より㈱日本海事新聞社 顧問(20年6月~23年5月)、同年後期より流通経済大学非常勤講師。21年1月よりハコベル㈱顧問。

著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える」(白桃書房、共著)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。

CREのBTS型の開発物件【ロジスクエア】

ロジスクエア久喜Ⅲ

ロジスクエア久喜Ⅲ

ロジスクエア久喜Ⅲは埼玉県久喜市にBTS型として開発予定です。
久喜市は埼玉県の北東部に位置しており、内陸部にあるため津波などの対策に優位性があります。また、東北自動車道と圏央道が交差する久喜JCTへも近いため、首都圏と北関東エリアの一円をカバーする広域物流拠点の立地としても優位性を備えています。

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ロジスクエアふじみ野C棟

ロジスクエアふじみ野C棟

ロジスクエアふじみ野C棟は埼玉県ふじみ野市にて開発予定のBTS型物件です。
ふじみ野市は埼玉県の南部に位置しており、都心部へのアクセスにも優れ、物流拠点立地として県内でも有数のニーズの高いエリアです。開発予定地は道路ネットワークの活用により広域物流拠点立地としても優位性を備えています。

物件詳細 ロジスクエアふじみ野C棟の物件詳細ページはこちらから
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